| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)
企業におけるデータ管理を成功させるポイントを解説!課題や必要性、メリットを紹介
社会全体で業務のIT化が進んでいる昨今、企業が保管するデータ量は膨大です。そこで、企業の規模やIT環境、業務内容に合った解決方法を探り、データを上手に運用・管理していくことが求められています。
会社の経営存続や業績向上には、管理しているデータをうまく活用することが必要不可欠ですが、膨大なデータの管理に悩まされている企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、データ管理の概要や課題、メリットをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次:
1.データ管理とは?概要を解説
企業にある膨大なデータを、整理せずただ蓄積しているだけだと、それらのデータをうまく活用できません。データを適切に管理できれば、企業の成長にもつながります。
この章では、データ管理の基礎知識とその必要性について解説します。
1基礎知識
データ管理とは、データを安全に保管し、検索しやすいように整理・保持しておくことです。企業には、膨大な量の売上データや顧客データなどがあります。それらの閲覧や活用、共有がスムーズにできるように、普段から規則を整えておくことが不可欠です。
例えば、顧客データをしっかり管理できていれば、顧客の氏名や住所、連絡先や問い合わせ回数、これまで購入した商品の情報をすぐ調べられるため、効果的な営業に生かせます。
このように、データ管理をしておくことで、会社の生産性を上げられるのです。
2必要性
データ管理は、あらゆる経営判断をデータに基づいた根拠を持って行うために必要です。データ管理ができていないと、以下のことを引き起こす可能性があります。
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・多重入力が発生し、非効率的になる
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・データの質が低くなり、トラブルの元になる
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・在庫管理や営業案件の管理ができなくなる
データの価値を最大限に活用できれば、思いつきや感覚的な根拠で現状判断や戦略立案ができるようになります。そのために、社内のデータを社員全員が閲覧できる場所に保管しておくことが必要です。
2.データ管理における3つの課題
データ管理には、3つの課題があります。
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・散在しており検索性が悪い
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・管理コストがかかる
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・データ共有がしにくい
データ管理を適切に進めるためには、この3つの課題を解決できるようにしましょう。
1散在しており検索性が悪い
データが膨大になると、必要なデータをすぐに見つけられないという問題が発生します。
部門・業務ごとにデータを管理している場合、それぞれのシステムが統合されていないために、必要な情報にアクセスできず、以下のことを引き起こす原因になります。
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・多重入力などの非効率運用
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・データの質の低下
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・在庫管理や営業情報の管理の不備
また、書類で管理している場合は、保管されている場所にファイルを探しに行く必要があるため手間がかかります。データが散乱し、検索性が低下すると、データ管理をしても有効に活用できません。
2管理コストがかかる
データを長い期間、セキュリティレベルを維持しながら保管するのに、コストがかかります。
データの量が増えるほど、データを管理するアプリケーションの連携や開発・保管にかかるコストやシステムの運用・管理コストも上がります。また、データの管理にはセキュリティ対策も欠かせません。会社の定めるセキュリティレベルによっては、高額なシステムを導入する必要があるでしょう。
もし、データが漏えいすれば、企業にとって大きなダメージになります。データの重要度を選別し、適切なデータ管理を行うことは、管理コストにも影響を与えます。
3データ共有がしにくい
特定の事業部間ではデータの共有ができていても、異なる部門が加わると共有がしにくいという課題が発生します。
データの管理方法が統一されていないままだと、横のつながりがなく、システムの連携が複雑に入り組みながら大規模化する事態に陥ってしまうでしょう。また、その中に重要度の低いデータが紛れると、余計に社内でデータ共有するのが難しくなってしまいます。
データを連携させ一元化しておくことは、スムーズな共有を促し、会社全体の業務効率化につながります。
3.データ管理を成功させる2つのポイント
データ管理を進めていても、最新の情報がどれかわからなかったり、関連する情報が違う場所に保存されていたりすると、データを活用したいときに見つけられません。そのため、以下のポイントに沿って、適切に管理することが大切です。
保管するデータの条件を決める
データごとのライフサイクルを決める
保管するデータの条件を決めれば、データの取捨選択に悩む時間が減ります。また、必要なデータや、必要かわからないデータを、どのように運用するか社内で共有しておけば、管理方法に悩む時間が減り、効率化につながります。
1保管するデータの条件を決める
