自社での業務効率化や生産性向上のための策の1つとして、BPRがあります。BPRは業務改革とも言われ、多くの企業に広まっていますが、実際には詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではBPRが広まった背景やメリット、導入の流れについて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
昨今、BPRは事業の発展のために必要不可欠な取り組みとして、多くの企業で実施され始めています。それでは今、BPRが注目されている理由は一体何なのでしょう。ここでは広まった背景を含め、BPRの概要について解説します。
BPRとは「ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)」の略で、企業の現状の業務内容や組織構造などを根本的に見直し、再設計する取り組みです。
会社の規模が大きくなると部門ごとに分業・専門化が進み、1つのプロジェクト内でも業務の流れが分断されやすくなります。部門ごとにフローを最適化しすぎて、全社の業務の流れで見ると、逆に非効率になっている場合が多くあります。
そのような状況下で、解決策として注目されているのがBPRです。BPRの実施によって非効率な業務フローを根本から見直し、組織構造を再構築できます。
BPRは会社の課題や弱点を抜本的に解決できるため、大幅な現状改善や飛躍的成長が期待できます。会社全体をまとめて改革できるので、効率化・生産性向上につながりやすい取り組みです。
BPRは、まず1990年初めにアメリカで導入された歴史があります。当時、製造業を中心とするアメリカの企業は、長いあいだ景気低迷に陥っていました。状況を脱するために導入されたのが、BPRや積極的なIT投資です。その結果、製造業界は持ち直し景気回復につながりました。
今、BPRが再注目されている理由は「少子高齢化の進行」です。経済産業省は2050年に日本の人口が1億人を下回ると発表しました。生産年齢人口比率はピーク時の約50%にまで落ち込むと予測されています。
生産年齢人口が減少すれば、どの企業でも人材不足を招きます。今までと同じ業務プロセスでは、業績が縮小し、競争も激化するでしょう。したがって、BPRのような根本的な改革が求められています。
「BPR」も「DX(デジタルトランスフォーメーション)」も、業務を改革するという観点では同じです。しかし、違いはその取り組み方にあります。
BPRの目的は「業務プロセスの最適化」です。ビジネスモデルの変革が目的ではない部分が、DXとは明確に異なる点です。
「BPR(業務改革)」と「業務改善」はよく混同されますが、実際には以下のような違いがあります。
また、BPRは企業全体の業務プロセスの変更によって、効率化や生産性の向上を目的としています。一方、業務改善は個々の業務を部分的に見直して無駄をなくし、効率化を目指す取り組みです。したがって、業務改善はBPRの一部とも言えます。
BPRには、どのような効果が得られるがあるのかを事前に把握しておけば、より円滑に導入を進められます。ここでは、BPR導入の5つのメリットを紹介します。
BPRを実行すれば、業務フローや組織構造を俯瞰的に把握できます。すると、今までは目に見えなかった以下のような問題の洗い出しが可能です。
上記のような問題は、企業の発展の妨げになります。早急に改善すれば、業務効率化と生産性向上が期待できるでしょう。
BPRで業務フローや組織のあり方を見直し労働環境が整備できれば、従業員の心と時間の余裕につながります。その結果、顧客対応やサービスの質が高まり、顧客満足度の向上が可能です。
また労働環境の良さは、従業員にとって長く働きたいと思える会社の条件の1つです。したがって、BPRは従業員の満足度を上げ、離職率の低下や優秀な人材の獲得など良い影響をもたらします。
BPRでの全体の業務プロセスの見える化によって、今まで行っていた作業の中に無駄があったと気づくケースがあるでしょう。
そのような無駄は、日常的に業務を行いながらでは気づきにくいものです。BPRによって露呈した無駄を省いて効率化すれば、労働時間短縮や人的コスト削減が可能です。
企業競争には、意思決定のスピード感が欠かせません。しかし、組織が大きくなればなるほど意思決定までに多くの人が関わるため、時間がかかるケースがよく見られます。
BPRで組織構造を見直せば、意思決定のスピードが遅い原因がどこにあるのかを可視化できます。根本的原因の解決によって意思決定のスピードアップが実現し、企業のさらなる発展に貢献できるでしょう。
BPRは、全社的に業務プロセスの見直しや組織の再構築を行うため、社員の協力が必要不可欠です。BPRの取り組みを通して、従業員の仕事に対する姿勢や意識が変わる可能性が高まります。
また、従業員のモチベーションアップにもつながるので仕事への集中力が高まり、さらなる生産性向上が期待できます。
BPRは全社的に行う規模の大きな取り組みなので、実行のハードルが高いと思っている方が多くいるでしょう。ここではBPRを実行する手順を紹介するので、導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
まずは、各所でどのような課題が生じているのか、会社の改善点を抽出します。社員からは現場の課題を、経営層からは企業戦略に関わる改善点をヒアリングします。さまざまな立場の社員からヒアリングを行うのが、BPR成功のカギです。
その後、社員の代表者や経営層で話し合い、BPR実施の目標・目的・期待する効果を設定します。「全社の作業時間を30%削減する」といったように、できるだけ数値を設定して具体的な目標にすれば、社員に対してBPRの方向性を示せます。
次に、現状の業務プロセスによって発生している課題を洗い出し、改善方法を検討します。すべての課題を抽出したら、各担当者に意見を聞きながら最適な業務フローを分析していきましょう。
課題が多い部分はじっくりと分析し、少ない箇所には時間をかけないのが、BPRを効率的に進めるポイントです。
現状分析して課題を見つけたら、改善に向けた戦略や方針を決定します。例えば、以下のような戦略が考えられます。
検討できる戦略はすべて書き出した上で、全員が納得できた戦略に決定するのが重要です。ベストな戦略を決定するには、多くの時間が必要です。しかし時間は限られているため、効果の高いと予想される施策から優先順位をつけて、具体的なフローを設計しましょう。
BPRは全社に影響を及ぼすので、社内全体で共通認識を持って推進していくのがポイントです。各部門で実施内容を共有して、連携しながら戦略を設計します。
具体的な戦略・方針が決定したら、いよいよ実行です。まずは、現場の部門からの反発や混乱が起きないよう、BPRの必要性や目的、変革内容を社内に共有しましょう。労働時間の削減や、業務効率化など、BPRによって社員が得られるメリットを事前に示せば、円滑な実行が可能です。
BPR実行には膨大な時間がかかるので、短期的な目標を立てておくのをおすすめします。プロジェクトごとにマイルストーンを設定し、進捗を確認しながら進めましょう。
改革を実施したら、それで終わりではありません。実行後は「プロセスに問題がないか」「効果が出ているか」など、効果測定や評価を行いましょう。短期目標や最終目標までの達成度を見ながら確認し、問題があれば修正します。
実施内容と成果を振り返り、必要であればその都度修正していくことで、より効果を発揮できます。
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BPRとは現状の業務内容や進め方、組織構造、情報システムなどを根本的に見直し、再構築する取り組みです。日本は生産年齢人口が年々低下し、労働力不足に陥ると予測されています。企業は人材不足による業績縮小からの脱却のため、BPRによる業務プロセスや組織構造の根本的な改革が求められています。
BPRのメリットは、生産性向上や従業員満足度の向上、労働時間短縮などさまざまです。以下の5つのステップを踏んで導入すれば、BPRによる高い効果を発揮できるでしょう。
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NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。