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「自治体クラウド」と「ガバメントクラウド」の違いをわかりやすく解説

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自治体が利用するクラウドの代表的なものとして、自治体クラウドとガバメントクラウドがあります。同様のクラウドサービスであるものの、どのような違いがあるか分からない方もいるでしょう。

そこで本記事では、「自治体クラウド」と「ガバメントクラウド」の違いを分かりやすく解説します。今後のクラウドサービスについても解説していますので、DX推進を検討されている自治体担当者さまはぜひ参考にしてください。

1.初めに「自治体クラウド」と「ガバメントクラウド」の概要について解説

自治体が利用できるクラウドとして「自治体クラウド」と「ガバメントクラウド」があります。本章ではクラウドの概要を個々に解説します。

1-1.自治体クラウド

自治体クラウドとは、複数の自治体が共同で構築し活用するクラウドのことです。共通の情報システムを活用し自治体同士で連携したり膨大なデータの保管をしたりします。

複数の自治体でクラウドを活用すれば単独でクラウドを導入する場合に比べ、さまざまなコストを複数の自治体で分割できるため、その分費用は割安になります。価格を抑えられた分、情報セキュリティ対策をより強固にしたりサービスを幅広く展開したりできます。

また大きな特徴としては、データセンターを複数利用可能な点です。複数利用することにより、大規模な災害や障害が起きたとしても、システムが滞ることなく業務を継続できます。

東日本大震災のような大規模災害で、従来のデータ保管をしていた場合データの消失や情報システムが滞る事態は免れません。しかし複数のデータセンターを活用すれば大規模災害が発生したとしても、大切なデータの保管はもちろんシステムもスピーディに復旧することが可能です。

1-2.ガバメントクラウド

ガバメントクラウドとは、自治体や行政が利用できる政府で構築された情報システムのことです。ガバメントクラウドの対象となるクラウドサービスは4社のみで、基幹業務である20種類の業務を2025年度末までに移行するよう努めなければなりません。

ガバメントクラウド上には、基幹業務で利用できるアプリケーションを複数用意してくれています。そのため自治体は、個々に構築することなく複数あるアプリケーションの中から選択して活用が可能です。

自治体で最初から構築する必要がないため、コストの削減が実現できます。また個別の自治体では構築しにくい高度な情報セキュリティ対策も可能となるでしょう。そのほか災害対策はもちろん、柔軟な拡張などができるのも大きなメリットです。

ガバメントクラウドの詳しい内容を知りたい方は、別記事「ガバメントクラウドとは?概要や開始時期、自治体の活用メリットなど」をご覧ください。

2.「自治体クラウド」と「ガバメントクラウド」の違い

2つのクラウドは、似ている点が多く違いが分からない方もいるでしょう。そこで、本章では自治体クラウドとガバメントクラウドの違いを解説します。

実際に利用を検討するにあたり、どちらが良いか比較してみてください。

2-1.対象と管理者

クラウドの利用対象と管理者の違いは、以下の通りです。

対象 管理者
自治体クラウド 特定の自治体 特定の自治体
ガバメントクラウド 全国の自治体 政府

自治体クラウドは、県内にある複数の町村など「特定の自治体を対象」にしたクラウド環境です。そのため複数の関係性がある自治体が共同で、クラウド環境に情報システムを移行しており、管理者も「利用している特定の自治体」です。

一方ガバメントクラウドが利用できるのは、全国にある自治体や行政機関が対象者で、県内県外に限らず全国的なスケールで利用できます。また、管理者は対象者とは異なり、政府が管理し提供しています。

2-2.範囲と規模

クラウドの範囲と規模の違いは、以下の通りです。

範囲 規模
自治体クラウド 近い地域の自治体 小規模
ガバメントクラウド 日本にある自治体 大規模

自治体クラウドは、県内など比較的近い地域にある特定の自治体に焦点をあてています。そのため範囲が狭く、2〜20団体程度と比較的小規模で利用することを想定したクラウドです。

一方ガバメントクラウドは政府が全国の自治体に提供しているため、自治体クラウドに比べて大規模です。全国の自治体が活用しても問題ないインフラストラクチャを完備するためにも、大規模でもサービスを維持できるクラウドサービスだけを基盤として利用しています。

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2-3.セキュリティとコンプライアンス

自治体クラウドとガバメントクラウドでは、セキュリティやコンプライアンス要件も異なります。

セキュリティ コンプライアンス
自治体クラウド 特定の自治体の条例や規則にしたがって設計 特定の自治体の条例や規則にしたがって設計
ガバメントクラウド 政府情報システムに合わせたセキュリティ評価制度がある 国際的なコンプライアンスが基準

自治体クラウドは、対象となる特定の自治体で定められた条例や規則に合わせてセキュリティやコンプライアンス要件が決められています。そのため自治体クラウドによっては、セキュリティやコンプライアンス要件は異なるのが特徴です。

