IT導入補助金の支援事業者が登録できるITツールを徹底解説!要件や申請手順も紹介
支援事業者に登録して、ITサービスの販売促進を図りたいという企業は多いのではないでしょうか。支援事業者に登録するためには、応募要件を満たして期限内に手続きを済ませなければなりません。
今回の記事では、IT導入補助金の支援事業者に登録する要件や手順についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.IT導入補助金の申請者は支援事業者からサポートを受けられる
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などを対象とする補助金制度です。自社の課題を解決するためのITツール導入を支援しており、申請枠ごとに補助金の目的や登録できるITツールが決められています。
支援事業者は、ITツールの提案や事業計画の策定支援をはじめとして、IT導入補助金を導入したい事業者のサポートを担当します。業務の具体的な内容は、以下のとおりです。
- ・ITツールの説明
- ・導入
- ・運用方法の相談等のサポート
- ・補助金の交付申請
- ・実績報告等の事務局に提出する各種申請・手続きのサポート
なお、IT導入補助金で補助金対象となるのは、事務局に対して支援事業者が登録し、認定を済ませたITツールのみです。
2.IT導入補助金の支援事業者になるための要件
支援事業者の登録形態には「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2種類があります。法人(単独)とコンソーシアムでは、登録形態の要件が異なります。それぞれ順番に見ていきましょう。
2-1.法人(単独)の登録要件
法人(単独)として登録するためには「IT導入支援事業者登録の手引き」に記載された21項目の要件を満たす必要があります。具体的な要件の例は、以下のとおりです。
- ・登録申請時点において、日本国内で法人登記され事業を営む法人
- ・安定的な事業基盤を有している
- ・本事業の対象要件を満たすソフトウェア、それに類するサービスを提供・販売した実績を有している
- ・事務局が定める要件を満たすITツールを登録・提供できる
登録要件をすべて満たし「法人(単独)」で登録できた支援事業者は、ITツールの登録や事業の結果報告など、すべての手続きを1つの法人で実施可能です。
2-2.コンソーシアムの登録要件
コンソーシアムは、業務を監督する1つの「幹事社」と、実際に申請者のサポートにあたる複数の「構成員」によって形成する登録形式です。コンソーシアムに区分される事業者の特徴は、以下のとおりです。
- ・単独でIT導入支援事業者としての要件を満たせない
- ・要件を満たすが、複数で業務を遂行したほうが中小企業・小規模事業者等の生産性向上に役立つ
幹事社と構成員には、それぞれ異なる登録要件があります。登録を検討する事業者は「IT導入支援事業者登録の手引き」の記載内容をしっかり理解しておくことが重要です。
3.IT導入補助金2023の支援事業者に関するスケジュール
IT導入補助金2023では「IT導入支援事業者及びITツールの登録申請期間」について、前期と後期の日程が定められています。前期の登録申請期間は、2023年7月10日に終了しています。
後期の登録スケジュールは、以下のとおりです。
登録申請期間(支援事業者) |
8/1〜 |
登録申請期間(追加構成員) |
不明 |
登録申請期間(ITツール) |
8/1〜 |
参考:登録申請・手続きフロー|IT導入補助金2023
※7月18日時点の情報
情報は都度更新されるため、最新のスケジュールはIT導入補助金の事務局が運営する公式Webサイトを確認してください。要件の読み込みや書類の準備に時間がかかっても対応できるよう、締め切りに余裕を持った申請を心がけましょう。
4.IT導入補助金の通常枠(A・B類型)で支援事業者が登録できるITツール
この章では、通常枠(A・B類型)で支援事業者が登録できるツールについて解説します。IT導入補助金では、申請枠によって登録できるITツールが異なります。
自社が展開するITサービスと照らし合わせて、どの枠で申請するかを決めるヒントにしてください。それぞれ順番に見ていきましょう。
4-1.ソフトウェア(大分類I)
ソフトウェア(大分類I)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・ITツール登録要領にて定義するプロセスの中から1つ以上に該当する
- ・1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーするソフトウェア
- ・「業種」「業務範囲」「業務機能」など仕様を明確に定義して開発され、一般に販売が開始されている
- ・保有する機能を説明する資料を提出する
- ・先行登録申請のITツールは、業務プロセスを有するソフトウェアでなければならない(汎用プロセス汎P-07のみを保有するソフトウェアは申請できない
