| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)
ペーパーレス化で社内の働き方改革を推進!メリット・デメリットや導入手順を紹介
近年はテレワークやフレックス制度の導入など、働き方改革を進める企業が増えています。さらに、働き方改革と併せて、ペーパーレス化の導入を進める企業も多いです。しかし、これから働き方改革を進める企業の方のなかには、ペーパーレス化と働き方改革の関連性や、どのように進めていくのか分からない方もいるのではないでしょうか。
働き方改革を進めるうえで、ペーパーレス化の導入は重要なポイントです。社内のペーパーレス化が進めば、働き方改革もスムーズに導入できるでしょう。
そこで、今回の記事では、ペーパーレス化と働き方改革の関連性や導入の進め方などを解説します。これから働き方改革やペーパーレス化の推進を目指している企業の方は参考にしてみてください。
目次:
1.働き方改革にペーパーレス化が必要とされる背景
現在、日本では少子高齢化によってさまざまな課題を抱えています。そのひとつが、生産年齢人口の減少や、一人当たりの労働生産性の低下です。それに加えて育児や介護と仕事を両立するために働き方の多様化を求める方が増え、2019年4月に「働き方改革関連法案」の一部が施行されました。
柔軟な働き方を推進するためには、ペーパーレス化の導入は重要な要素です。しかし、ペーパーレス化の導入が求められる一方で、書類のデータ化への対応が遅れ、コロナ禍でも出社せざるを得ない方も多くいました。特にハンコ文化が残っている企業では、紙の資料を扱うため担当者が出社する必要がありました。
政府は、書類をデータ化することを認めた電子帳簿保存法の改正などペーパーレス化推進の取り組みを行っています。政府の取り組みによって、これまでと比べるとペーパーレス化のハードルは下がりつつあります。
2.ペーパーレス化で働き方改革を推進する6つのメリット
ペーパーレス化によって働き方改革を推進すると、紙資料にかかるコスト削減や生産性の向上、セキュリティ対策が可能になるなどのメリットがあります。この章では、ペーパーレス化によって働き方改革を進めることで得られるメリットについて詳しくみていきましょう。
1紙に関わるコストを削減できる
ペーパーレス化によって、紙の書類を扱う必要がなくなります。そのため、コピー代や用紙代、廃棄にかかる費用、郵送代などのコスト削減につながります。
また、紙で資料を作成した場合、ファイリングをして保管しなければなりません。ペーパーレス化を導入することでファイリングにかかる費用や、保管スペースの維持費をコストカットできます。
2生産性が向上し、労働時間を削減できる
紙で資料を作成すると、社内で共有する際に印刷やホッチキス留め、配付の手間がかかります。ペーパーレス化を導入すると、ネット環境があれば必要なときに資料を確認できるため、共有の手間を省けます。
ペーパーレス化によって紙の資料にかかっていた手間が省ければ、他の業務に時間をさけるようになり、生産性の向上につながるでしょう。また、残業時間を削減する効果も期待できます。
3セキュリティ対策ができる
紙で書類を作成すると、置き忘れたり失くしたりした場合に情報漏えいにつながる可能性があります。データで資料を保存・共有すると、情報漏えいのリスクが軽減できます。
さらに、データの場合はアクセス権限を付与したりパスワードを設定したりできるので、セキュリティ対策も可能です。万が一データを削除してしまっても、バックアップを取っておくことですぐに復元できるので安心です。
4テレワークをスムーズに導入できる
テレワークを実施する際、ペーパーレス化は重要なポイントです。資料をデータとして作成・共有すれば、どこにいてもアクセスできるので、テレワークをスムーズに導入できます。また、勤務地を選ばないので、遠方に住んでいる優秀な人材の採用も可能です。
さらにペーパーレス化が進めば柔軟な働き方ができるようになるので、ワークライフバランスの向上も期待できます。
5書類の管理がしやすい
ペーパーレス化によって、書類を管理しやすくなります。紙の場合だと、膨大な量のファイルや資料のなかから探す必要があり、手間と時間がかかります。また、資料を探すために出社しなくてはいけません。しかしデータの場合は、検索項目を設定するだけで簡単に探せるので、便利で時間もかかりません。
また、データで書類を保存するため、保管スペースの必要もなくなります。
6災害時の事業継続
紙の資料でさまざまな情報を管理していると、万が一大きな地震や火災があったときに、紛失・破損のリスクがあります。資料をデータ化してバックアップをとっておけば、大規模な災害があったときでも、すぐに復旧し、事業が継続できるので安心です。
3.ペーパーレス化を導入する5つのデメリット
ペーパーレス化には、導入のハードルとなるようなデメリットもあります。注意して導入を進められるように、具体的にどのようなデメリットがあるのか詳しく解説します。
1文書保存に関わる法律への対応が必要になる
書類をデータとして保存するときには、文書保存に関わる法律を遵守する必要があります。企業が資料をデータ保存する際、対応が必要な法律は「e-文書法」と「電子帳簿保存法」です。
両方とも資料をデータ保存することを認めた法律ですが、対象文書の範囲が異なります。e-文書法の対象文書は多岐にわたり、国税関係書類や取引関係書類、決算関係書類、会社関係書類です。一方で電子帳簿保存法は国税庁が管轄している法律なので、国税関書類や会計帳簿が対象となります。
2システム障害や回線速度の影響を受ける
ペーパーレス化を導入した場合、システム障害が発生したりネット回線が乱れたりすると、資料が閲覧できなくなる可能性があります。また、ネット回線が重いとWeb会議のときに資料が共有できないだけではなく、映像や音声が途切れてしまう原因にもなります。
システム障害やネット回線のトラブルが発生しても業務が遂行できるよう、オフラインで閲覧できる場所にデータのバックアップを取っておくことも検討しましょう。
3導入コストがかかる
