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Writer:北森 雅雄

【最新版】 IT導入補助金の対象事業者と4つのツール!申請前の準備事項4選を解説

  • 働き方改革

    IT導入補助金を申請したいと考えた時に「自社は対象になるのか」と気になるのではないでしょうか。補助金は経費の一部を補助してくれる魅力的な制度ですが、全てのITツールが対象というわけではないので注意が必要です。

    そこで今回の記事では、IT導入補助金の対象となる事業者やツールについて詳しく解説します。さらに事前準備についても説明するので、申請前にしっかり把握しておきましょう。ぜひこの記事を参考にして、IT導入補助金の活用を検討してみてください。

    この記事の目次

    IT導入補助金の対象となる事業者

    申請の対象となるのは「日本に本社および支店を持つ中小企業や小規模事業者など」で、その定義は業種分類ごとに異なります。例えば製造業・建築業・運輸業の中小事業者の場合の定義は、以下のとおりです。

    業種

    資本金

    常勤の従業員

    製造業、建築業、運輸業

    資本の額または出資の総額が3億円以下の会社

    300人以下の会社

    参照:IT導入補助金2023

    常勤の従業員とは、労働基準法第20条に基づき「事前の解雇予告が必要な従業員」を指します。また会社役員や個人事業主は従業員としての地位を持たず、労働者とは異なる扱いを受けるため「常勤の従業員」には含まれません。

    具体的な対象事業者の条件は年度ごとに異なる場合があるため、事務局の公式サイトから最新の情報を確認してください。

    IT導入補助金の対象外となる事業者

    IT導入補助金は、すべての企業が受けられるわけではありません。例えば以下の事業者は、IT導入補助金の対象外となります。

    • ・みなし大企業
    • ・IT導入支援事業者
    • ・法人格のない任意団体


    みなし大企業とは、大企業のグループ企業や課税所得額が大きい企業のことです。具体的な例として、発行済み株式または出資の2分の1以上が同一の大規模法人に所有されている事業者などが挙げられます。

    またIT導入補助金支援事業者に認定されている事業者も、対象外となります。IT導入支援事業者とは、ITツールの導入や申請のサポートを行う共同事業を指します。ただし、前年度までの認定を受けている事業者が、今年度の認定を受けていない場合に限り申請可能です。

    また同窓会やPTA・サークルなど、法人格を持たない任意団体もIT導入補助金の対象外となります。これらの団体はIT導入補助金の申請対象とならないため、注意が必要です。

    IT導入補助金の対象ツール4つの主要な分類

    対象となるツールには、どのようなものがあるのか気になる企業担当者の方は多いでしょう。支給対象となるITツールは、あらかじめ事務局から認可された以下の4種類です。

    • ・ソフトウェア
    • ・オプション
    • ・役務
    • ・ハードウェア

     

    補助を希望する事業者は、導入を検討しているITツールが申請対象ツールか事前に確認しましょう。それぞれについて、詳しく解説していきます。

     

    ソフトウェア

    ソフトウェアの購入費用は、IT導入補助金の支給対象です。ただし対象となるソフトウェアは、申請枠によって異なります。例えば通常枠の場合は「顧客対応・販売支援」といった業務プロセスに関わるソフトウェアが対象です。

    企業が顧客対応の効率化を課題としている場合、自動配信メールや予約管理ができるITツールなどの導入によって業務プロセスをスムーズにできます。またデジタル化基盤導入類型においては、以下の機能を1つ以上含むソフトウェアが必要です。

    • ・会計
    • ・受発注
    • ・決済
    • ・EC

    これらのソフトウェアは、業務環境改善やインボイス制度への対応などの業務効率化を促進するために利用されます。申請枠に合ったソフトウェアを導入することで、より効果的なITツールの活用が期待できるでしょう。

     

    オプション

    ソフトウェアを導入する際に必要となるオプションの費用も、IT導入補助金の対象となります。以下のようなオプションツールが、補助対象となります。

    • ・自動化・分析ツール
    • ・テレワーク環境の整備をサポートするツール
    • ・機能拡張
    • ・データ連携ツール
    • ・セキュリティ

    これらに該当するオプションツールも、補助金の対象です。IT導入補助金を活用する際には、ソフトウェア導入に必要なオプションツールをまとめて申請することで、効率的に導入を進められます。オプションツールの補助金を活用して、より効果的なITツールの導入を実現しましょう。

     

    役務

    ソフトウェアに該当する場合は、導入に必要になる「役務」もIT導入補助金の対象です。具体的には、以下の3つの役務が対象となります。

    • ・導入コンサルティング
    • ・導入設定・マニュアル作成・導入研修
    • ・保守サポート


    これらの役務は、ITツールの導入にあたって必要な支援を受けることができます。ただし導入支援業者によって、提供できる役務に差があるため事前に確認が必要です。

    ソフトウェア費用のみを対象とする支援事業者も多いですが、役務にも登録している支援事業者であれば導入費用をさらに抑えられるでしょう。例えば、導入に必要なコンサルティング費用なども助成してくれます。事前に情報収集し、自社のニーズに合った支援事業者を選ぶことが重要です。

     

    ハードウェア

    ハードウェアの購入費用の補助対象は、デジタル化基盤導入枠のみです。デジタル化基盤導入枠には2つの類型がありますが、どちらもハードウェアの費用が補助対象となります。