一方ガバメントクラウドは、自治体よりもより厳しいセキュリティ要件やコンプライアンス基準が設けられています。たとえばセキュリティ要件として、国際標準を踏まえてセキュリティ標準が決められています。ガバメントクラウドでは国際標準に見合ったISMAPに登録されているベンダーでしか認定されません。さらにコンプライアンス基準も国際的な基準を満たすよう設計されています。

2-4.運用と管理

運用や管理をする担当者も、クラウドによって異なります。

運用と管理
自治体クラウド 特定の自治体
ガバメントクラウド 政府

自治体クラウドの運用と管理は、利用している特定の自治体または、対象となる自治体が所属している県庁などに委ねられることが一般的です。利用する複数の自治体にあるIT部門が共同で運用担当となる場合もあります。

一方 ガバメントクラウドは、政府が運用と管理を担当します。担当者に自治体が関与しないことで、一貫性のある運用が実現されるといったメリットもあります。

3.自治体クラウドは今後も導入団体の増加が見込まれている

自治体クラウドを導入すると、以下5つのメリットがあります。

  • 情報セキュリティ対策が強化できる
  • 自治体同士で連携がとりやすくなる
  • 災害や停電などによる障害対策が可能
  • 運用・保守などの人的・時間的コスト削減が期待できる
  • 費用は自治体で分割になるため、コスト削減の期待ができる

豊富なメリットが自治体にあることから、自治体クラウドの導入は徐々に増加傾向です。

クラウドの導入状況の推移を、見てみましょう。

出典:総務省「クラウド導入状況(令和3年4月現在)

平成26年ではクラウド利用団体の内、38%が自治体クラウドを利用しています。一方、令和3年ではクラウド利用団体の内、50.7%が自治体クラウドを活用しており、7年間の間に13%弱も増えました。

今後、単独でクラウド利用をする自治体よりも、自治体クラウドは増えていく傾向にあるでしょう。

自治体クラウドを導入しようと検討中ではあるものの、IT部門の知識にばらつきがあったりクラウドの知見が少なく悩んでいたりする方もいるでしょう。自治体クラウドを検討中でお悩みの方は、ぜひNTT東日本にご相談ください。

NTT東日本はクラウド導入コンサルティングや、閉域ネットワークの提供をしています。大手クラウドサービスであるAWSやMicrosoft Azureの資格をもつプロが担当となり、構築や導入、移行・保守などをワンストップでサポートします。

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4.ガバメントクラウドについては、2025年までに接続と移行を行う必要がある

ガバメントクラウドは自治体情報システム標準化となる20業務を、2025年度末までに移行するよう努めなければなりません。これは努力義務であるため、義務ではないものの自治体は2025年末までに間に合わせるよう移行計画が必要です。

さらに、ガバメントクラウドの接続に関しては完了必須の義務です。接続サービスに関しては、政府により細かい要項が提示されているため、しっかりと検討していきましょう。

なお、ガバメントクラウド接続サービスや、移行方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

【関連記事】ガバメントクラウド接続サービスとは?主な要件・接続回線の課題

【関連記事】地方自治体のガバメントクラウドへの移行期間・対象業務・手順

2018年に経済産業省が日本経済の予測として挙げた「2025年の崖」がすぐそこまで近づいてきています。「2025年の崖」とは、既存の情報システムの老朽化に伴いDX推進が進まなければ、世界の市場に追いついていけなくなるといった予測です。経済産業省は2025年までDX推進が滞っていけば、毎年12兆円の損失があると謳っています。

国全体の損失が増えないためにも、企業や自治体・行政はDX推進をしていかなければなりません。「2025年の崖」を超えるためにも、自治体の基幹システムをガバメントクラウドに早く移行する必要があるでしょう。

5.ガバメントクラウドへの移行はNTT東日本へお任せください

「2025年の崖」が近づき、できる限りクラウドへの移行を早急に行いたいけれど、自治体によっては知見のある担当者が不在で、なかなかうまくDXの推進ができない場合もあるでしょう。

上記のような悩みをお持ちの場合は、ぜひNTT東日本にご相談ください。NTT東日本では、ガバメントクラウドのサービスベンダーとして採択されたAWSやMicrosoft Azureの有資格者であるプロが担当となりワンストップでサポートいたします。

担当者は豊富な知識を活かし、現状の課題を洗い出し、改善方法の提案や構築・運用のサポートはもちろん、育成プログラムの提供や現地移行サポートも可能です。

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まとめ

自治体クラウドは、特定の近い地域の自治体が共同でクラウドサービスを活用するのに対し、ガバメントクラウドは政府が構築したクラウドを全国の自治体や行政が活用できるものです。同じクラウドではあるものの、自治体クラウドは特定の自治体専用のクラウドであるのに対し、ガバメントクラウドは全国の自治体が利用できる大規模なクラウドサービスといえます。

今後2025年の崖を乗り越えるためにも、各自治体はDX推進を進めていかなければなりません。自治体クラウドやガバメントクラウドでお悩みの方は、ぜひNTT東日本へお気軽にご相談ください。

ガバメントクラウドの移行や、自治体DX業務に関する課題やお困りごとがございましたら、
お気軽にNTT東日本へご相談ください。無料のお見積りのご相談も承ります。