| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)
DXが働き方改革を実現する手段になる!導入方法や成功事例を紹介
日常的にデジタル技術を活用することが定着し、最近ではさまざまなDXサービスが普及しています。政府も推進している働き方改革を自社で進めるときには、DX化が欠かせません。
DX化とは、デジタル技術を使ってライフスタイルやビジネスに良い変化をもたらすことをいいます。これからDX化によって働き方改革を進めたいと考えている企業担当者のなかには、具体的にどのような施策を実施したらよいのか分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、DX化と働き方改革の関連性や導入方法などを解説します。実際にDX化による働き方改革をした事例も紹介するので、企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次:
1.DXは働き方改革を実現する手段
DXとはDigital Transformationの略で、直訳では「デジタル改革」という意味になります。元々はデジタル技術によって、ライフスタイルに良い変化をもたらすことを意味していました。しかし最近ではビジネスにおいてのDX化が注目され、社会全体にデジタル技術を浸透させることで生活を良いものに変えることを意味するようになりました。
また、ただデジタル技術を用いるのではなく、これまでの価値観や枠組みを根本から変え、革新的な商品やサービスを作り出すことを目的としています。働き方改革においては、DX化を進めることで業務の効率化や労働時間の削減などが期待されています。
2,働き方改革とは?概要を解説
働き方改革とは、労働環境を改善し、それぞれに合った働き方を選択できる仕組みを作ることです。日本は少子高齢化に伴い労働人口が減少し、人手不足や長時間労働が課題となっています。
そこで政府は2018年7月に働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)を交付し、労働環境を改善するよう働きかけてきました。働き方改革は2019年4月から順次施行されています。
また、働き方改革は下記を3つの柱とし、これらを軸としてさまざまな制度が施行されています。
- ・多様で柔軟な働き方の実現
- ・正規・非正規間の格差の解消
- ・長時間労働の是正
働き方改革によって、労働者が無理することなく働けるようになれば、社会全体としても良い循環が生まれると考えられています。
3.DX化による働き方改革3つの目的
DX化は働き方改革を推進する上で欠かせない要素となっています。この章では、DX化による働き方改革の目的を解説します。まずは、DX化による働き方改革の必要性を理解しましょう。
1生産性向上
日本では少子高齢化に伴い、労働人口の減少が課題となっています。海外からの労働者を受け入れたり少子化対策を行ったりしているものの、現状まだ改善には至っていません。そのため、課題解決に向けて従業員一人あたりの生産性を向上する必要があります。
生産性を向上するためには、業務の効率化が必要です。業務効率化のためには、ワークフローの見直しや無駄な業務の洗い出しと併せて、DX化できる作業があるかも検討しましょう。ツールの導入などのDX化により、業務効率化を行う必要があります。
2テレワークの導入
働き方改革によって柔軟な働き方を実現するためには、テレワークの導入が欠かせません。場所を問わず、職場と同じように働ける環境を作る必要があります。
テレワークの導入にあたって、職場への出勤が必要な業務をなくしたり、社外からでもネットワークやデータにアクセスできるようにしたりするために、さまざまなツールを導入することをおすすめします。
勤怠管理システムやチャットツール、Web会議システムなど、さまざまな種類のシステム・ツールがあるので、自社のニーズに合ったものを選ぶようにしましょう。
3残業の削減
DX化による働き方改革には、残業の削減という目的もあります。日本では、人手不足を原因とする長時間勤務に悩んでいる従業員が多いのが課題です。長時間の残業を改善することで、健康リスクの軽減やプライベートの充実につながり、結果として満足度の向上や離職率の低下が期待できます。
残業を減らすためには、業務の効率化が必要です。業務の自動化や勤怠状況の可視化によって、長時間勤務を改善していきましょう。
4.DXを導入する5つの方法
DXを導入するときには、段階的に進めていくことが大切です。この章では、働き方改革のためにDXを導入するときの方法をステップごとに解説するので、企業担当者の方は参考にしてみてください。
1自社の課題を洗い出す
働き方改革を進めるときには、最初に自社の現状や課題を把握することが大切です。現状を把握するために、従業員に直接話を聞いてみるのもおすすめです。
どのような点が課題なのかを洗い出し、解決できそうなものをピックアップしましょう。特にトラブルが発生しそうなものや、ワークフローの見直しやツールの導入などによって効率化できる余地がある業務を探してみてください。
2ツールを導入する
解決できそうな課題を洗い出せたら、ニーズに合ったツールは何か検討しましょう。定型化された業務をロボットに置き換えるPRA(Robotics Process Automation)やクラウド管理など、さまざまなツールがあるので、自社に最適なツールを選びましょう。
