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Writer:北森 雅雄

給与計算の方法を4ステップで解説!基本知識や注意点についても紹介

  • 給与計算

    給与計算は、従業員を雇用する会社であれば、毎月発生する欠かせない業務です。従業員の勤怠情報を把握したうえで、各種手当の計算や、社会保険料・税金などの控除額を算出する必要があります。また、項目によって計算ルールが異なるため、各項目の計算方法を把握しましょう。

    今回の記事では給与計算の基本的な手順について解説します。給与計算の基礎知識から注意点まで幅広く理解できる内容になっています。ぜひ最後までお読みいただき、給与計算業務の際に役立ててください。

    この記事の目次

    1.給与計算とは従業員に支払う給与額を計算する業務

    給与計算とは、従業員に支払う給与額を計算する業務です。雇用契約や会社の諸規定に基づいた総支給額から社会保険料・税金などを差し引いて、手取り額を算出します。計算式で表すと、「総支給額-控除額=差引総支給額(手取り額)」になります。それぞれの金額の意味は、以下のとおりです。

    • ・総支給額:基本給と割増賃金・各種手当を合わせた金額
    • ・控除額:社会保険料・税金
    • ・差引総支給額(手取り額):従業員に振り込む金額

    2.給与計算を始める前に押さえておくべき2つの基礎知識

    給与計算を始める前に押さえておくべき基礎知識は、主に2つあります。

    • ・労働基準法の「賃金支払い5原則」
    • ・給与計算をするタイミング

    この章では、それぞれの知識について詳しく解説します。まずは、基礎知識に関して把握しておきましょう。

    2-1.労働基準法の「賃金支払い5原則」

    従業員に給与を支払う際には、労働基準法24条における「賃金支払いの5原則」を厳守する必要があります。5原則は、以下のとおりです。

    • 1. 通貨で、
    • 2. 直接労働者に、
    • 3. 全額を、
    • 4. 毎月1回以上、
    • 5. 一定の期日を定めて支払わなければならない

    参照元:賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省

    上記のように、給与は基本的には通貨で支払わなければなりません。これらの5原則を守らない場合は、指導や罰則が科せられる可能性があるため、注意しましょう。ただし、一定の要件を満たした場合、現物給与が認められるケースもあります。

    2-2.給与計算をするタイミング

    給与計算は、給与の締め日から支払い日までの期間に行いましょう。給与の締め日と支払い日は、給与計算の手続きをスムーズに行うために、事前に定められています。給与計算の基準となる期間を「締め日」、算出された給与を支払う日を「支払日」と呼びます。

    企業によって異なりますが、一般的には月末締めで翌月の25日あるいは15日支払いとなっているところがほとんどです。例えば、月末締めで25日支払いの場合、6月末に締め日を設け、7月25日に支払われる流れになります。支払日が土日・祝日の場合、前営業日に給与が支払われます。

    3.給与計算の方法【4ステップで解説】

    給与計算は、基本的には以下の4ステップで進めます。

    • 1. 勤怠情報をまとめる
    • 2. 総支給額を計算する
    • 3. 控除額を計算する
    • 4. 差引総支給額を計算する

    この章では、各項目の確認項目や計算方法などを解説します。手順を覚えて、給与計算を行う際の参考にしてください。

    3-1.勤怠情報をまとめる

    給与計算を進める際には、まずは勤怠情報をまとめましょう。勤怠情報をまとめる際に必要な確認項目は、以下のとおりです。

    • ・所定労働時間
    • ・勤務日数
    • ・労働時間
    • ・有給取得日数と有給残日数
    • ・欠勤日数
    • ・遅刻および早退時間
    • ・残業時間
    • ・深夜残業時間
    • ・休日の勤務時間

    実際に確認すべき項目は、会社の規定によっても異なるため、会社の規定に沿った項目を確認しておきましょう。

    3-2.総支給額を計算する

    勤怠情報をまとめたら、総支給額を計算しましょう。総支給額を求める際には、勤務時間の算出、割増賃金・各種手当の計算をする必要があります。

    勤務時間は、対象期間の「総労働時間」、会社で定められている勤務時間「所定労働時間」の勤務状況、対象期間の総労働時間数をもとに求めましょう。有給休暇を使っている場合は、その分の時間を総労働時間に入れる必要があります。

    勤務時間が求められたら、割増賃金を計算しましょう。割増賃金は、「割増賃金=時間外労働時間数×1時間あたりの賃金×割増率」の計算式で求められます。

    割増賃金の計算ができたら、会社の賃金規定に基づいて、各種手当を確認しましょう。各種手当は、会社が任意で準備する手当を意味します。各種手当の代表例は、以下のとおりです。

    • ・通勤手当
    • ・出張手当
    • ・役職手当
    • ・転勤手当
    • ・資格手当

    各種手当の金額や内容は、会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

    3-3.控除額を計算する

    総支給額を求めたら、その金額をもとに控除額を計算しましょう。具体的には、社会保険料や雇用保険料、税金など、総支給額より差し引く控除額を算出します。各項目の控除額の計算方法は、以下のとおりです。

