| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

昨今、日本で働き方改革が進む中、取り組みの1つとしてBPRが注目されています。BPRは中小企業から大企業まで幅広く取り入れられ、自治体でも大きな効果が期待できると言われています。このような状況下で、BPR導入を検討している自治体職員の方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、本記事では自治体でのBPR導入について解説します。自治体でBPRが注目されている理由や導入の流れ・事例などを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1.BPRとは?自治会で注目されている背景について解説

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

BPRが広まりつつありますが、実際にどのような取り組みなのかを詳しく説明できる方は少ないのが現状です。ここではBPRの概要や、注目されている背景について解説します。

BPRとは

BPRとは「ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)」を略した言葉です。現状の業務内容や進め方や組織のあり方、情報システムなどを見直して、再設計する取り組みです。

企業の規模が大きくなればなるほど、業務プロセスが部署ごとに分断され、会社全体で見ると非効率なフローで進めてしまっているケースが多くあります。BPRは、気付かぬうちに蔓延している非効率な業務フローを根本から改革し、全体の業務プロセスを再設計します。

BPRによって、会社の課題を根本的に解決できるので、大幅な業務効率化や生産性向上につながりやすいのが特徴です。

自治体でBPRが注目されている背景

経済産業省は、2050年に日本の人口は1億人を切ると発表しました。労働人口の減少によって、企業も自治体も少ない人員で業務をこなしていく体制の構築が必要です。

また、日本は労働人口減少や少子高齢化以外にも、以下のような解決すべき社会課題に多く直面しています。

  • ・社会インフラの老朽化
  • ・グローバル化の進展
  • ・セキュリティリスクへの安全確保

自治体では上記のような課題に対応して、スマートシティ構築に向けての業務改革が求められています。

さらに転換期となったのは、2020年頃から日本で広がった新型コロナウイルス感染症への対応です。「政府が打ち出す対策や国民への支援」はほとんどが住民接点を持つ市役所経由で行われ、市役所職員の負担が急増しています。

そもそも、書面での手続きや印鑑押印などの紙ベースでの業務がいまだに多く、時間と手間を取られている自治体が多いのが現状です。自治体業務を見直さなければ、仕事が回らなくなってしまう事態が想定されています。

そこで、解決策として注目されているのがBPRです。BPRによって、自治体の業務プロセスや組織構造を見直し、効率化と生産性向上が期待されています。

2.自治体でのBPR導入の流れ

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

自治体でのBPRの導入は、以下の5つの手順で実施します。

  1. 1.改善点の把握
  2. 2.課題の洗い出し・分析
  3. 3.戦略・方針の決定
  4. 4.改革の実行
  5. 5.モニタリング・評価

初めに、現状の改善点を把握し、BPRを導入する対象業務範囲を明確にします。あわせて、目標や期待する効果も設定しましょう。目標は具体的な数値であるほど、良いとされています。

次に課題を洗い出して、最適な業務フローを分析します。この段階で、現場の担当者へのヒアリングは必須です。多くの意見を聞いた上で、最適なフローを検討しましょう。課題に対して具体的な戦略・方針・実行プロセスを決定していきます。

決定したプロセスを実行し、最後に業務モニタリングや評価改善の洗い出しを行います。「プロセスに問題がないか」「効果が出ているか」を確認し、問題があれば修正が必要です。

現場の課題はさまざまで、自治体によっても異なります。そのため課題はすべて洗い出した上で、最適な解決方法を見つけて進める必要があります。その際には、現場の職員へのヒアリングが重要です。

また、BPRの実施によってどのような効果が得られるのかを事前に職員全員に対して提示しておけば、急な業務フローや組織変更における反発や混乱が起きにくいでしょう。

3.自治体で活用できるBPRのアイデア4選

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

BPR導入によって、無駄な作業や時間短縮できそうな業務を発見しても、どのように改善すれば良いのかわからない方がいらっしゃるでしょう。そこで、ここでは業務フローを再構築する上でのアイデアを紹介します。

