| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)
顧客データはシステムで管理!おすすめツール6選や選定ポイント、メリットを解説
デジタル技術が進み、企業で扱うデータは膨大な量となり管理するのが困難です。また、現在は顧客情報を分析し営業活動やマーケティングに活用する企業が増えています。しかし、適切にデータを管理するには専用のツールが必要です。
そこで今回の記事では、顧客データ管理におすすめのツールや選定ポイントを詳しく紹介します。顧客に関するデータを効率的に管理したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.顧客データ管理とは?必要とされる理由
顧客データ管理とは、属性や購買履歴など顧客に関するさまざまな情報を管理することです。多くの企業で顧客情報の管理が行われていますが、蓄積されるデータを適切に活用することで価値を最大化できます。この章では、顧客データ管理を行う目的や必要性について詳しく解説します。
1目的
顧客データ管理を行うことで、顧客個々のニーズを深く分析できます。分析した顧客ニーズを営業活動に反映し適切なアプローチを行うことで、継続的な契約につなげられます。
また、顧客データ管理は、企業が営業活動を行ううえで欠かせない要素です。顧客と企業が良好な関係を維持し続けることで、ロイヤルカスタマーの育成につながり収益アップに貢献します。
つまり、顧客データ管理の目的は、長期的な契約を維持して顧客1人あたりが企業にもたらす利益を最大化し、自社の収益を向上させることです。
2必要性
複数の顧客情報や商談履歴を担当者が各自で管理している場合、社内での情報共有ができません。また、退職や異動など引き継ぎが必要になったときにも情報共有に労力がかかります。さらに、営業戦略を考える際に顧客データを活用することによって、効率の良い営業活動につなげることが可能です。
情報共有と業務効率化を図るためにも、統一した顧客データ管理は欠かせない要素となります。
2.顧客データ管理に使えるツール6選
顧客のデータ管理には、顧客それぞれのデータが閲覧・活用できるツールが不可欠です。この章では、顧客データ管理を効率化する6種類のツールを紹介します。
- ・Excel
- ・顧客管理システム(CRM)
- ・営業支援システム(SFA)
- ・会計ツール
- ・顧客ID&アクセス管理システム(CIAM)
- ・基幹システム(ERP)
便利なツールはいくつかありますが、自社の目的に合ったシステムを導入することが重要です。各システムの特徴やメリットなど、詳しく見ていきましょう。
1Excel
Excelは、自社のPCに導入されていれば初期費用や月額費用がかからないため、導入の手間やコストを抑えられる点がメリットです。しかし、表作成や入力を手動で行うため手間がかかります。また、自動配信メールなどの営業向きの機能がないため、汎用性に欠けるデメリットがあります。
事業規模が小さく、他の有料システムを導入する必要がない場合におすすめのツールです。
2顧客管理システム(CRM)
顧客管理システム(CRM)とは、顧客の基本情報を一元管理できるツールです。管理できる情報には、以下のようなものがあります。
- ・名前
- ・住所
- ・電話番号
- ・メールアドレス
- ・会社名
- ・購買履歴
- ・サービスの利用履歴
顧客管理システムは、顧客の基本情報から今までの傾向まで、詳細なデータを一元管理できるのがメリットです。自動配信機能を備えており、営業活動やマーケティングなどに活用できます。
ただし、初期費用とランニングコストがかかるため、予算に見合ったシステム選びが大切です。また、関連データの収集と入力に手間がかかるため、導入後すぐに運用できない点を踏まえておきましょう。
3営業支援システム(SFA)
営業支援システム(SFA)とは、顧客データを情報資産として管理し、営業の効率化や営業プロセスの最適化を図ることで受注率の向上を狙うツールです。SFAで管理できる顧客データは、以下のようなものがあります。
- ・見込案件の進捗情報
- ・商談履歴
- ・営業担当者の行動履歴
- ・顧客の属性情報
営業活動を行ううえで重要なデータを、企業情報と紐づけられるのが特徴です。ただし、運用までに時間と手間がかかることや、現場への定着が難しい点に留意しましょう。
4会計ツール
会計ツールとは、会社への入出金情報の記録や請求書発行をし入金消込をするツールです。顧客との取引情報を扱うため、顧客情報を管理する機能を備えています。
ただし、会計ツールは顧客データを分析・活用していくような機能はなく、顧客管理ツールとしての活用が難しいのがデメリットです。
5顧客ID&アクセス管理システム(CIAM)
顧客ID&アクセス管理システム(CIAM)は、顧客が生み出すあらゆるデータを個々のIDと紐づけて管理します。マーケティング施策の実施や、ユーザーセキュリティの強化などを行うシステムです。
サービスごとに異なる顧客IDを統合することで、顧客はシングルサインオンが可能となり満足度が向上します。企業は顧客ID管理にかかるシステムコストと、ランニングコストを削減できるメリットがあります。
6基幹システム(ERP)
基幹システム(ERP)は、社内のさまざまな資源を管理・配分し、業務効率化を図るサービスです。企業活動に必要なさまざまな情報を一元管理し、資源の変化をリアルタイムで把握できます。