ペーパーレス化を導入するときは、パソコンやタブレット端末などのツールやシステムを揃える必要があるため、初期投資が必要です。また、コストだけではなく紙の資料をスキャンしてデータ化したり、新たな業務フローを整備したりと手間と時間もかかります。
特に、これまで紙の資料を扱っていた企業にとっては、大きなハードルのひとつとなっています。
4ハンコ文化が根強い
ハンコ文化が根強い企業は、ペーパーレス化を導入したくてもなかなか社内の理解を得にくいでしょう。一部の資料に関してはデータ化できたとしても、資料を紙で求められることが多々あります。
ハンコに関わる業務のために出社しなくてはいけなくなるので、必要に応じて電子契約システムの導入も検討してみてください。
5紙のようにメモが取りづらい
資料をデータ化すると、紙のようにメモが取れなくなるため使いにくいと感じる方もいます。もしデータ化した資料にメモを書き加えたいときには、専用のソフトやタッチペンなどが必要です。
また、ディスプレイ上で資料を見ることになるので、紙のように横に並べられず、不便に感じる方もいるでしょう。人によっては、紙の方が見やすく便利だと感じることも考えられます。
4.働き方改革につなげるペーパーレス化の導入手順
ペーパーレス化を進めるときには、急に導入しようとしてもうまくいきません。この章では、導入するときの手順を解説するので、これからペーパーレス化を進める企業の方は参考にしてみてください。
1自社の課題やペーパーレスの必要性を確認する
ペーパーレス化を導入する前に、まずは自社の課題を洗い出しましょう。例えば、個人や部門ごとで資料作成のために使用する紙の量や、保管のために必要なスペースや費用などを具体的に出してみてください。
具体的に数値として提示することで、よりペーパーレス化の意義や必要性を確認しやすくなります。ペーパーレス化の意義や必要性が理解できないと導入してもうまく浸透しないため、従業員全体に周知することをおすすめします。
2自社に必要なツールやシステムを選定する
ペーパーレス化を導入するときには、ツールやシステムの導入が必要です。最近は多くの企業からツールやシステムがリリースされているので、そのなかから自社に合ったものを選びましょう。
機能が豊富なツールやシステムもたくさんありますが、不要な機能があると費用が高くなったり使い勝手が悪くなったりします。自社の課題を確認したうえで、どの機能が必要か吟味しましょう。
また、無料トライアルを提供しているツールやシステムもあるので、ぜひ一度使用感を試してみてください。
3業務フローの整備
ツールやシステムに慣れていない従業員でもスムーズに使えるよう、ペーパーレス化の業務フローやマニュアルを整備しましょう。必要に応じてセミナーや研修を実施し、ITリテラシーの低い従業員をサポートする体制を整えることも大切です。
マニュアルはパソコンやタブレットの操作に慣れていない方でも分かるように、イラストや図などを盛り込んで作成することをおすすめします。
4ペーパーレス化する書類の順番を決める
ペーパーレス化を進めるときは、一度に社内全体で導入してもうまくいかない可能性が高いです。膨大な量の資料をデータ化するのは時間と手間がかかるので、まずはどの書類から進めるか順番を決めましょう。順番は、ペーパーレス化導入のしやすさや使用頻度などを重視しながら決めるのがポイントです。
まずは一部の書類でペーパーレス化を導入し、少しずつ範囲を広げていくとスムーズに導入できるでしょう。
5.働き方改革に効果的なペーパーレス化のツール・システム4選
働き方改革を進めるときには、システムやツールの導入も重要なポイントです。この章では、働き方改革やペーパーレス化に効果が期待できるツールやシステムをいくつか紹介するので、これから導入する人は併せて検討してみてください。
1Web会議システム
Web会議システムは、ネット環境さえあればパソコンやタブレット端末などを使って場所を問わず会議に参加できるツールです。Web会議システムを導入すれば、会議のために出社する必要もなくなるので、テレワーク推進につながります。
他のツールと連携して使用することで、完全なペーパーレスで会議を実施できます。
2ビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールは、データ・ファイルの共有やタスク管理など業務で使用する機能が搭載されているチャットツールです。チャットでの文章のやり取りだけではなく、ビデオ通話の機能があるチャットツールもあります。
ビジネスチャットツールを使用すれば、容量が大きくメールで送信できないデータも送れるようになります。
3電子契約システム
電子契約システムとは、紙のやり取りをしなくてもオンライン上だけで契約が締結できるシステムです。署名や押印がオンライン上でできるため、ハンコも必要ありません。また、オンライン上のやり取りだけで済むため印刷や郵送の手間も省けます。
電子契約システムを導入すれば、ハンコを押したり契約書を郵送したりするために出社をする必要が無くなるので、テレワークが進めやすくなります。
4オンラインストレージ
オンラインストレージは、ペーパーレス化に欠かせないツールです。オンラインストレージを導入することで、ネット環境があればデータ・ファイルの共有や保存、編集などの作業が時間や場所を問わずにできるようになります。
書類や名刺などのデータ・ファイルにいつでもアクセス可能になり、またアクセス権限の設定もできるのでセキュリティ面でも安心です。
6.書類のペーパーレス化で社内の働き方改革を進めよう
働き方改革を進めるうえで、ペーパーレス化は重要なポイントです。ペーパーレス化を導入することで場所を問わずに資料や書類にアクセスできるようになるので、テレワークなどの働き方改革が進めやすくなります。
また、ペーパーレス化を導入すると、紙にかかる資料のコスト削減や業務効率化、災害対策ができるなどのメリットがあります。まずは社内の課題を洗い出し、自社に合ったシステムやツールを選んでペーパーレス化を進めてみましょう。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。