| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

ペーパーレス会議を導入して業務効率化!メリット・デメリットやシステムの選び方を解説

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説



近年、コロナ禍や働き方改革などをきっかけとして、書類のペーパーレス化を導入する企業が増えてきました。資料のペーパーレス化には、業務の効率化やコスト削減、リモートワークが推進しやすいといったメリットがあります。

そこで、今回の記事では、ペーパーレス化の概要や具体的な取り組み事例を紹介します。ペーパーレス化のイメージがあまり浮かばない方や、自社でもペーパーレスを取り入れたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.ペーパーレス化とは

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

この章では、ペーパーレス化の概要や推進されている背景、対象となる書類について解説します。ペーパーレス化の導入を検討している方は、基礎知識を理解しておきましょう。

1紙の書類を電子化すること

ペーパーレス化とは、紙で作成・保存している資料や書類などを、データ化して保管・利用することです。大きな括りで考えると、コンサートや舞台などの電子チケットや電子書籍、電子クーポンなどもペーパーレス化のひとつです。

企業がペーパーレス化を進めると、業務効率化やコスト削減などの効果が期待できます。

2必要とされる背景

元々は、紙資料にかかるコスト削減を目的として、政府によりペーパーレス化が推進されていました。近年ではコロナ禍をきっかけにリモートワークを導入する企業が増え、環境整備のためにペーパーレス化の需要が高まっています。

さらに、ペーパーレス化導入を普及させるために、電子帳簿保存法やe-文書法などの法整備が進められ、書類のデータ保存が認められるようになりました。また、環境保全の取り組みのひとつとして、ペーパーレス化を導入する企業もあります。

3対象書類

ペーパーレス化といっても、すべての資料や書類をデータ化するわけではありません。紙として保管が必要な書類は、そのままデータ化せずに保存します。ペーパーレス化の対象となる資料・書類には、以下のようなものがあります。

  • ・ミーティングや会議で使用する資料
  • ・ビジネス書類(納品書や請求書など)
  • ・パンフレットやチラシ、カタログ、ポスター

2.ペーパーレス化の成功事例5選

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

ペーパーレス化を導入すると、これまで時間がかかっていた業務を効率化できます。この章では、ペーパーレス化を導入して成功した事例を5つ紹介します。具体的な施策のイメージが浮かばない方は、ぜひ参考にしてみてください。

1税理士法人における転機業務を効率化|辻・本郷税理士法人

辻・本郷税理士法人では、業務の性質上、紙からの転記作業が多く、紙資料にかかるリスクやコストを抑えたいという課題がありました。また、業務を効率良く行うことでより付加価値の高いサービスをしたいと考えていました。

そこで導入したのが、手書きの書類をデータ化する「AIよみと~る」です。最初に試してみたのは、税務書類を作成するときに必要な通帳のデータ化です。これまで通帳1冊につき複数人で行っても約54分の時間がかかっていました。ツールを導入したことで、作業が一人でできるようになり、時間も約10分と大幅に短くなりました。

2賃貸管理書類の転機・入力業務を効率化|株式会社ジェイエーアメニティーハウス

株式会社ジェイエーアメニティーハウスでは、膨大な量の帳票の処理業務を自動化して効率良くしたいと思いつつ、どのツールを導入し、どのように反映させたら良いのか分からないという悩みを抱えていました。そこでNTT東日本と協力のうえ、2018年8〜9月まで「AIよみと~る」を試験的に導入しました。

賃貸住宅申込書のデータ化をツールで行ったところ、作業時間が半分以上も削減できました。今後は業務効率化によって人員の配置をより最適化し、さらに価値の高いサービスの提供が期待できます。

3出荷伝票システム入力作業の稼働を削減|株式会社東日本板橋花き

生産者からの出荷連絡は基本的にFAXで行われており、1日500件ほど、繁忙期には1日700件を受信していました。システムへの入力はすべて手作業で行っていたので、業務が辛く、従業員が退職してしまうこともありました。さらにインターネット販売にも対応できるように、システムへの入力に正確性とスピードが求められていました。

そこで、CSVファイルをメールで送るシステムを導入しましたが、一部の生産者のみしか対応できませんでした。その後にNTT東日本から提案された「AIよみと~る」を導入すると、従業員の業務負担を減らすことに成功しました。今後は、ツールを利用する範囲を広げ、データ集計業務などを充実させたいと考えています。

