| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

年末調整に必要な3つの書類の書き方!業務効率化におすすめのサービスも紹介

年末調整に必要な3つの書類の書き方!業務効率化におすすめのサービスも紹介




年末調整は、従業員の所属する企業が行わなければならない手続きです。しかし、自社には税法に詳しい従業員がいない(あるいは退職してしまった)ため、手探りで年末調整を進めなければいけないという企業は多いのではないでしょうか。

年末調整の手続きで作成しなければならない書類は複数あり、それぞれ項目や内容が異なり記載方法が複雑です。そのため、手続きに慣れていない場合、年末調整の書類作成に時間がかかったり記入漏れやミスが多発したりする可能性があります。

そこで今回の記事では、年末調整に関する書類の種類や書き方について詳しく解説します。記事の後半では、年末調整の作業効率化におすすめのサービスを紹介するので、総務や経理担当の方はぜひ最後までお読みください。

1.年末調整に必要な3つの申告書

年末調整に必要な3つの書類の書き方!業務効率化におすすめのサービスも紹介

年末調整で作成しなければならない書類は、以下のとおりです。

  • ・基礎・配偶者・所得金額調整控除の申告書
  • ・保険料控除の申告書
  • ・扶養控除の申告書

本章で、申告書それぞれについて詳しく見ていきましょう。

控除申告書

控除申告書とは、以下のような措置を受けるために必要な書類です。

項目 概要 要件
基礎控除 所得に応じて受けられる。 ・すべての納税者が対象
配偶者控除 所得が少ない夫や妻がいる場合に受けられる。 ・民法上の配偶者
・納税者と同一生計
・年間所得48万円以下
所得金額調整控除 年収850万円を超え、一定条件のもとに受けられる。 ・本人が特別障害者
・23歳未満の扶養親族がいる
・配偶者や扶養親族が特別障害者

控除は、納税者の税負担を公平にするための制度です。申請を忘れてしまうと従業員が損をしてしまうので、忘れずに書類を作成し税務署に提出しましょう。

保険料控除申告書

保険料控除申告書とは、以下のような措置を受けるために必要な書類です。

項目 添付が必要な書類
生命保険料 支払い額を証明する書類1部
地震保険料
小規模企業共済等掛金
社会保険料 なし
※国民年金保険料の場合は、支払い額を証明する書類1部

なお、医療費に関する控除は、年末調整で申告できません。従業員自身に、確定申告で控除を申請してもらいましょう。

扶養控除等(異動)申告書

扶養控除等(異動)申告書とは、給与所得者が以下のような措置を受けるために必要な書類です。

項目 添付が必要な書類
勤労学生控除 ・学生証明書類1部
非居住者親族の扶養控除 ・親族関係書類1部
・親族への送金に関する書類1部
障害者控除

なお本申告書は、扶養している親族の有無に関わらず、控除があるかどうか確認するためにすべての従業員が提出しなければいけません。ただし、従業員が兼業や副業をしており、他社に本申告書を提出している場合は提出不要です。

2.基礎控除申告書の3つの記載箇所

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基礎控除申告書の記載箇所は、以下のとおり3種類にわけられます。

  • ・給与所得者の基礎控除
  • ・給与所得者の配偶者
  • ・所得金額調整

本申告書は、控除内容によって記載すべき項目が異なるため注意が必要です。本章で、控除ごとに記載内容を詳しく見ていきましょう。

給与所得者

給与所得者の基礎控除について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)収入金額 勤務先から受け取った給与の合計額
(2)所得金額 (1)ー(所得控除)
(3)給与以外の所得 給与以外(配当や退職所得など)の合計額
(4)本年中の所得見積額 (2)+(3)
(5)控除額計算 (4)の金額に該当する行にマークを付ける
(6)区分 (5)に記載の記号(A~C)を記入
(7)基礎控除の額 (5)の判定額を記載

なお(6)に関しては、該当する記号がなければ未記入で問題ありません。

給与所得者の配偶者

配偶者について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)基本情報 配偶者の氏名や生年月日を記載
(2)合計所得の見積り 給与とそれ以外の収入と所得・合計額を記入
(3)見積額の判定と区分 配偶者の年齢と(2)に合致する行にマークし、区分(1〜4)を記入
(4)控除額計算 表で基礎控除の区分と配偶者(3)の判定に合致する金額を確認し、該当する摘要(控除の種類)欄へ記載する

なお、配偶者控除の2重(夫婦2人)適用はできません。夫婦がお互いの職場で、配偶者控除を申請しないように注意が必要です。

所得金額調整

所得金額調整について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)要件 該当する項目にマーク

・申告者・同一生計配偶者・扶養親族が特別障害者
・22歳以下の扶養親族がいる
(2)扶養親族の情報 (1)で、同一生計配偶者か扶養親族にマークした場合に記入

・氏名
・個人番号
・生年月日
・続柄
・所得合計額
(3)特別障害者の事実 (1)で、特別障害者の項目にマークした場合に記入

・障害の状態や等級
・障害手帳の種類や交付年月日

なお、扶養親族は0〜23歳が対象者です。扶養控除と異なり、16歳未満の親族は扶養親族の範囲に含まれるため注意しましょう。

3.保険料控除申告書の4つの記載箇所

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年末調整で控除できる保険料は、以下のとおりです。

  • ・生命・地震・社会保険料
  • ・小規模企業共済等掛金

なお、本申告書の作成には、冬前に保険会社から届く控除証明書が必要です。控除証明書を捨てたり紛失したりしないように、従業員へ周知しましょう。

生命保険料

生命保険料について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)契約内容 保険会社名や保険金受取者の氏名を記載
(2)新旧の区分 2011年末日を境に、
・以前の契約:旧
・あとの契約:新
(3)保険金額 証明書の申告額
(4)合計金額 新旧ごとに(3)を合算
(5)控除計算額 (4)をそれぞれ、申告書下部の表に当てはめて計算
(6)生命保険料控除額計 保険料それぞれの(5)を合算する

