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Writer:北森 雅雄

IT導入補助金とは中小事業者の資金負担を低減するための制度|メリット3選と注意点を紹介

    IT導入補助金について「どんな制度なのか」関心を持つ企業担当者の方は多いでしょう。この制度を理解し、申請が承認されれば導入経費を削減しながらIT化を進められます。

    そこで今回の記事では、IT導入補助金についてメリットや申請時の注意点を解説します。。IT導入補助金の制度を理解しスムーズに申請に取り組むために、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

    この記事の目次

    1.IT導入補助金とは「中小企業や小規模事業者向けの支援制度」

    IT導入補助金は、企業がITツールの導入に必要な経費の一部を補助する制度です。中小企業や小規模事業者であれば、課題にあわせたITツールを導入する際に支援を受けられます。

    IT導入補助金の目的は、ITツールの導入を通じて企業の事業展開や拡大を支援し、生産性向上や業務効率化を促進することです。例えば会計業務の自動化を目指す場合、IT導入補助金を活用して専用のソフトウェアやシステムの導入が可能です。

    ただしIT導入補助金は、全ての申請が支給されるわけではありません。採択されるためには審査が必要であり、提出された申請書の内容が重要です。申請する際には、十分な準備と他社と差別化できる充実した内容の申請書を作成しましょう。

    2.IT導入補助金の3つの申請枠

    IT導入補助金を利用する際には、申請枠の特徴を理解しておく必要があります。そこで本章では、3つの申請枠について紹介します。

    • 通常枠(A、B類型)
    • セキュリティ対策推進枠
    • デジタル化基盤導入枠

    各枠の特徴をよく理解し、自社の課題にあわせた申請を行いましょう。

     

    2-1.通常枠【A・B類型】

    通常枠(A・B類型)は、生産性向上を図ることを目的としてITツールの導入を支援する補助枠です。例えば、決済や発注に関するソフト、クラウドサービスなど幅広いシステムが通常枠の補助金対象となります。

    ただしA類型とB類型では、以下のように補助額に差があります。

    種類

    A類型

    B類型

    補助額

    30万円〜150万円未満

    150万円〜450万円以下

    補助率

    1/2以内

    参照:IT導入補助金2023

    申請時には、IT導入による生産性の伸び率が1年後には4%以上、3年後には12%以上となる計画を作成しなければいけません。申請する際には、補助額や申請要件などを慎重に考慮して手続きを進めましょう。

     

    2-2.セキュリティ対策推進枠

    セキュリティ対策推進枠は、情報セキュリティ対策を強化しサイバー攻撃の被害を低減するための補助制度です。サイバー攻撃は不正アクセスや盗聴・なりすましなどを指し、企業の機密情報や顧客情報の窃取が懸念されます。

    セキュリティ対策推進枠の補助対象となるのは、中小企業や小規模事業者です。事業者が、事務局に登録されている情報セキュリティ対策を強化するためのITツール導入を補助します。

    具体的な支援内容には、セキュリティ対策の診断や評価、専門家によるコンサルティングやセキュリティ対策に関するトレーニング教育などが含まれます。近年、国際情勢の緊張により国内でのサイバー攻撃リスクが高まっているため、積極的にセキュリティ対策推進枠の申請を検討しましょう。

     

    2-3.デジタル化基盤導入枠

    デジタル化基盤導入枠は、会計・受発注・決済・ECなどの機能を持つソフトウェアの導入に対して、経費の一部を補助する制度です。以下2つの種類に分けられます。

    デジタル化基盤導入型

    企業間の取引におけるデジタル化の促進が支援の目的。
    とくにインボイス制度(電子請求書)の導入を支援することに重点が置かれています。

    複数社連携IT導入類型

    地域DXの実現や生産性向上を促すことが支援の目的。
    複数の企業で構成される商工団体などが、ITツールを導入を行う際に支援されます。

    とくに「デジタル化基盤導入類型」は補助対象が広範囲にわたるため、優先的に検討することをおすすめします。例えばパソコンやタブレット、レジ・券売機なども補助対象となるため、積極的に補助金の利用を検討してみましょう。

    3.IT導入補助金のメリット3選

    IT導入補助金の申請には時間や手間がかかるものの、利用しないのはもったいないです。自社が補助対象であれば、申請に取り組むことには多くのメリットがあります。

    そこで本章では、IT導入補助金を利用する3つのメリットを紹介します。

    • 原則返済は不要
    • 不採択でも再申請できる
    • 他の枠に同時申請可能

    以上のメリットを把握し、IT導入補助金の申請に積極的に取り組むことで効果的なITツールの導入ができるでしょう。

     

    3-1.原則返済は不要

    IT導入補助金の大きなメリットは、原則として返済不要でお金を受け取れる点です。ただし以下のようなケースでは、返済を求められる可能性があります。

    • 不正の発覚(虚偽の情報提供など)
    • 補助金の交付後に計画変更があった場合に申請を怠る
    • 年度ごとの事業実施効果報告を怠る
    • 通常は返済の必要がないため、金銭的な負担なくITツールを充実させられます。支出を抑えれば、他の投資のために資金を確保することも可能です。

    IT導入補助金を利用する際には正確な申請と報告を行うことで、返還を求められる事態を避けられるでしょう。

     