まずはデータの重要性を定義しましょう。企業が保持しているデータは「必要なもの」「不必要なもの」「必要か不必要かわからないもの」の3つに分けられます。
例えば、データの重要度を定義せずにすると、保管期間が定められているものまで破棄してしまう可能性があります。また、必要なデータを探す時間も取らなくてはいけません。
データ管理を成功させるためには、最初の段階で重要度を決めて、分別しておく必要があります。
2データごとのライフサイクルを決める
データ管理では、「ライフサイクル」と呼ばれる、作成・保管・活用・共有・長期保存・破棄という一連の流れを決めておく必要があります。
保管されるデータには、長期にわたって活用されるものからメモ書きのようにすぐ破棄して良いものがあります。データの重要性ごとにライフサイクルの長さを設定しておきましょう。「このデータは保存するか破棄するかどうしよう」と悩むことなく、直感的にデータ管理ができます。
4.データ管理を行う5つのメリット
データ管理には、以下のメリットがあります。
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・必要なときに必要なデータを見つけられる
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・業務効率化
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・情報漏えいなどのリスクを減らす
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・データを可視化する
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・場所を問わずアクセスできる
データ管理は、膨大なデータを持っている大企業だけに必要なものではありません。さまざまな規模の企業にとって、自社の生産性を高めるために重要な要素です。これらのメリットを最大限生かせるデータ管理をしましょう。
1必要なときに必要なデータを見つけられる
会社のさまざまなデータを一元管理できれば、社員の誰もが、必要なときに必要なデータを見つけられるようになります。
保管すべきデータ量が増えるほど、必要なデータをスピーディに探し出せない問題が起こります。部署や業務に分かれていて、一元管理されていなければ、データの検索が難しく、必要なときに必要なデータが取り出せなくなってしまうでしょう。
普段よりデータ管理が徹底されていれば、保存時に検索項目を設定することで、簡単に使いたいデータを探し出せます。
2業務効率化
適切なデータ管理を行うとデータを探す時間を短縮でき、業務に無駄な時間や工数が発生しなくなります。
現在、データドリブンと呼ばれるデータを分析して解決策を考える業務プロセスが認識され始めています。データの根拠に基づく意思決定が重要視されるため、目的とするデータを素早く取り出せる環境にしておくことが必要です。
また、フォルダ名・ファイル名などの命名規則を会社でルール化することで、データを見つけやすくなります。
3情報漏えいのリスクを減らす
データ管理を適切に行い、定期的にバックアップをとったり、厳しいアクセス制限を設定したりすることで、情報漏えいのリスクを減らせます。
USBメモリなどでデータを持ち歩いていた場合、紛失や盗難のリスクがあり、情報流出につながります。
データをクラウド上などで管理し、アクセスログを確認できる状態にすることで、データを閲覧した人や時間を正確に把握することが可能です。
4データを可視化する
一元的に管理しているデータを分析することで、リアルタイムで経営者が知りたい情報を可視化し、根拠ある正確な経営判断を下すことが可能です。
例えば、データが可視化されてないと「営業が頑張っているから、契約は取れているはずだ」と言った肌感覚や主観で経営が進み、誤った判断をする恐れがあります。
不明なデータや欠損データが入り込んでいると、データの可視化がさらに難しくなります。必要なデータと不必要なデータを分け、可視化することは、根拠のある正しい経営判断に必要です。
5場所を問わずアクセスできる
データを一元管理する場所をクラウド上に設定すれば、自宅や外出先、または遠隔地にいても必要な情報にアクセスできます。
社員がUSBや書類でデータを持ち出した場合、紛失などのリスクが伴いますが、データであれば社外へ持ち出す必要もありません。そのため、テレワークなどの柔軟な働き方に対応できるようになり、セキュリティ対策と働き方改革のどちらも担うことが可能です。
5.スムーズなデータ管理はNTT東日本の「コワークストレージ」
「コワークストレージ」は、NTT東日本が提供する従来のファイルサーバーやネットワーク対応HDDと変わらない運用を実現したクラウドストレージサービスです。インターネットを通して、どこからでもセキュリティレベルの高い環境で利用することが可能です。
フォルダの全階層に対して柔軟にアクセス権限を設定でき、ログインには多要素認証も利用できるなど、強固な情報セキュリティ対策が行えます。また、格納データや通信経路も暗号化されるため、どこからアクセスしても安全にデータを取り扱えます。
利用人数や容量に応じたさまざまなプランを用意しているので、クラウドストレージの導入を検討している方は以下のリンクを参考にしてください。
6.まとめ
膨大なデータが増え続ける現代では、企業活動においてデータ管理の必要性が増しています。
データ管理を適切に行い、根拠を持って現状把握や営業ができれば、仮にうまくいかなくても「どこが間違っていたのか」「何を改善すればよくなるのか」がわかり、的確な分析につながるでしょう。
また、自社に合ったデータ管理サービスを使うことで、コストの削減、セキュリティ強化、生産力の向上が見込めます。思いつきや主観的な経営判断ではなく、データを有意義に使い、ビジネスに活用していきましょう。
この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。