近年、新型コロナウイルスの感染拡大や労働人口の減少によって、国内産業の人材難が問題になっています。さらに人件費削減にも苦慮している企業は、多いのではないでしょうか。
一方で、人材採用や育成には時間と費用がかかります。こうした背景から、近年では人材確保や人件費削減に効果的なBPOやアウトソーシングに注目が集まっています。
そこで、今回の記事ではBPOのメリット・デメリットや依頼方法を解説します。効率的にBPOを導入方法が理解できる内容になっているので、業務効率化に悩んでいる経営者の方はぜひ最後までお読みください。
目次:
BPOは外注サービスの一種であり、事業工程の一部を上流から下流まで委託できます。近年では、BPOを依頼する会社が増えており、注目度の高いサービスです。本章では、BPOについてアウトソーシングとの違いや委託できる業務の範囲を説明します。
BPOは、専門知識やスキルを持つ会社に、事業工程の一部を構築から運用まで委託するサービスです。近年では、安価な労働力が確保できるオフショア(海外)のBPO市場が拡大しており、事業コストの削減を目的に依頼する会社が増えています。
また、事業コストの削減以外にも、人材難の解消やコアコンピタンス経営(自社の中核をなす自社能力を生かした手法)の実現なども、BPO普及の要因になっています。BPOを導入すると外注先の人材を利用できるため、募集広告費や新人育成費の削減が可能です。また、定型業務を外注することで、社員はより経営に直結する重要な仕事に注力できるようになります。
アウトソーシングとBPOの違いは、以下のとおりです。
種類 |
委託できる業務 |
特徴 |
アウトソーシング |
● 単一の業務 |
● リソースの増強が可能 |
BPO |
● 企画 |
● 業務改善が可能 |
上記のとおり、アウトソーシングはリソースの増強(主に人材難の解消)に有効であり、一時的な外部委託に適しています。一方で、BPOは構築からリソース確保、運用まで一括して行うため、持続的な業務改善が可能です。また、BPOは業務の上流工程から下流まで外注するため、継続的な外部委託に適しています。
BPOで委託できる業務は、以下のとおりです。
業務の種類 |
実務例 |
経理 |
● 経費管理 |
バックオフィス |
● 荷物の受け取り |
営業 |
● マーケティング |
顧客管理 |
● 来客応対 |
人事 |
● 人事評価 |
人材採用と育成 |
● 人材募集 |
BPOは上記のとおり、幅広い分野の業務を委託できます。
BPOのメリットは、業務の最適化や外注ノウハウの利用など複数あります。自社の抱えている悩みを解消できるかをイメージしながら、この章の内容をチェックしてみてください。
BPOに委託することで、ノンコア業務(難易度が低く人間の判断が不要な作業)のリソースを削減できます。人材難に陥ると、業務の切り出し(コア・ノンコア部分の分離)ができず、社員は自身のスキルを十分に発揮できません。BPOに依頼することで、コア業務(企業活動の根幹を成し利益に直結する作業)にリソースを集中できるため、収益性や業務品質が向上します。
POに依頼することで、複雑化した業務が最適化され、収益性や生産性が向上します。業務が複雑化していると、自社では改善点の把握や最適化に時間と費用がかかってしまいます。しかし、BPOは外注先がボトルネック分析や効果測定を行ってくれるため、自社にスキルやノウハウがある分野でもそうでなくても、業務の最適化が可能です。
BPOに依頼することで、外注先の持っているノウハウを利用できます。そのため、自社にナレッジ(事業に有用なノウハウ・スキル・アイデア)がある分野でもそうでなくても、業務委託可能です。また、法律が関係する税務や会計など対応が難しい業務を委託することで、自社で専門家やコンサルタントを雇用する必要がなくなります。結果、専門家やコンサルタントの利用にかかっていた費用を削減できます。
BPOに依頼することで、より柔軟な経営が可能になります。なぜなら、BPOは成果報酬制や月額制のサービスであり、導入によって人件費を固定費から変動費に置き換えられるからです。
人材採用や新人育成は、求人広告の掲載費や研修実施費などさまざまな費用に加えて、時間がかかります。そのため、業務の繫閑差に応じて、解雇や採用は簡単に行えません。しかし、BPOは外注先が雇用している人材を利用できるため、人件費を変動費に置き換えられます。結果、人材にかかるコストがコントロールしやすくなったり人材流出のリスクを低減できたりします。