    3-2.不採択でも再申請できる

    IT導入補助金は不採択になった場合でも、再申請が可能です。また交付決定後に受給を辞退した場合も、次回の締め切りまでに再申請ができます。

    IT導入補助金の申請は1年間を通して行われているため、不採択となっても再チャレンジすることをおすすめします。ただし同じ申請内容では同じ結果が予想されるため、提出書類の見直しは欠かせません。

    例えば、入力漏れや必要書類の不足などが不採択の原因となるでしょう。IT導入補助金の申請には入力項目が多く、さらに提出書類も複数必要となるためミスが起きやすくなります。

    提出書類の不備が目立つ場合や、そもそもどこを修正するか分からない場合は、専門業者のサポートを受けることも有効です。

     

    3-3.他の枠に同時申請可能

    IT導入補助金では複数の枠を同時に申請して、補助金の受給を目指すことができます。例えば通常枠とセキュリティ対策推進枠を同時に申請すれば、企業のバックオフィス全体のデジタル化を効果的に進められます。

    ただし複数社連携IT導入類型は、他の枠との重複申請ができないため注意が必要です。申請を行う際には各枠の交付規程や公募要領をよく理解し、条件や要件を確認してから申請を進めることが重要です。

    また、他の枠にも申請できる可能性があるかを確認し、最適な組み合わせを考えながら補助金の受給を目指しましょう。

    4.IT導入補助金を利用する際の注意点

    IT導入補助金はメリットも多く便利な制度ですが、以下2つのポイントに気を付ける必要があります。

    • 補助金の給付が後払いになる
    • 申請手続きが複雑で手間がかかる

    これらの注意点を踏まえたうえで、自社の状況にあわせて取り組むことを検討してください。

     

    4-1.補助金の給付が後払いになる

    IT導入補助金の給付があとから支給されることは、企業にとって懸念点となる要素です。ツールの導入費用などを実費で先に支払わなけれならず、資金調達が必要になります。とくに資金繰りが厳しい状態の企業にとっては、この点がネックとなるでしょう。

    業務改善を図るためにITツール導入を行うことは重要ですが、経営に悪影響を及ぼさないか確認する必要があります。自社の経営状況やキャッシュフローに十分注意し、リスクを最小限に抑えるため慎重に検討しましょう。

     

    4-2.申請手続きが複雑で手間がかかる

    IT導入補助金の申請手続きは、必要書類や手続きに時間と労力を要します。申請対象となるためには、必要書類を正確に揃える必要があります。

    不完全な書類では申請が受け付けられないため、しっかりと準備することが重要です。法人と個人事業主では必要になる書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。

    またIT導入補助金を受け取ったあとにも、定期的に事業実績報告を求められます。手間はかかりますが、報告義務を怠ると補助金の返還を求められるケースがあります。正確な報告を行い、手続きを適切に行うことでスムーズな申請と補助金の受給ができるようにしましょう。

    5.IT導入補助金申請のスムーズな進行に必要な2つのポイント

    IT導入補助金の申請をスムーズに進めるために、以下の2つのポイントを押さえることが重要です。

    • 経営課題を明確にする
    • 専門家のサポートを活用する

    これから紹介するポイントをおさえながら申請に取り組み、IT導入補助金の申請を成功させましょう。

     

    5-1.経営課題を明確にする

    IT導入補助金の申請では、まず自社の経営課題を明確にすることが非常に重要です。ITツールの導入がゴールではなく、課題解決の手段として行われているためです。

    そのため申請書では「自社が抱える課題がなにか」「導入予定のITツールによって改善できるのか」を明確に説明する必要があります。課題を把握だけでなく、その内容を審査委員が論理的に理解できるような形で所定の文字数内で記述しましょう。

    また自社の課題と導入するITツールの内容が一致しない場合は、申請が採択されない可能性があります。計画的な導入と運用を実現するために、自社の課題と導入するITツールの関連性をしっかりと確認しましょう。

     

    5-2.専門家のサポートを活用する

    IT導入補助金は、手続きが複雑で必要書類も多くなります。そのため、専門家のサポートを受けることは非常に有益です。

    手続きに手間がかかり申請を断念するケースもあるため、多くの企業が支援事業者の協力を得て申請を進めています。NTT東日本では、IT導入補助金や事業再構築補助金に関する、補助金のサポートを行っております。

    専門家の助けを借りることで成功率を高め、申請手続きの時間を短縮できるでしょう。IT導入補助金に関して「申請までの方法が分からない」とお悩みの方は、以下のガイドブックをぜひご覧ください。

    IT導入補助金2023 対応ガイドブック

    6.IT導入補助金は専門家と共同して効率よく進めよう

    IT導入補助金とは、IT関連のツールを導入する際に必要な経費の一部を補助する制度です。中小企業や小規模事業者向けのこの制度には、申請枠が3つありそれぞれの枠には異なる目的と特徴があります。

    これらの枠から補助を受けることで、以下のようなメリットが得られます。

    • 原則返済は不要
    • 社員の負担やストレスの低減
    • 業務効率化や売上向上につながる

    ただし、申請手続きが煩雑なことには注意が必要です。専門家のサポートを受けて、申請手続きの労力や時間を短縮しましょう。

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    この記事を書いた人

    NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

    NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

    2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

    2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
    NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

    北森雅雄 masao kitamori

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