導入補助金2023は個人事業主でも活用できる!申請要件や手順を7ステップで解説
業務のデジタル化に活用できる補助金として、IT導入補助金に注目している個人事業主の方は多いのではないでしょうか。IT補助金を活用してデジタル化を進めることで、業務効率化やインボイス制度へも対応しやすくなります。
今回の記事では、個人事業主がIT導入補助金2023を活用するための要件や手順について、最新情報を解説します。手続き完了までの流れが簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
1.IT導入補助金2023は個人事業主でも活用できる
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者を対象に、課題改善やインボイス制度対応などを目的としたITツール導入の費用を補助する制度です。個人事業主は所定の要件を満たすことで「小規模事業者等」に分類され、補助の対象となります。
IT導入補助金には大きく分けて3つの枠があります。枠ごとに設定された事業の目的は以下のとおりです。
通常枠(A・B類型) |
業務効率化・売上アップ |
セキュリティ対策推進枠 |
サイバー攻撃や生産性向上を阻害するリスクの低減 |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) |
インボイス制度対応を見据えた企業間取引のデジタル化 |
ご自身の事業で解決したい課題にあわせて、申請枠を選択しましょう。
2.個人事業主がIT導入補助金2023を申請するための3つの基本情報
個人事業主がIT導入補助金を申請するために押さえておくべき基本情報は、以下の3点です。
- ・対象者
- ・対象のITツールと補助率・補助額
- ・申請スケジュール
まずは、自身の業種や申請予定のITツールが要件を満たしているか把握しておきましょう。それぞれ順番に解説します。
2-1.対象者
補助対象になる小規模事業者とは、以下の条件を満たす事業者を指します。
業種分類 |
従業員(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
20人以下 |
製造業その他 |
20人以下 |
ただし、個人事業主として1人で仕事を請け負っている事業者は、業種にかかわらず申請対象に含まれます。
2-2.対象のITツールと補助率・補助額
申請枠ごとの補助額・補助率は、以下のとおりです。
<通常枠>
補助額 |
下限なし~350万円 |
|
50万円以下の部分 |
50〜350万円の部分 |
|
機能要件 |
・会計 |
・会計 |
補助率 |
3/4以内 |
2/3以内 |
対象ソフトウェア |
・会計ソフト |
|
補助対象 |
・ソフトウェア購入費 |
参照元:公募要領 通常枠(A・B類型)|IT導入補助金2023
<セキュリティ対策推進枠>
補助額 |
5~100万円 |
補助率 |
1/2以内 |
機能要件 |
独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス |
補助対象 |
サービス利用料(最大2年分) |
参考:公募要項 セキュリティ対策推進枠|IT導入補助金2023
<デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)>
補助額 |
下限なし~350万円 |
|
50万円以下の部分 |
50〜350万円の部分 |
|
機能要件 |
・会計 |
・会計 |
補助率 |
3/4以内 |
2/3以内 |
対象ソフトウェア |
・会計ソフト |
|
補助対象 |
・ソフトウェア購入費 |
ハードウェア購入費 |
・PC |
・レジ |
参考:公募要項 デジタル化基盤導入枠|IT導入補助金2023
「通常型は賃上げ目標についての審査内容がA型・B型によって異なる」「デジタル化基盤導入枠はハードウェア購入費も補助対象」のように、ITツールの種類以外にも申請枠によって要件に細かい違いがあります。詳しくは、IT導入補助金2023の公募要領をよく確認してください。
2-3.申請スケジュール
IT導入補助金2023のうち8月1日以降の申請は、後期事務局の管轄に切り替わります。8月1日以降の最新スケジュールは、以下のとおりです。
<通常枠>
5次締め切り |
締め切り日 |
2023年8月28日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年10月12日(木)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年3月29日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年3月29日(金)17:00 |
|
6次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月2日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年11月6日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年4月30日(火)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年4月30日(火)17:00 |
|
7次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月30日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年12月4日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年5月31日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年5月31日(金)17:00 |