BPOは、メリットしかないわけではありません。将来的に委託していた業務を内製化する会社の場合や、頻繁に組織体制を変更する会社の場合は、導入メリットよりデメリットが大きい可能性があります。デメリットがあることを理解し、導入するべきか判断しましょう。
BPOは業務の構築も効果測定・最適化も行うため、アウトソーシングより導入・運用コストが多くかかります。そのため、財務状況が厳しければ利用自体が難しいサービスです。さらに、委託する業務の選定を誤ったり、自社に適した外注先を選べなかったりした場合、想定していた費用対効果が得られない可能性があります。内製よりコストがかかるケースがあるため、得られるメリットと比較しながら導入を進めましょう。
BPOは、外注会社が企画設計からリソース確保・運用まで行うため、契約から実務を開始するまでに時間がかかります。そのため、頻繁に組織体制を変更するスタートアップ企業やベンチャー企業は注意が必要です。頻繁に組織体制を変更すると、BPOが十分に効果を発揮せず、コストだけかかってしまう可能性があります。
また、元は内製で運用していた業務を委託する場合は、外注先への引き継ぎが必要です。外注先との協力体制が構築されていなければ、引き継ぎに時間がかかってしまいます。
BPOを利用していると、企業はナレッジを蓄積できません。そのため、
自社の事業成長が阻害される可能性があります。また、一時的なBPOの依頼を考えている場合、サービス解約後の内製化が難しいことに注意しましょう。BPOで構築したシステムや人員などのリソースは、内製時には引き継ぎできません。BPO解約後に、自社で一から事業設計やリソース確保の必要があります。
BPOは、導入に失敗すると期待していた効果が得られません。そのため、BPOの導入は慎重に行う必要があります。本章では、BPOを効率的に導入する方法を説明するので実践できるようしっかりと確認しましょう。
まずは、社内で業務のボトルネックを明確にしましょう。業務のボトルネックが曖昧だと、BPOの効果が薄れたり余計なコストが発生したりします。なお、自社でボトルネックを調査してもしなくても、外注先がヒアリングや分析を行ってくれます。ただし、BPOをスムーズかつ短期間で導入したい場合は、事前に資料を準備しておきましょう。
ボトルネックを発見しBPOの導入目的を決定したあとは、その目標を達成するために委託すべき業務を確認しましょう。なお、自社内の難易度が低くて作業量の多い業務を選定することで、BPOの効果を高められます。
また、委託予定の業務が、外部へ任せて問題ない作業か確認しましょう。コア業務を外部委託してしまうと、外注先が倒産や災害によって機能停止した場合に、自社の事業全体が停止するリスクがあります。
委託する業務を選定したあとは、外注先を選びましょう。外注先の選定ポイントは、以下のとおりです。
特に、ITツールの導入可否については詳しく確認しましょう。外注先によっては、ITツールを利用した低コストなプランを提案してくれます。
BPOの導入に割ける予算がなく業務効率化に悩んでいる方には、NTT東日本の「おまかせRPA」をおすすめします。「おまかせRPA」はロボットによる業務自動化ツールであり、、IT知識なしで導入可能です。
加えて、インターネット環境のみで利用でき、電話による遠隔サポートや訪問設定サービスを提供しています。なお、初期費用不要かつパソコン1台から利用できるため、BPOと比較して導入のハードルが低いです。予算の都合でBPOの採用が難しい方は、ぜひ「おまかせRPA」の導入を検討してみてください。
また、低予算で業務効率化を実現したい方は、以下の資料がおすすめです。予算別に業務効率化の手法を紹介しています。
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BPOは、事業の一部を上流工程から下流まで外注するサービスであり、導入によって業務を最適化できます。ただし、BPOのにはコストの負担や「ノウハウが蓄積できない」などの課題もあるため、導入は慎重に行う必要があります。なお、予算や時間の都合からBPOの採用が難しい人は、RPAツールの導入がおすすめです。特に、NTT東日本の「おまかせRPA」は、低コストかつ手軽に業務を自動化できます。
また、予算別に業務効率化の手法を知りたい方は、以下の資料を合わせてご利用ください。
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NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。