| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説




「電子申請なら夜でも36協定を提出できると聞いたけど、やり方がわからない」と悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。電子申請はネット環境があればどこにいても利用できるので、労働基準監督署へ足を運ばずに36協定を提出できます。特に窓口での提出は平日の営業時間のみと限られているので、時間内の来訪が難しい方にとっても電子申請はおすすめです。

そこで今回の記事では「36協定を電子申請で提出する方法」について解説します。2021年4月から変更となった電子申請に関する内容や申請時の注意点について理解できる内容になっています。電子申請の活用で自社の業務効率化を図りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

寺島 有紀

この記事の監修者:寺島戦略社会保険労務士事務所 寺島有紀(社労士)

監修日:2023年07月18日
ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。社会保険労務士としてベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から企業の海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。

著書の出版YouTubeなど多方面で活躍。

寺島戦略社会保険労務士事務所

1.36協定の3つの申請方法

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

時間外労働や休日出勤に関して36協定を結んだあとは、労働基準監督署への提出が必要となります。協定を締結しただけで、届出を行わないと36協定が有効にはならないので、忘れずに行いましょう。36協定の提出方法は、以下の3つです。

  • ・窓口提出
  • ・郵送
  • ・電子申請

ここでは、それぞれの提出方法について詳しく見ていきましょう。

窓口提出

窓口提出とは、労働基準監督署に36協定届を持参して提出する方法を指します。届出用紙の入手方法は、以下のとおりです。

  • ・労働基準監督署の窓口
  • ・厚生労働省のホームページ
  • ・労働基準監督署のホームページ

厚生労働省のホームページには36協定届等作成支援ツールも公開されていますのでぜひ活用してみましょう。

窓口提出は、労働基準監督者が開庁している平日の営業時間内にしか提出できません。また、労働基準監督署まで直接足を運ばなければならないことを理解しておきましょう。

郵送

36協定届を管轄労基署宛てに郵送する方法です。郵送するまでに必要な準備は、以下のとおりです。

  • ・36協定届の原本と控え
  • ・切手を貼った返送用封筒
  • ・送付状

上記を準備したらポストに投函します。36協定は、投函日ではなく受理された日から有効となります。そのため、36協定が適用されない期間が発生しないように余裕を持って郵送しましょう。

電子申請

電子申請とは、政府の電子申請窓口「e-Gov」からオンライン申請する方法を指します。画面上に示された様式に従って入力するだけなので、手書きの必要がない点がメリットです。また24時間いつでも提出が可能なので、時間帯を気にせずに申請できます。労働基準監督署に出向いたり封筒を準備したりする必要がないので、時間短縮につながります。

忙しくてなかなか勤務時間中に外出できないという方は、電子申請を行えば会社内で申請手続きが完結できるでしょう。

2.36協定の電子申請による提出への4ステップ

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

36協定は電子申請すれば、外出せずに会社内で手続きが完了できるので便利です。また手書きする必要がないので記載ミスを防げて時間短縮にもつながるでしょう。電子申請で36協定を提出する場合、いくつかの手順が必要です。

  • ・e-Govに登録
  • ・アプリのインストール
  • ・マイページの確認
  • ・申請の手続き

初めは戸惑うことがあるかもしれませんが、慣れればスムーズに申請できます。e-Govの登録やインストールは、初回だけ必要となる手続きです。2回目以降はログインすれば、すぐに申請できるので、さらに手間が省けるでしょう。ここでは、それぞれの手順に関して順を追って説明します。

e-Govアカウントの取得

まずは「e-Gov」を利用するためのアカウントを取得しましょう。e-Gov内の「アカウント仮登録画面」から登録用メールアドレスを入力します。入力したメールアドレスに、e-Govから本登録のための案内メールが届きますので、メールに記載された本登録用のURLにアクセスし、指示に従ってログインするためのパスワードを登録します。e-Govの利用アカウントは、このほかにGビズIDとMicrosoftアカウントでの外部認証での利用が可能です。そのため、会社ですでにGビズIDなどのアカウントがある場合には、これらのアカウントを利用することができます。

アプリのインストール

e-Govの電子申請アプリケーションのダウンロードと、インストールを行います。e-Govの電子申請には、WindowsとMacOSの2種類に対応したアプリがあります。会社のOS環境に適したアプリを選びましょう。アプリインストール後は、2要素認証か追加認証のどちらかの設定が必要です。2要素認証と追加認証の特徴は、それぞれ以下のとおりです。

2要素認証と追加認証の特徴
2要素認証 専用アプリに表示された6桁の数字で認証する方法
追加認証 事前登録した質問と答えを利用した認証方法

2要素認証は、スマートフォン等に「e-Govの電子申請アプリケーション」とは別の専用アプリをインストールする必要があります。専用アプリのインストールが難しい場合は、追加認証の利用がおすすめです。追加認証を選択した場合「秘密の質問」とその答えを登録する必要があるので、会社内で事前に決めておきましょう。

マイページの確認

アプリのインストールが完了したら、アカウント情報を入力してマイページにログインします。マイページへのアクセスが完了したら、ログイン情報などの確認を行いましょう。マイページの見方は、以下のとおりです。