なお、団体信用生命保険は、金融機関が契約や支払いを仲介するため、本控除の対象外です。本控除は、申告者が保険料を支払った場合に適用できます。

地震保険料

地震保険料について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)契約内容 保険の種類や契約者名を記載
(2)保険の区分 地震・旧長期損害保険のどちらか、証明書の記載を確認
(3)保険金額 証明書の申告額
(4)合計金額 区分ごとに(3)を合算
(5)控除計算額 (4)を申告書下部の表に当てはめて計算
(6)控除額 申告書の計算式に沿って計算する

なお、本控除は他人に賃貸している住宅や別荘の保険料は対象となりません。地震に関する補償の付帯した火災保険が、本控除の対象です。

社会保険料

社会保険料について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)保険の種類 国民年金や介護保険などの種類を記載する
(2)支払先の名称 保険料を収めた機関の名称
(3)保険料を負担する人物 被保険者の名前
(4)保険金額 証明書の申告額
(5)合計 (4)を合算

なお、本控除は従業員本人とその親族が対象です。ただし、生計を一にしていない親族は、本控除の対象外なので注意しましょう。

小規模企業共済等掛金

小規模企業共済等掛金について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

項目 記載内容(計算式)
(1)各掛金の支払い額 国民年金や介護保険などの種類を記載する
(2)合計金額 (1)を合算

なお、支払先の各機関から郵送される払込証明書は、本申告書に添付する必要があるので、破棄したり紛失したりしないよう注意が必要です。

4.扶養控除等(異動)申告書の3つの記載箇所

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扶養控除等(異動)申告書の記載箇所は、以下のとおり3種類にわけられます。

  • ・配偶者や親族
  • ・障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生
  • ・住民税

本章で、種類ごとに記載内容を詳しく見ていきましょう。

配偶者や親族

配偶者や親族について記載が必要な項目は、以下のとおりです。

対象者 要件 記載項目
配偶者 申告者:
・所得900万円以下
配偶者:
・所得95万円以下
・申告者と生計を一にしている(a)
・申告者が営む事業に従事していない(b)
・氏名(1)
・生年月日(2)
・個人番号(3)
・住所
・所得見積額
扶養親族 親族:
・所得48万円以下
控除対象扶養親族
・16歳以上
・配偶者ではない
・(a)
・(b)
・(1)
・(2)
・(3)
・続柄

なお、年度の途中から産休や育休に入る場合は、注意が必要です。条件によっては、控除の対象に入る場合があります。

障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生

障害者や勤労学生などについて記載が必要な項目は、以下のとおりです。

対象者 要件 記載項目
障害者 以下の人物が障害者。
・申告者
・生計を一にする配偶者
・扶養親族
・該当者の種類
・区分
・人数
・氏名
・障害の等級
・交付された手帳の種類と交付年月日
寡婦
ひとり親
共通:
・所得500万円以下

寡婦:
・離婚・死別後に婚姻をしていない扶養親族がいる

ひとり親:
・生計を一にする子がいる
・婚姻している相手がいない
該当する欄にマークする
勤労学生 ・学生である
・勤労所得75万円以下

本控除では、障害者手帳や学生証のコピーの提出が必要な場合があります。実際の要否に関わらず、事前に従業員からコピーを入手しておきましょう。

住民税

住民税に関して記載が必要な項目は、以下のとおりです。

対象者 要件 記載項目
15歳以下の扶養親族 平成20年1月2日以後に生まれている ・氏名
・個人番号
・続柄
・生年月日
・住所
・扶養親族が国内に住居を有しているか
・所得見積額
・異動の日付と事由

なお現在の申告書では、単身児童扶養者に関して、該当するかどうか記載する必要がなくなりました。

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6.まとめ

年末調整に必要な3つの書類の書き方!業務効率化におすすめのサービスも紹介

年末調整に必要な書類は、以下のとおりです。

書類名 対象
控除申告書 基礎・配偶者・所得金額調整に関する控除
保険料控除申告書 保険料(生命・地震・社会)と、掛金(小規模企業共済など)に関する控除
扶養控除等(異動)申告書 勤労学生・非居住者親族・障害者に関する控除

上記のとおり、年末調整の申告書は、書類それぞれに対象となる控除が異なります。また、申告書の作成には手間と時間がかかり、手作業では記入漏れ・誤記が発生する可能性があります。そこで、年末調整の作業ミス低減と業務効率化をしたい企業には「freee人事労務 for おまかせ はたラクサポート」がおすすめです。導入によって作業の自動化とペーパーレス化を実現できるので、興味のある方はぜひNTT東日本へお問い合わせください。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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