<セキュリティ対策推進枠>
5次締め切り |
締め切り日 |
2023年8月28日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年10月12日(木)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年3月29日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年3月29日(金)17:00 |
|
6次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月2日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年11月6日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年4月30日(火)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年4月30日(火)17:00 |
|
7次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月30日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年12月4日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年5月31日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年5月31日(金)17:00 |
<デジタル化基盤導入枠>
7次締め切り |
締め切り日 |
2023年8月28日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年10月12日(木)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年3月29日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年3月29日(金)17:00 |
|
8次締め切り |
締め切り日 |
2023年9月11日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年10月24日(火)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年4月30日(火)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年4月30日(火)17:00 |
|
9次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月2日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年11月6日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年4月30日(火)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年4月30日(火)17:00 |
|
10次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月16日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年11月20日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年5月31日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年5月31日(金)17:00 |
|
11次締め切り |
締め切り日 |
2023年10月30日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年12月4日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年5月31日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年5月31日(金)17:00 |
|
12次締め切り |
締め切り日 |
2023年11月13日(月)17:00 |
交付決定日 |
2023年12月18日(月)(予定) |
|
事業実施期間 |
交付決定〜 2024年6月28日(金)17:00 |
|
事業実績報告期限 |
2024年6月28日(金)17:00 |
参照元:IT導入補助金 事業スケジュール|IT導入補助金2023
※情報は2023年7月24日時点
なお、申請スケジュールは都度更新される可能性があります。最新情報はIT導入補助金2023の公式Webサイトで確認してください。
3.個人事業主がIT導入補助金を申請する8つのステップ
個人事業主がIT導入補助金を活用する手続きの流れは、以下の7ステップです。
- ・IT導入支援事業者とITツールを選択する
- ・gBizIDプライムを取得する
- ・「みらデジ経営チェック」を完了させる
- ・交付を申請する
- ・事業を開始する
- ・事業実績を報告する
- ・補助金の交付手続きをする
- ・事業の実施効果を報告する
あらかじめ全体の流れを理解しておくことで、正確かつスピーディーな申請が可能です。それぞれ順番に解説します。
3-1.IT導入支援事業者とITツールを選択する
IT導入支援事業者は、申請者(個人事業主)がスムーズにITツールを導入できるよう、説明や手続きをする事業者です。申請者は「課題を解決できるITツール」と「目的に合ったサービス」を提供している支援事業者を選択します。