  • ・ログイン情報:利用者設定のメニューやe-Govアカウントが表示される
  • ・ダッシュボード:申請案件や行政手続きに関する通知が表示される。未読メッセージの件数が把握できる
  • ・ブックマーク:お気に入り登録機能。よく利用する行政手続きを10件まで登録が可能

引用元:e-Gov初心者ガイド(全編)|3-1-1.マイページの見方

マイページでは、基本情報や申請状況の確認が可能です。申請する36協定の事務処理状況や、公文書の取得状況をいつでも把握できます。

申請の手続き

マイページ内左上部にある「手続検索」します。手続き名称から探す場合は、「時間外労働・休日労働に関する協定届」を検索します。用途に応じた様式を選択して指定します。申請書の入力用フォームが表示されるので、必要事項を入力してください。作成が完了したら、提出ボタンを押して完了です。申請手続き中に取引先との急用が入ったなど途中中断する場合でも「一時保存して中断」ボタンを押せば、続きから入力できるので安心です。

3.【2021年3月以降】36協定届の電子申請に関する変更点

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

36協定届は、2021年3月から電子申請方法が一部変更となっています。電子申請における変更点は、以下のとおりです。

  • ・電子申請に限り事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても本社一括届出が可能
  • ・電子署名と添付書類は不要

ここでは、それぞれの変更点について詳しく説明します。申請を簡易化できる方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

電子申請に限り事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても本社一括届出が可能

電子申請に限り事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、本社一括届出が可能。複数の事業場(支店や支社等)を有する会社の場合、36協定や就業規則届は原則として事業場ごとに届出が義務付けられていますが、 本社一括届出とは、企業の本社が支店や支社の36協定届や就業規則届をまとめて申請できる仕組みを指します。従来は全ての事業場について1つの過半数労働組合と協定を結んでいるケースでしか、本社一括届出ができないと制限されていました。

しかし2021年3月からは、電子申請であれば労働者代表が事業場ごとに異なっているケースでも本社一括届出が可能になりました。本社以外の事業場一覧リストを添付することにより、本社でまとめて提出できるので、申請の手間が改善されて届出しやすくなっています。

電子署名と添付書類は不要

2021年4月から押印原則の見直しに伴い、電子申請でも「電子署名」と「電子証明書」の添付が不要となっています。従来の電子申請は、電子署名・電子証明書の添付が別途必要だったので、手続きが煩雑でした。しかし改正後は、入力フォーマットに提出する者の氏名を記載することで手続きが可能です。そのため電子申請のハードルが下がりました。

4.36協定を電子申請する際の2つの注意点

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

36協定は電子申請を活用することで、支店が多い企業はまとめて一括申請できるなど、これまで手間だった事項が改善されました。一方で、いくつか注意点があります。

  • ・電子申請を行うために事前準備が必要
  • ・誤りがあると受理日が遅くなることがある

ここでは、それぞれの注意点について詳しく説明します。対策法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

電子申請を行うために事前準備が必要

パソコンの設定e-Govの登録やアプリインストールなど、初めて申請するまでにやるべき事前準備が必要です。ネット環境があれば24時間土日祝でも申請が可能ですが、思っていたよりも事前準備に時間がかかることがありますので、提出期限を見越して早めに手続きを始めるのがおすすめです。

誤りがあると受理日が遅くなることがある

e-Gov申請時にエラーチェック機能はありますが、提出後の審査で誤りが発見されると返戻となることがあります。返戻になってしまうと再申請が必要になりますが、この場合の受理日は再申請が受理された日付となってしまいます。36協定の有効期間の始期までに受理されないと、36協定が有効でない期間が発生する可能性がありますので、時間に余裕を持った電子申請が必要です。

また、電子申請後は、e-Govのマイページで審査の進捗や返戻のお知らせが来ていないか、こまめに確認すると良いでしょう。

5.36協定は電子申請を利用して業務の効率化へつなげよう

【徹底解説】36協定の電子申請の手順4ステップ!届出の変更点や申請する際の注意点を解説

これまで説明した通り、36協定届は窓口へ持参又は郵送などの紙媒体での提出と、電子申請の合計3つの申請方法があります。電子申請は24時間いつでも提出可能です。また複数の事業所がある場合は「本社一括届出」でまとめての申請が可能なので、うまく活用することで業務の効率化につながるでしょう。36協定締結後は、締結内容を従業員に周知し遵守することが必要です。36協定で定める時間外労働には、罰則付きの上限も設けられています。従業員の法定時間外労働や休日出勤状況などを把握し、を把握し、締結内容や上限を超過しないよう適正な労務管理が必要です。

NTT東日本が提供しているクラウド勤怠管理サービスは、ブラウザ上で客観的データとして勤務状況を把握でき、36協定に合わせたアラート設定ができるのが特徴です。時間外労働の警告値を設定できるので、従業員が上限を超過しそうになると、画面上に「警告基準対象」として表示されます。

36協定で定めた労働時間を超えそうな従業員をデータ上で即座に把握できるので、一人ひとりに合った適切な勤務調整が図れます。勤怠管理をクラウド上で行えば、残業時間の未申請やタイムカードの不正打刻などの防止にも役立ちます。詳しいサービス内容が気になる方は、以下のリンクをご覧ください。

NTT東日本のクラウド勤怠管理サービス

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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