ツールに求める業務レベルによって、費用や取り入れやすさが変わります。従業員がうまく活用できないと意味がなくなってしまうので、自社で求める要件を考えたうえで導入を検討するようにしましょう。
3データ活用の基盤を構築
データの活用は、新しい価値の創造や課題解決に対して有効的な手段のひとつです。データを活用することで、どのようなゴール・成果を得たいのか検討しましょう。蓄積されたデータをどのように活用したらゴールにたどり着けるのか、仮説を立てながら施策を実施していきます。
4業務フローの整備
働き方改革を進めるときには、業務効率化のために業務フローの整備・見直しが必要です。導入したツールをどのように業務で活用するのかを検討し、業務フローを構築していきましょう。業務フローを整備したら、従業員への周知を行います。
業務フローを明確化すると従業員の方にとっても仕事の進め方やツールを使用するタイミングが分かりやすくなるので、ツールの使用を取り入れやすくなります。
5導入後の成果確認・改善
ツールを導入して新しい業務フローを実践したら、実際にどのくらいの業務が効率化できたのか確認しましょう。改善が必要であれば、再度業務フローの見直しを行います。必要に応じて試行錯誤を繰り返しながら、事業活動に反映できるようにしましょう。
5.DX化による働き方改革の取り組み事例5選
この章では、DX化による働き方改革を実際に行った企業の事例を紹介します。具体的な施策のイメージがつかない方は、ぜひ他社の事例を参考にしながら進めてみてください。
1ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のISP事業部では、お客さまから届いた申込書を手入力で登録していました。そのため、手続きの処理が完了するまで1営業日以上かかることもありました。
そこで、紙の資料をスキャンしてデータ化する「AIよみと~る」を導入しました。非IT部門のため「AIよみと~る」の検証段階では疑問や自己解決できないこともありましたが、相談可能なサポートセンターがあるので、すぐに解決でき、問題なく運用できました。結果として、2人で行っていた業務が1人でできるようになり、年間300時間の稼働時間が削減できました。
2合同会社ファットエバー
経理の代行業務を行っている合同会社ファットエバーは、お客さまから預かった領収書や請求書を手入力で帳簿へ入力していました。そこで「AIよみと~る」を使ってデータ化し、「おまかせRPA」で帳簿に自動入力するようにしたところ、1時間に60仕訳だった作業が120~200仕訳できるようになりました。
また、全体的な作業スピードが早まったことから、お客さまへのサポートに時間を割けるようになりました。
3株式会社シラカワ
株式会社シラカワの仕入情報課では、日本全国約20か所の営業所から集めた納品書を販売管理システムに入力しています。膨大な量になるため、入力業務にかなりの時間と人数を割いていました。
納品書はサイズもバラバラで手書きのものもあったため、普通のOCRではなく、AIを使ったOCRという点に興味を持ち「AIよみと~る」を導入しました。これまでは電話対応をしながら入力作業を行うこともありましたが、今では月次締めの時間までの余裕ができ二重確認する時間が持てるようになりました。
4浅井産業株式会社
本社を移転するタイミングで、膨大な量の紙資料をペーパーレスにできないかという課題がありました。そこで、ペーパーレス化のために「AIよみと~る」を導入しました。
「AIよみと〜る」の導入によって帳票の入力も自動でできるようになり、全体で月10時間の業務時間削減につながっています。また、事前にペーパーレス化を導入していたことで、テレワークへの移行がスムーズにできました。
5ずゞや株式会社
ずゞや株式会社では社内のIT化を進める動きがあり、副社長が「AIよみと〜る」に関する記事を読んだことがきっかけで導入しました。注文を扱っている担当者は月800〜1,000件の注文書を手入力しており、毎日のように残業をしていましたが、導入してからは締め日の2〜3日前から作業をすれば終わるくらいになりました。
残業が減ったのは担当者だけではありません。社内全体で業務効率化に対しての意識改革が進み、業務フローの見直しなどが意欲的に実施されるようになりました。
6.まとめ
DX化とは、デジタル技術を使ってライフスタイルやビジネスに良い変化をもたらすことをいい、働き方改革と併せて進めることが推奨されています。
働き方改革のためにDX化を進めるときには、最初に自社の課題を洗い出し現状を把握してから自社のニーズに合ったツールを導入することをおすすめします。そのあとに業務フローを整備し、実際に導入してからも改善点があれば試行錯誤しながら進めていきましょう。
また、社内における働き方改革の推進には「おまかせ はたラクサポート」・「コワークストレージ」や手書き書類をCSVに変換できる「AIよみと〜る」といったサービスをセット導入することがおすすめです。NTT東日本では、これらのクラウドサービスに関する使い方やサポート対応をセットにして提供しています。また、無料で体験可能な「DX無料体験プログラム」を用意しています。興味のある方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。
この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。