CRMやSFA、さらには会計システム・生産システムなどあらゆる機能が統合され、相互に連携が取れるので、データ入力などの手間を省けるのがメリットです。
3.顧客データ管理ツールを選ぶ4つのポイント
顧客データ管理ツールを選定する際、何を基準に選べば良いか分からないという方もいると思います。まずは、重視したいポイントを絞って、目的に合ったツールを選びましょう。この章では、チェックすべき4つのポイントについて解説しますので、ツール選定時の参考にしてみてください。
1操作性
新しいシステムを導入する際のデメリットは、社内に定着しないことです。操作が難しく使い方を覚えるのに時間がかかると、社内に浸透しない可能性があります。そのため、誰でも直感的に使えるようなサービスを選ぶことが大切です。
もし不安がある場合は、トライアルで使用感を確認するのも良いでしょう。いくつか試してみて、社員が使いやすいツールを選ぶとスムーズな定着につながります。
2機能
高いコストをかけて導入しても、使い勝手がよくなければ意味がありません。また、自社のニーズに沿わないツールは導入効果を得られにくいため、顧客管理の課題に合った機能が搭載されているかをチェックしましょう。
ツール選定時は、自社のニーズや事業内容を再確認し、改善したい点など導入目的を明確にしておく必要があります。また、ほかのシステムとの連携が必要な場合は、既存ツールとの互換性なども含めて自社に最適な商品を選ぶことが重要です。
3マーケティング分析ができるか
顧客データ管理は、営業活動に欠かせない要素です。ツールを導入する際は、マーケティングに活用できるデータ取得が可能かを確認する必要があります。
また、データの蓄積だけでなく、分析・統計を自動化してくれるツールがおすすめです。顧客の行動を客観的に分析することで、最適なアプローチをしやすくなります。単に顧客情報を管理するだけでなく、企業戦略に活用できるツールを選ぶことが重要なポイントです。
4費用対効果
多機能・高機能であっても使わない機能が多く、コストと見合わない可能性があります。自社に必要な機能を確認し、ニーズにあったプランを選ぶことが重要です。
また、初期費用だけでなくランニングコストを含めて、費用対効果に見合うツールの選定を行いましょう。追加費用の有無や月額料金など、費用について正確に把握しておく必要があります。コストの無駄を省き、導入効果を最大化できるツールを選びましょう。
4.顧客データ管理ツールを使う3つのメリット
顧客データ管理ツールを導入することで、どのようなメリットが得られるか気になる方もいるでしょう。顧客データ管理ツールを導入する主なメリットについて、詳しく見ていきましょう。
- ・最新の顧客データを把握できる
- ・セキュリティ対策ができる
- ・時間やコストを削減できる
顧客情報を管理する中で、多くの企業が直面する課題の解決に有効です。ツールを活用するメリットと自社の抱える課題を照らし合わせて、導入の検討材料にしてください。
1最新の顧客データを把握できる
ツールによる一元管理によって、部署を問わず情報の更新・参照が可能となるため、社内の情報共有が容易になります。誰でも編集できるので、古い情報のまま使用され続けるリスクを減らせます。また、いつ・誰が顧客データを編集したかもわかるため、更新した担当者に詳細を確認することも可能です。
最新の顧客データを把握できれば、スピード感のある戦略改善や適切なサービス提供につながります。
2セキュリティ対策ができる
顧客データ管理ツールでは、不正ログインや脆弱性対策などのセキュリティ機能を備えており、自社の重要なデータや情報の漏えい防止が可能です。また、部署や役職などによってアクセス制限を施すこともできます。秘匿性の高い情報は一部の社員のみに権限を付与することで、重要データの流出の機会を減らせます。
顧客情報や企業情報の流出は、大きな損失につながる重大事故です。セキュリティ機能が備わった顧客データ管理ツールは、自社の大切な情報を守る役割を果たします。
3時間やコストを削減できる
各部署に分散している情報をまとめることで、データを探す時間と手間が削減できます。1つのデータを参照するだけで済むので、業務効率化につながります。作業にかかる時間を減らせるので、就業時間内に業務を遂行できるでしょう。それにより、人件費や業務にかかるコスト削減に貢献します。また、複数の部署が関わる場合でも情報共有が簡単に行えるため、スムーズな連携が可能となりスピーディな顧客応対が実現できます。
5.まとめ
顧客管理は各自で行う時代から、社内全体での情報共有が一般的となっています。顧客データ管理を行うことで、さまざまな情報を適切に一元管理できるうえ、顧客ぞれぞれのニーズを捉えられます。蓄積した情報を分析し、企業活動に反映することで、自社の売上アップを目指せるでしょう。
また、NTT東日本では、従来のファイルサーバーやNASと変わらない運用を実現し、安全にインターネットを介してどこからでも利用できるクラウドストレージサービスである「コワークストレージ」を提供しています。顧客情報に限らないさまざまなデータの管理を考えている方は導入を検討してみてください。
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この記事を書いた人
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。