- ・業務プロセスと汎用プロセスは同時に選択できない
参照元:ITツール登録の手引き|IT導入補助金2023
具体的な対象ツールには、以下の例が挙げられます。
- ・ワープロソフト
- ・表計算ソフト
- ・Web会議システム
- ・チャットボットシステム
申請の時点で販売されている製品でないと登録の対象外となるため、注意しましょう。
4-2.オプション(大分類II)
ソフトウェア(大分類II)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・大分類Iソフトウェアの機能を拡張する
- ・大分類Iソフトウェアのデータソースからデータを受け取り、システム間で相互に共有・活用ができるように連携・同期を行う
- ・大分類Iソフトウェアを安全に使用するために講ずるセキュリティ対策費用
具体的な対象ツールには、以下の例が挙げられます。
- ・ソフトウェアの機能拡張モジュール
- ・CSVデータ・アップローダ
- ・ウイルス対策ソフト
ソフトウェアの導入に関連しない仮想化サーバーやストレージは、登録の対象外です。
4-3.役務(大分類III)
役務(大分類III)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・交付決定後に発生するITツールの導入に向けた詳細設計(導入計画、教育計画の策定等)などのコンサルティング費用
- ・大分類Iソフトウェア、大分類Ⅱオプションのインストール作業や動作確認の費用、マスタ設定等の導入設定費用、操作指導等の教育費用やマニュアル作成費用等
- ・大分類Iソフトウェア、大分類Ⅱオプションの保守費用全般
- ・買取製品の大分類Iソフトウェアに対する保守費用は最大2年分が補助対象
- ・月額・年額で使用料金が定められている形態(サブスクリプション販売形式等)の大分類Iソフトウェアに対する保守費用は、申請するソフトウェアの利用期間の範囲内で最大2年分が補助対象
参照元:ITツール登録の手引き|IT導入補助金2023
具体的な対象ツールには、以下の例が挙げられます。
- ・教育計画作成費用
- ・導入設定費用、テーブル設定費用
- ・運用マニュアル作成費用
補助金の交付決定前に発生した、提案段階のコンサルティング費用やITツールの設定作業は登録の対象外となります。
5.IT導入補助金のデジタル化基盤導入類型で支援事業者が登録できるITツール
この章では、デジタル化基盤導入類型で支援事業者が登録できるITツールについて解説します。通常型との違いを意識して読み進めることで、より理解が深まります。それぞれ順番に見ていきましょう。
5-1.ソフトウェア(大分類I)
ソフトウェア(大分類I)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
<会計・受発注・決済・ECの4つの機能のいずれかを保有するソフトウェア>
- ・会計機能:共P-04に含まれる仕訳、各種出納帳、総勘定元帳、試算表や財務三表(B/S,P/L,C/F)の作成機能が含まれるソフトウェア
- ・受発注機能:共P-02に含まれる、売り手側機能では売上請求管理、売掛・回収管理や電子記録債権、手形管理機能、買い手側機能では仕入管理(仕入明細)、買掛・支払管理等の機能が含まれるソフトウェア
- ・決済機能:共P-02に含まれるPOSレジシステム等の決済機能や、商品売買に伴い金銭のやり取りによって債権債務を解消させる機能が含まれるソフトウェア
- ・EC機能:共P-02に含まれるWebサイト上で商品を販売する電子商取引の機能が含まれるウェブサイト
なお、デジタル化基盤導入枠ではプロセス数の要件はありません。
5-2.オプション(大分類II)
オプション(大分類II)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・大分類Iソフトウェアの機能を拡張する
- ・大分類Iソフトウェアのデータソースからデータを受け取り、システム間で相互に共有・活用ができるように連携・同期を行う
- ・大分類Iソフトウェアを安全に使用するために講ずるセキュリティ対策費用
大分類IIは、通常枠(A・B類型)と同様の要件となっています。
5-3.役務(大分類III)
役務(大分類III)で定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・交付決定後に発生するITツールの導入に向けた詳細設計(導入計画、教育計画の策定等)などのコンサルティング費用
- ・大分類Iソフトウェア、大分類Ⅱオプションのインストール作業や動作確認の費用、マスタ設定等の導入設定費用、操作指導等の教育費用やマニュアル作成費用等
- ・大分類Iソフトウェア、大分類Ⅱオプションの保守費用全般
- ・買取製品の大分類Iソフトウェアに対する保守費用は最大2年分が補助対象
