マイページ別ウィンドウで開きますでご契約・サポート情報を確認

column



| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介



2019年4月に働き方改革関連法が施行され、働き方改革を進める企業が増えています。最初は大企業が対象でしたが、猶予期間が設定されていた中小企業でも2020年4月から適用が始まり、働き方改革への準備が必要です。

そこで今回の記事では、中小企業が働き方改革を進めるときの対応すべきことや注意点などを解説します。働き方改革の推進を検討している中小企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.働き方改革とは?中小企業への影響を解説

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

働き方改革を進めるためには、まずは働き方改革の概要を理解しましょう。この章では、働き方改革の概要や中小企業への影響について解説します。

働き方改革とは?

働き方改革とは、長時間労働の改善や育児や介護などそれぞれの事情によって働き方を選べる環境を作る制度です。働き方改革を進めることで従業員が無理をすることなく働ける環境になり、企業だけではなく社会全体でも良い循環が生まれることが期待できます。

働き方改革の目的として下記の項目が掲げられており、これら3つの柱を軸に制度が施行されています。

  • ・長時間労働の是正
  • ・正規・非正規労働者間の格差解消
  • ・多様で柔軟な働き方の実現

中小企業を対象とした働き方改革関連法案

政府は2018年7月に働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律)を交付し、順次施行されています。働き方改革関連法は、下記の3つを目的として労働基準法や労働契約法など8つの労働法を改正する法律です。

  • ・長時間労働の是正
  • ・多様な働き方の推進
  • ・雇用の形態に関わらない公正な待遇の実現

働き方改革関連法は、企業の規模(大企業・中小業)や業種(医師・建設事業など)によって適用される時期が異なります。中小企業では2020年4月から時間外労働の上限が設けられ、違反すると罰則の対象になります。そのため、中小企業においても労働時間の改善や業務効率化が必要です。

中小企業の定義

中小企業基本法によって、業種ごとに中小企業の定義が定められています。業種ごとの中小企業の定義について下記の表にまとめたので、参考にしてみてください。

出資金または資本金の総額 常時使用する従業員の人数
製造業、運輸業、建設業、その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下

「出資金または資本金の総額」と「常時使用する従業員の人数」のどちらかを満たせば、中小企業に該当します。

2.働き方改革関連法で変わる5つのこと

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

働き方改革関連法が適用されることで、今までとは異なる義務や規制が設けられます。この章では、働き方改革関連法による変更点を解説します。今後働き方改革を進めていく企業の方は、どのような点が変更されるのか理解しておきましょう。

年5日の年次有給休暇の取得義務

働き方改革関連法が適用されると、年5日の年次有給休暇の取得義務が発生します。1年間で10日以上の有給休暇が与えられている従業員には、年5日の有給休暇を与えなくてはいけません。もし休暇取得した従業員を不当に扱ったり有給休暇の取得を拒んだりした場合は、従業員1人あたり30万円の罰金が科されます。

また、従業員ごとに有給休暇の基準日や日数などが記載された休暇簿を作成する必要があります。作成した休暇簿は、3年間の保存が必要です。

時間外労働の上限規制

これまでは、時間外労働の上限は設けられていませんでした。しかし、働き方改革関連法の適用後は「月45時間、年間360時間」の上限が設定されます。違反した場合は罰則の対象となるため、勤務管理が重要です。

特別な事情がある場合や従業員と合意が得られている場合は、上限を超えることも可能です。ただし、特別な事情がある場合でも、下記の上限を超えてはいけないので注意しましょう。

  • ・年間720時間(休日労働含まず)
  • ・時間外労働と休日労働を合わせて月100時間
  • ・2~6ヶ月の各平均が80時間(休日労働含む)
  • ・月45時間を超える月が6ヶ月

残業割増賃金の引き上げ

2023年4月から、中小企業を対象として月60時間以上の時間外労働に対しての割増賃金率が50%へ引き上げられます。これまで中小企業では25%と設定されていましたが、働き方改革関連法の適用によって改善されます。

ただし、割増賃金率の引き上げは月60時間を超えた時間外労働のみに適用され、休日労働や深夜労働の割り増し賃金に変更はないので注意しましょう。

勤務間インターバル制度促進

残業時間が多いと家で休息をとったり睡眠にあてたりする時間が減り、体調不調や精神的な病気などの問題が発生する可能性があります。働き方改革によって勤務間インターバル制度が導入されると、従業員の健康面の改善が期待できます。

勤務間インターバル制度は、終業後から翌日の勤務開始まで一定の時間を空けるようにし、プライベートの時間や休息にあててもらう制度です。残業で終業時間が遅くなった場合、翌日の始業時間を遅らせられます。違反しても罰則の対象とはならないものの、従業員の健康面を改善するためにも必要な制度です。

非正規雇用の労働者への待遇改善

働き方改革では、同一労働同一賃金を目指しています。同一労働同一賃金とは、正社員または非正規雇用といった雇用形態にかかわらず、同じ職場・仕事内容で働いている従業員は同じ待遇にするという考え方です。