BPO(アウトソーシング)

BPO (Business Process Outsourcing) は業務フローの一部を一括して専門業者に外部委託する方法、アウトソーシングとも言われています。知識や経験の豊富な外部の専門家に一部の業務を依頼すれば、その分職員の作業量を減らせます。また、組織内では見えづらかった課題が見つかり、さらなる業務改善も可能です。

BPOができるのは、例えば以下のような業務です。

  • ・ヘルプデスク業務
  • ・データセンター業務
  • ・システム運用業務

自治体の現場の職員は申請対応や窓口対応に加え、書類の処理などの業務に日々追われています。BPO活用によって職員の負担を軽減でき、より重要性の高い業務に時間が割けるようになるでしょう。

シェアード・サービス

シェアード・サービスとは、間接部門のサービスを共有して、業務フローのスリム化を図る取り組みです。

例えば、特定のエリアの自治体が利用しているサービスやデータセンターを、別のエリアの自治体でも利用できるようにシステムを構築します。オペレーションなどの機能を1箇所に集約することで、標準化が可能です。これによりコスト削減や業務効率化、住民対応の品質向上が見込めます。

ICT

ICTとは通信技術を活用したコミュニケーションを指します。ICTの活用は労働力不足の手助けだけでなく、業務効率化や生産性の向上につながります。

例えば、チャットアプリの活用で、職員同士のコミュニケーションの円滑化が可能です。ほかにも、ファイル共有アプリを利用すれば、職員同士でのデータ共有がしやすくなります。

災害時などの迅速な対応が必要な状況下でも、スムーズなコミュニケーションや情報共有ができるメリットがあります。ICT活用は業務効率化だけでなく、住民へのサービスの質向上にもつながりやすいのが特徴です。

RPA

RPAとは、ロボットによる定型業務の自動化を指します。中小から大企業、福祉や医療現場でも多く導入され、自治体での活用も年々増加しています。RPAによって、以下のような業務の自動化が可能です。

  • ・データの入力・登録作業
  • ・データの確認・照合作業
  • ・集計作業

RPAで、住民からの申請データのシステム入力・登録、Webからダウンロードしたデータのシステムへの入力などを自動化できます。また、人が行うと間違いが発生しやすいデータの確認や照合作業も、ミスなく迅速に処理できるのが特徴です。

自治体には毎日多くの申請書や明細書が届き、一定のタイミングで集計しています。しかし、種類が豊富で量が多いとかなりの時間を要します。集計作業を自動化すれば、ミスなく正確に高速処理が可能です。

4.自治体でのBPR導入事例2選

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

自治体へのBPRの導入は増え続け、どこも大きな成果をあげています。ここでは、BPR導入に成功した自治体の事例を2つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

新潟県三条市

新潟県三条市は、コスト削減という共通課題解決を目指して、周辺自治体とシステム共同化を実施しました。今までの「当たり前」に疑問を持ち、根本的変革によって成果をあげた事例です。

どの市区町村にも、税や住民基本台帳などに関する共通の基本業務があります。情報システムを活用して業務を進めますが、市区町村ごとに別々にシステムを導入し、各々で費用を負担している現状がありました。そこで、三条市はシステム運用の期限を迎えたタイミングで、県内での共同クラウド化を考えます。

ほかの自治体へ呼びかけたところ、三条市を含めて5自治体が参加。総合窓口や被災支援対応、マイナンバー対応などの住民情報系の42業務でシステムを共同化させました。

5自治体が別々にシステムを導入すれば、10年間で93億円のコストが発生します。しかし共同化によって、47億円(約50%)もの経費削減に成功しました。大幅な経費削減だけでなく、人員削減や業務負担の軽減、さらに浮いた費用を使っての住民サービス展開など、さまざまな良い影響をもたらしています。

北海道北見市

北海道北見市は、対面窓口対応のフローを再構築し、業務効率化を達成しました。北見市は、証明書の申請をもっと簡単にしたいという職員の提案から、窓口対応の改善を図ります。