- ・月額・年額で使用料金が定められている形態(サブスクリプション販売形式等)の大分類Iソフトウェアに対する保守費用は、申請するソフトウェアの利用期間の範囲内で最大2年分が補助対象
通常枠(A・B類型)にない要件として「大分類ⅣハードウェアのITツールのインストール作業や動作確認の費用、マスタ設定等の導入設定費用、操作指導等の教育費用やマニュアル作成費用等」が含まれます。
5-4.ハードウェア(大分類IV)PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機
ハードウェア(大分類IV)のうち、PCやタブレットについて定められた登録要件は、以下のとおりです。
- ・事前登録は不要、交付申請の際に数量、金額を申請
- ・大分類Iカテゴリー1ソフトウェア(“会計・受発注・決済・EC”のいずれかの機能を含む)とあわせて導入する場合に限り、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機の購入費用及びこれらにかかる運搬費がデジタル化基盤導入類型において対象
- ・運搬費が発生する場合はハードウェア本体価格と合算して申請
- ・POSレジ以外の用途で使用するPC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機が対象
すでに導入済みや補助対象の経費となっていないソフトウェアを使用する目的で支払った費用は、補助の対象外となります。
5-5.ハードウェア(大分類IV)POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機
ハードウェア(大分類IV)のうち、POSレジや券売機について定められた登録要件は、以下のとおりです。
1.製品が最も当てはまるものを以下1つから選択する
- ・POSレジ(POS専用機をPOSレジとして使用する)
- ・モバイルPOSレジ(汎用PCやタブレットをPOSレジとして使用する)
- ・券売機(券売機として使用する)
2.POSレジの申請の場合
- ・POS専用機を申請する場合、本体機器の型番ごとに申請
- ・ITツール登録時と同型番の機器を導入していることを、実績報告の際に確認
- ・同じ機器で複数のカラー展開がある場合は、カラーごとではなく1つのITツールとして登録
- ・本体機器の型番が確認できる資料を提出
- ・同じ型番の機器が、設定によって券売機としても利用が可能である場合、「POSレジの種類」の「POSレジ」「券売機」それぞれ両方に申請
3.モバイルPOSレジの申請の場合
- ・汎用PCやタブレットをPOSレジとして利用するモバイルPOSレジを申請する場合、汎用機器の種類ごとに別々のITツールで申請
- ・パソコン型モバイルPOSレジ、タブレット型モバイルPOSレジ等を1つずつ登録
- ・PCやタブレットの製品名、型番、OSの種類の違い、端末型番ごとの申請は不要(実績報告時には、ITツールの登録内容との整合性を確認する。パソコン型モバイルPOSレジで登録・交付決定を受けたものを、タブレット型モバイルPOSレジに変更することは不可)
- ・パソコン型・タブレット型ともに、モバイルPOSレジとして取り扱う製品一覧、価格表一覧を提出(実績報告時には、ITツール登録時に事前に資料が提出され、審査を通った経費であるかを確認)
4.券売機の申請の場合
- ・券売機を申請する場合、本体機器の型番ごとに申請
- ・実績報告時には、ITツール登録時と同型番の機器を導入しているかを確認
- ・同じ機器で複数のカラー展開がある場合は、 カラーごとではなく1つのITツールとして登録
- ・本体機器の型番が確認できる資料を提出
- ・同じ型番の機器が、設定によってPOSレジとしても利用が可能である場合、「POSレジの種類」の「POSレジ」「券売機」それぞれ両方に申請
一般的な市場価格と比較して著しく価格が高いツールは、補助の対象外となります。
6.IT導入補助金の支援事業者に登録する手順
IT導入補助金の支援事業者に登録する手順は、以下のとおりです。
- 1.IT導入補助金の公式Webサイトから仮登録する
- 2.事務局からIT事業者ポータルのアカウント付与を受ける
- 3.事務局へ登録申請する
また、登録申請の際には以下の情報の入力が必要です。
- ・事業者としての基本情報
- ・事業の要件を満たす代表的なITツールの情報
- ・コンソーシアム構成員のうち代表者の情報
法人か個人事業主かによって、添付書類などの要件が異なります。要項をよく読んで、不備なく申請しましょう。
7.まとめ
支援事業者とは、IT導入補助金を導入したい事業者のサポートを担当します。支援事業者に登録することで、ITサービスの販売促進につながります。細かい要件が設定されているため、要項をよく理解して登録手続きを進めましょう。
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