同一賃金同一労働を採用する場合、雇用形態を問わず手当を支給する必要があるため、各種手当の見直しが必要になります。

3.中小企業で働き方改革が求められる3つの理由

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

中小企業でも、働き方改革を進める会社が増えています。この章では、なぜ中小企業で働き方改革が求められているのか理由を解説します。どのような点が問題視されて働き方改革が求められているのか理解しておきましょう。

人手不足解消

日本の人口は2004年のピーク時から急激な減少傾向にあり、少子高齢化が進んでいます。少子高齢化によって労働人口も減少し、人手不足に悩んでいる企業が多いです。特に中小企業では人が集まりにくいこともあり、2013年からすべての業種で働き手が足りない状態が続いています。

このような慢性的な人手不足を解消するために、働き方改革を進めて労働環境の整備や柔軟な働き方を実現することが必要です。

長時間労働の是正

中小企業は、大企業にくらべてサービス残業が発生しやすいです。人手不足に加えて小さい会社ほど経営層との距離が近く、頼まれると断れないことが原因のひとつと考えられています。

一人あたりの業務量が増えてサービス残業や休日出勤などが常態化すれば、体調不良や離職を希望する従業員が出てきて、さらに人手不足に陥る可能性があります。

働き方改革によって残業時間に上限を設定したり勤務間インターバル制度を採用したりと勤務状況を改善することで、従業員の健康を守る働き方を目指せるでしょう。

生産性向上

長時間労働を改善するためには、これまでより短い時間で同じ業務量をこなす業務の効率化が必要です。無駄な作業や自動化できる業務を洗い出すことで業務を効率化すれば、あわせて生産性の向上も期待できます。

業務の効率化をしたい場合は、下記のような方法を検討してみてください。

  • ・業務を自動化・効率化するシステム・ツールの導入
  • ・業務の見える化
  • ・マニュアルやワークフローの作成
  • ・紙資料のペーパーレス化

4.中小企業が働き方改革を進める際の4つの注意点

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

中小企業が働き方改革を進めるときには、いくつか注意すべき点があります。この章では、中小企業が働き方改革を進めるときの注意点を解説するので、担当者の方は参考にしてみてください。

賃金の見直し

働き方改革関連法の改正によって、下記の通り賃金に関する変更点や新たな制度が作られています。

  • ・同一労働同一賃金
  • ・時間外労働の賃金割増率
  • ・最低賃金制度 など

働き方改革を導入するときには、正規雇用や非正規雇用にかかわらず、スキルや経験に合わせた給与体系を作ることが必要です。また、あわせて勤務状況や労働時間を適正に管理できる仕組みも作りましょう。

業務効率をあげる

これまで時間外労働の上限は設定されていませんでしたが、中小企業においても「月45時間、年360時間」を原則遵守しなくてはいけません。違反した場合、罰則の対象となる可能性があります。

働き方改革を進めるためには、これまでよりも短い時間で業務をこなす必要があります。従業員が時間外労働や長時間勤務をしなくても支障が出ないように、ワークフローやマニュアルの構築、システム・ツールの導入などを行い業務の効率化を図ることが大切です。

従業員への教育・周知

働き方改革を進めるときには、従業員の理解が欠かせません。そのため、働き方改革による変化や心がけていくことなどを、周知および教育する必要があります。最悪の場合、法律違反につながる可能性もあるので、管理職を含めた従業員全体に変更点を理解してもらいましょう。

また、従業員が理解しやすいように、変更点や注意点、相談先などを分かりやすくまとめた資料を作成し、必要に応じて研修やセミナーを行うのがおすすめです。

適材適所な人材配置

働き方改革を進めることで、テレワークやフレックス制など柔軟な働き方が可能になります。従業員にとって働きやすい環境にできれば、離職率の低下にもつながります。

また、働き方改革は従業員だけではなく、企業にとってもより良い環境を目指すものであり、双方に不利益が生じるような改革は避けなくてはいけません。適材適所な人材配置を行い、お互いにとって良い環境を作れるようにしましょう。

5.まとめ

中小企業が対応すべき働き方改革関連法について解説!変更点や導入時の注意点を紹介

働き方改革関連法の施行によって、多くの企業で働き方改革が進んでいます。中小企業でも働き方改革関連法が適用されるようになり、徐々に職場環境の改善が求められています。

人が集まりにくいこともあり、慢性的な人手不足や長時間労働に悩まされている中小企業の数は多いです。そのため、働き方改革を進めることで労働環境や職場環境を改善し、課題を解決していく必要があります。

また、中小企業で働き方改革を進めるときには、賃金の見直しや業務の効率化などが必要です。業務効率化を目指すために、自社の業務に適したシステムやツールを活用してみましょう。

社内における働き方改革の推進には「おまかせ はたラクサポート」「コワークストレージ」や手書き書類をCSVに変換できる「AIよみと〜る」といったサービスをセット導入することがおすすめです。NTT東日本では、これらのクラウドサービスに関する使い方やサポート対応をセットにして提供しています。また、無料で体験可能な「DX無料体験プログラム」を用意しています。興味のある方は、ぜひ以下のバナーから詳細をご覧ください。

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

ページ上部へ戻る