NTT東日本ではIT導入補助金や事業再構築補助金など、補助金のサポートを行っています。いまならIT導入補助金2023を徹底解説したガイドブックを配布中です。IT導入補助金の申請に役立つ情報がつまっているので、申請を検討している方はぜひ下のリンクからダウンロードしてください。
3-2.gBizIDプライムを取得する
gBizIDは、複数の行政サービスを1つのアカウントで利用できる認証システムです。申請から発行までおよそ2週間かかるため、はやめに手続きするのが良いでしょう。
また、gBizIDプライムアカウントの取得と並行して独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。交付申請時に宣言済みのIDが必要となるため、手続きを忘れずに済ませておきましょう。
3-3.交付を申請する
必要な情報を集めて作成した交付申請を、申請者が事務局へ提出します。提出された交付申請は、外部の審査委員会によって審査され、採択の可否が決定します。
個人事業主が交付申請の際に必要となる書類は、以下のとおりです。
本人確認書類 |
・運転免許証(有効期限内) |
事業実態確認書類1 |
税務署で発行された直近分の所得税納税証明書 |
事業実態確認書類2 |
税務署が受領した直近分の申告の控え |
法人の提出書類とは要件が異なります。不備がないよう、提出前にしっかりと確認しましょう。
3-4.事業を開始する
採択となった申請者は、補助事業を開始できます。事務局から「交付決定通知」を受けた事業者は「補助事業者」と呼ばれます。
のちの事業実績報告の際には、事業に関する証憑の添付が必要です。必要となる情報を事前に確認したうえで、破棄せずに保管しておきましょう。
3-5.事業実績を報告する
申請者が「申請マイページ」で作成した事業実績報告を、支援事業者がチェックします。確認後、実施した事業内容を事務局へ報告します。実績報告を提出するまでに、ITツールに関する以下の事業が完了していなければなりません。
- ・発注
- ・契約
- ・納品
- ・支払いなど
事業に関する証憑は、事業実績報告に漏れなく添付しましょう。報告された内容は、事務局から確定検査を受けます。
3-6.補助金の交付手続きをする
事業実績報告が完了して補助金額が確定すると「申請マイページ」で補助額を確認できます。申請者が内容を確認して承認すると、補助金が交付されます。交付手続きが止まってしまわないよう、申請マイページでの承認作業は忘れずに済ませておきましょう。
3-7.事業の実施効果を報告する
定められた期限内に、補助事業者は事業実績効果報告を申請します。期限は枠や申請の締切日によって異なります。
必要情報を入力したのちに、IT導入支援事業者の確認を受けましょう。実施効果の報告が完了すると、IT導入補助金の手続きは完了となります。
4.IT導入補助金2023を個人事業が申請する際の3つの注意点
IT導入補助金2023は個人事業主の業務デジタル化を支援する一方で、申請する際にはいくつかの注意点があります。具体的な注意点の例は、以下のとおりです。
- ・審査上の加点・減点項目
- ・申請要件の未達成
- ・申請内容の不備
注意点を押さえておくことで、申請が不採択になる要因の軽減につながります。それぞれ順番に見ていきましょう。
4-1.審査上の加点・減点項目
IT導入補助金2023では、申請枠ごとに審査に関連する加点・減点項目を定めています。たとえば、通常枠(A・B類型)の審査項目と審査事項は、以下のとおりです。
審査項目 |
審査事項 |
事業面からの審査項目 |
・自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか |
経営目標値の審査 |
・労働生産性の向上率 |
政策面からの審査項目 |
・生産性の向上および働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか |
加点が少なく減点が多いと、採択に影響が出る恐れがあるため注意が必要です。審査基準は申請枠によって異なるため、公募要領の読み込みや支援事業者への相談・確認を徹底しましょう。
4-2.申請要件の未達成
申請要件を満たしていない申し込みは、不採択につながる恐れがあります。申請要件を満たしていない例は、以下のとおりです。
- ・申請の締め切りに間に合っていない
- ・国が実施するほかの補助金・助成金と併用している
- ・「みらデジ経営チェック」が完了していない
IT導入補助金2023は、申請書類の修正や差し替えが認められていません。要件を満たしていない申請は、修正の機会なく不採択となる可能性があるため注意しましょう。
4-3.申請内容の不備
IT導入補助金2023では、指定された書類を申請の際にまとめて提出します。書類の不備は、不採択につながる可能性があるため注意が必要です。
たとえば、IT導入補助金2023で提出する所得税の納税証明書は、税目が「所得税」かつ発行元が「税務署」となっている必要があります。そのため発行元が「市区町村」である市民税や区民税の納税証明書を添付すると要件を満たせていません。提出する前に、補助金申請のプロから書類のチェックを受けておくと安心です。
5.まとめ
IT導入補助金2023は、個人事業主が活用できる補助金制度です。申請要件やスケジュールを確認して、ITツールや支援事業者の選定から手続きをスタートしましょう。要件の未達成や申請内容の不備は、不採択につながる可能性があります。補助金の専門家に相談することで、スムーズかつ正確な申請が可能です。
NTT東日本ではIT導入補助金や事業再構築補助金など、補助金のサポートを行っています。IT導入補助金の申請にお悩みの企業担当者の方は、NTT東日本までお気軽にお問い合わせください。