    • ・社会保険料:保険料=標準月額報酬×保険料率÷2
    • ・雇用保険料:雇用保険料=賃金×雇用保険料率
    • ・介護保険料:介護保険料=標準報酬月額×保険料率 ÷ 2
    • ・所得税:給与(基本給+割増賃金など)-(社会保険料+雇用保険料=課税所得)
    • ・住民税:通知された住民税額÷12=1ヶ月の住民税額

    各種保険料は、会社負担と従業員負担に分けられますが、上記は従業員の給与から差し引く控除額の計算方法です。

    3-4.差引総支給額を計算する

    控除額を計算したら、差引総支給額を求めましょう。総支給額より、保険料や税金などの控除額を差し引きます。計算式で表すと、「総支給額-控除額=差引総支給額」となります。支給額が決定したら、金融機関への振込や、給与明細書の作成を行いましょう。

    4.給与計算をする際の4つの注意点

    給与計算をする際に注意すべき点は、主に4つあります。

    • ・情報漏えいに注意
    • ・計算・転記ミスに注意
    • ・スケジュール管理の徹底
    • ・給与計算の記録の保存

    この章では、それぞれの注意点について詳しく解説します。給与計算をする際の参考にしてください。

    4-1.情報漏えいに注意

    給与計算をする際には、情報漏えいをしないように注意しましょう。給与を他の従業員や取引先などに漏らしてしまった場合、従業員からの信用を失うことはもちろん、個人情報保護法違反と判断される可能性もあります。

    情報漏えいした従業員は、1年以下の懲役、50万円以下の罰金のどちらか、もしくはその両方が課せられる場合があります。また、当該法人に対しても、1億円以下の罰金が科せられる可能性があるため、厳重な注意が必要です。

    参照元:令和2年 改正個人情報保護法について |個人情報保護委員会

    給与の情報漏えいを防ぐためには、従業員の個人情報持ち出しを禁止したり、社内情報へのアクセスに制限をかけたりするなどの対策を講じましょう。

    4-2.計算・転記ミスに注意

    給与の計算ミスや転記ミスは、給与計算をする際にありがちな失敗です。そのため、給与計算時には、計算や転記のミスにも注意しましょう。給与の振り込み額を間違ってしまった場合、「この会社は信用できない」と、従業員からの信頼を失いかねません。

    給与計算のミスは、特に初心者で業務に慣れていないと起こしやすいミスでもあるため、上司や同僚のダブルチェック体制を作ることが大切です。また、給与計算で起こりがちなミスを低減できる給与計算ソフトやアプリもあるので、ミスを防ぎつつ業務を効率化したい場合は、導入を検討してみましょう。

    4-3.スケジュール管理の徹底

    給与計算を進める際には、スケジュール管理の徹底も大切です。給与計算は、決まった日までに行わなければならないため、作業時間をあらかじめ確保し、スケジュールを立てておく必要があります。勤怠集計や手当の計算など、給与計算に関わる各作業に必要な時間と優先順位を考慮したうえで、計画を立てましょう。

    スケジュールを立てる際には、予期せぬトラブルや問題に対応できるようにするためにも、多少の余裕を持たせることが大切です。

    4-4.給与計算の記録の保存

    給与計算は実行して終了ではなく、記録を賃金台帳に保存しておきましょう。給与計算の記録は、年末調整や各種手続きをする際に必要です。労働基準法の第109条では、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」と示されています。

    また、国税庁の「No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」では、源泉徴収簿と兼ねて運用している会社の場合、源泉徴収簿は「その申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要がある。」と明記されています。

    参照元:労働基準法 | e-Gov法令検索

    参照元:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

    5.freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート」で給与計算を効率化

    NTT東日本が提供する「freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート」は、クラウド型の給与計算・労務管理サービスです。給与計算をはじめ、勤怠管理や人事情報管理などの労務業務を一つにまとめられます

    法令改正・料率変更が自動アップデートされるため、給与計算で起こりがちなミスを低減できます。給与計算を自動化、給与明細以外の必要書類を出力、Webで給与の振込可能、給与計算の過程を可視化できる点も、メリットの一つです。

    また、 各種サービスとの連携もできます。連携できる各種サービスは、以下のとおりです。

    • ・勤怠管理ができる「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」
    • ・会計管理ができる「freee会計 for おまかせ はたラクサポート」
    • ・経費計算ができる「freee経費精算 for おまかせ はたラクサポート」
    • ・クラウドサインができる「クラウドサイン for おまかせ はたラクサポート」

    各種サービスと連携することで、バックオフィス業務全般の効率化や生産性向上が期待できます。給与計算をはじめとするバックオフィス業務の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

    クラウド型サービス – freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート

    6.まとめ

    給与計算とは、従業員に給与支払い額を計算する業務です。給与計算業務では、勤怠情報をまとめ、総支給額・控除額を計算し、差引総支給額を計算しましょう。給与計算を行う際には、情報漏えいや計算・転記ミスに注意し、スケジュール管理を徹底することが大切です。また、労働基準法にて5年間の保存義務が定められているため、記録を破棄せずに保管しておきましょう。

    給与計算の作業を効率化させるためには、「freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート」の導入がおすすめです。給与計算のミスを低減し、作業時間を短縮しましょう。

    クラウド型サービス – freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート

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    この記事を書いた人

    NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

    NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

    2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

    2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
    NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

    北森雅雄 masao kitamori

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