    具体的には、以下のようなハードウェアが補助の対象です。

    • ・パソコン
    • ・タブレット
    • ・POSレジ
    • ・券売機

    例えば会計ソフトの購入を検討している場合、その連動先であるPOSレジやタブレット端末なども補助対象となります。同様に在庫管理ソフトの購入を検討している場合には、パソコンなどのハードウェアも補助対象です。

    このようにソフトウェアだけでなくハードウェアの購入費も助成される点を考慮して、総合的にITツールの導入を検討し効果的なデジタル化を実現しましょう。

    IT導入補助金の対象外となる経費

    IT導入補助金の対象外となるソフトウェアの購入経費には、以下のようなものがあります。

    • ・無料で提供されている
    • ・特定の顧客向けに限定されている
    • ・業務の効率化に寄与しない

    対象となるソフトウェアは市場に出回っている一般的なものが基本であり、特殊なソフトウェア、無料提供や限定提供のものは対象外となります。ハードウェアの場合、ソフトウェアと連動して使用できる「新品の製品」が対象になります。

    また、中古品やレンタル契約も補助対象外なので注意しましょう。ただし新品のハードウェアでも、一般的な市場価格と比較して高額な場合は対象外となることがあります。補助金を申請する前には、対象外のITツールでないか確認することが重要です。

    IT導入補助金の対象企業が申請前に行うべき準備4選

    IT導入補助金の補助を受けるためには、申請前に以下の事前準備が欠かせません。

    • ・事業の課題からITツールを選定する
    • ・必要書類を準備する
    • ・ITツールの導入資金を用意しておく
    • ・IT導入支援事業者へ相談する

    これらの準備を十分に行うことで、スムーズな申請ができるでしょう。ITツールの導入を成功させるために、ぜひ参考にしてください。

     

    事業の課題からITツールを選定する

    自社に適したITツールを選定するためには、まず課題を明確にすることです。対象となるITツールには、業務の効率化や情報セキュリティ対策など多岐にわたる機能があります。

    例えば接客対応の人手不足を感じている場合は、セルフオーダーの機能を持つソフトウェアの導入を検討することが考えられます。また社内の情報共有が不十分な場合は、コミュニケ―ションツールの導入が効果的でしょう。

    課題が整理されていない場合は、現場のスタッフにアンケートを実施して情報収集を行う方法もおすすめです。ある程度課題が分類できたら現状を詳しく診断して、解決できるITツールを選定していきましょう。

     

    必要書類を準備する

    法人がIT導入補助金の申請に必要な書類は「履歴事項全部証明」と「法人税の納税証明書」の2つです。履歴事項全部証明は、申請日から3ヶ月以内に発行のものを使用します。

    法人税の納税証明書は全部で6種類ありますが、IT導入補助金で必要なのは「その1」と「その2」のどちらかです。なお、提出できるのは税務署発行の直近の書類に限り、過去年度の証明書は無効となるため注意しましょう。

    また、納税証明書はPDF形式で印刷されたものに限り、e-TAXでの請求申請が可能です。納税証明書についての詳細は、国税庁の公式サイトをご覧ください。これらの書類を揃えて正確に申請することで、スムーズなIT導入補助金の申請が可能となります。

     

    ITツールの導入資金を用意しておく

    IT導入補助金は事業が完了したあとに給付されるため、ITツールの導入には申請側で全額を用意しておく必要があります。例えば通常枠の場合は最大で450万円の補助額が可能であり、補助金として支給されるのはそのうちの1/2に相当する金額です。

    したがって、手元に資金がない企業や資金繰りに余裕がない場合は慎重に考慮し、事前に十分な資金を用意しておくことが重要です。補助金の受給は後から行われることを考慮し、計画的な資金の準備を行いましょう。

     

    IT導入支援事業者へ相談する

    IT導入補助金の申請は複雑な手続きがあり、採択されないと補助金を受け取れません。申請が円滑に進むような書類を作成するためには、支援事業者のサポートが必要です。

    IT導入支援事業者は、最適なITツールの提案や申請書の確認など導入サポートを行う役割を担っています。自社に最適なITツールが分からない場合でも、プロに相談することでスムーズに進められるでしょう。

    NTT東日本ではIT導入補助金や事業再構築補助金に関する、補助金のサポートを行っております。例えば申請書類作成の支援や、活用可能な補助金の最新情報を提供します。

    申請書類にミスがあると修正に時間が掛かってしまう恐れもあるため、プロのアドバイスを聞いてスムーズに進めましょう。詳細なガイドブックを、以下のリンク先からダウンロードしてください。

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    IT導入補助金の対象企業は専門家のサポートを活用して効率的に進めよう

    IT導入補助金の申の対象となるのは「中小企業・小規模事業者など」です。ただし対象事業者であっても、大企業や宗教法人など「対象外となる事業者」に該当する場合は補助金の利用はできません。

    また補助対象となるITツールには、以下のようなオプション費用が含まれます。

    • ・自動化・分析ツール
    • ・機能拡張
    • ・データ連携ツール
    • ・セキュリティ

    しかし無料で提供されているツールなどは、補助金の対象外となります。IT導入補助金を申請するためには、ITツールの選定や必要書類の準備など多くの作業が必要です。企業がIT導入補助金を活用する際には、専門家のアドバイスを受けることも検討してみてはいかがでしょうか。

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