まずは新人職員に住民目線で窓口を利用してもらい、課題を探しました。すると「申請用紙の置き場所がわからない」「申請用紙の種類と記入方法がわからない」などの課題が見つかり、申請用紙の記入と内容確認に、市民と職員両方の手間と時間がかかっていることが発覚します。

そこで、職員が来庁者の本人確認を実施して、必要な項目を聞き取りながらシステムを利用して申請書作成を行うフローに変更。申請書はシステムから印刷され、来庁者は申請書に署名をするだけです。さらに、関連する必要な手続きが自動判定されリスト化されるため、手続きの漏れも防げます。

フロー変更によって、簡単な手続きであれば複数の窓口を回らずに、漏れなくワンストップで受付可能になりました。ほかの窓口を回った場合や再来庁したケースでも内容は引き継がれ、受付にかかる時間を大幅に削減可能です。

また、窓口で受付したデータは、RPAを活用してバックオフィスで自動処理します。住民票・印鑑証明など各種証明書の出力操作、転入・転居・出生・死亡などの住民基本台帳システムへの入力業務が、自動で行われています。

この結果、住民が回らなければならない窓口が3箇所から1箇所に減り、申請時間の削減に成功しました。重複する本人確認や、異動内容の説明、カウンターの移動時間などが削減され、受付集約よって全体の業務時間は年間約 3,375 分も削減されています。

5.自治体業務の自動化ならNTT東日本の「おまかせRPA」がおすすめ

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

BPRで浮き彫りになった無駄な業務の自動化なら、NTT東日本の「おまかせRPA」がおすすめです。Windows上のあらゆる業務を自動化でき、作業時間削減や人的コスト削減、生産性の向上が期待できます。「おまかせRPA」のポイントは、以下の3つです。

  • ・直感的に操作できる
  • ・手軽に導入できる
  • ・充実したサポートを受けられる

プログラミングスキルが不要で、直感的に操作しやすく誰でも簡単に扱えるため、スムーズに導入可能です。また、1ライセンスから導入可能なので、効果を体感してから徐々に適用範囲を広げられます。まずは2ヶ月トライアル版から、始めてみてはいかがでしょうか。

さらに、導入や運用に問題が発生した際には、NTT東日本のサポートが受けられます。遠隔サポートや有償での訪問対応オプションもあるため、問題があった際にはすぐに対応して解決します。

「おまかせRPA」についてより詳しく知りたい方は、以下の商品説明をご確認ください。

「おまかせRPA」の詳細はこちら

6.まとめ

【23年1月最新】自治体で活用できるBPRのアイデア4選!導入の流れや事例を紹介

日本で進行している少子高齢化と労働人口減少によって、自治体でのBPR導入が注目されています。BPRとは、現状の業務内容や進め方、組織構造、情報システムなどを根本的に見直し、再構築する取り組みです。

自治体でのBPRは、以下の5つのステップで実施します。

  1. 導入の検討
  2. 1.課題の洗い出し・分析
  3. 2.戦略・方針の決定
  4. 3.改革の実行
  5. 4.モニタリング・評価

課題の洗い出しの際には、多くの現場の職員から意見を拾い上げて進めるのが重要です。また、改革を実行した後には、必ずモニタリングと評価を行い、問題があればその都度修正していきましょう。

自治体でのBPR導入のためのアイデアとして、以下の4つがあります。

  • ・BPO(アウトソーシング): 業務フローの一部を一括して専門業者に外部委託する方法
  • ・シェアード・サービス:間接部門のサービスを共有して、業務フローのスリム化を図る取り組み
  • ・ICT:通信技術を活用したコミュニケーションの活用
  • ・RPA:ロボットによる定型業務の自動化

定型業務をいまだに職員が手動で行っている場合は、RPAツールの導入がおすすめです。RPAツールを導入したい場合は、NTT東日本の「おまかせRPA」をぜひご検討ください。

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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