4介護保険業務における申請の入力業務を効率化|福島市

市役所の仕事は手書きの帳票を処理する業務が多く、作業の効率化が課題でした。そのなかで介護保険課業務は1日に500〜600件の申請があることもあり、繁忙期には2〜3人体制で入力していました。

NTT東日本の「AIよみと~る」を導入したところ、入力業務が効率化できただけでなく、読み取り項目の見直しによって業務改革のきっかけにもなりました。また、今後はマイナンバーを使った業務での活用を考えているそうです。

5書類データの手入力を自動化・働き方改革の推進|リップル株式会社

求人シートをはじめとした書類を手作業でデータ化していたため、手書き情報の確認や転記に時間がかかり、従業員の負担となっていました。「AIよみと~る」を導入したことで、入力業務の時間短縮を実現できました。

また、読み取り精度が高いため、2人で行っていた確認作業が1人で済むようになりました。結果として、スタッフの労働時間や稼働の削減につながりました。

3.ペーパーレス化における5つのメリット

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

ペーパーレス化には、紙資料にかかるコストが削減できたり、柔軟な働き方が導入しやすくなったりするなどのメリットがあります。この章では、ペーパーレス化のメリットについて詳しく解説します。

1紙に関わるコストの削減になる

ペーパーレス化を導入すると、紙の書類に必要なコストの削減につながります。例えば、用紙代や印刷代、廃棄にかかる費用、郵送代などです。

また、紙で資料を作成・保存をすると、保管スペースの維持費やファイリングの費用も必要です。ペーパーレス化は、これらの資料にかかる費用の削減にもつながります。

2テレワークなど柔軟な働き方の推進になる

書類をデータ化して共有できれば、どこにいても会議に参加できます。また、決裁や承認のハンコが不要になれば、オンライン上で手続きも済むようになります。

ペーパーレス化が進めば出社の必要が無くなり、テレワークの導入も進めやすくなるでしょう。柔軟な働き方を推進するためには、ペーパーレス化によって紙を扱う量を減らしていく必要があります。

3業務効率化・生産性向上につながる

紙で資料や書類を作成した場合、社内共有するときには人数分印刷してホッチキスでとめたり、わざわざ配布のために移動したりと時間と手間がかかっていました。また、作成時の誤記脱字や記入漏れのチェックにも時間と手間を要します。

資料をデータ化すれば作成・共有するときの手間を大幅に省くことができ、他の業務に時間を割けるようになります。業務の効率を改善することで、生産性の向上にもつながるでしょう。

4情報漏えいのリスクを防げる

データとして資料や書類を保存すると、アクセス制限の設定ができるので情報漏えいのリスクを軽減できます。また、紙の資料の場合は紛失したり置き忘れたりすることがありますが、ペーパーレス化を導入すればそういった心配も無くなります。

万が一、データを削除・紛失してしまった場合も、バックアップを取っておくことで復元できるので安心です。

5企業のイメージアップになる

ペーパーレス化は、業務効率化やコスト削減だけではなく、イメージアップにもつながります。近年では、利益だけではなく社会的責任も求められることが主流になってきました。

ペーパーレス化によって紙の利用を減らすことで、SDGsの観点や環境問題への取り組みを積極的に行っているとみなされ、外部から評価されやすくなるでしょう。

4.ペーパーレス化における3つのデメリット

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

ペーパーレス化には、導入時の手間やコスト、従業員のITリテラシーが必要などのデメリットがあります。ペーパーレス化を導入するときには、メリットだけではなくデメリットも理解したうえで進めましょう。

1導入時の手間や初期コストがかかる

ペーパーレス化は長期的な目で見ればコスト削減につながりますが、導入時にはシステムやツール、デバイスなどの初期費用が必要です。それなりの金額になるので、企業によってはペーパーレス化への大きなハードルとなっています。

また、導入時には業務フローを整備したり紙の資料をスキャンしてデータ化したりと、大きな手間もかかります。ペーパーレスを実施する期間を定め、事前に準備にどれくらいかかるか確認しておきましょう。

2従業員のITリテラシーが必要になる

ペーパーレス化を導入しても、従業員のITリテラシーが低かったり格差があったりすると、なかなか浸透しないでしょう。それだけではなく、ペーパーレス化の導入自体に対して、理解を得られない可能性もあります。必要に応じて、導入時にセミナーや研修を行い、従業員のITリテラシーや理解度を高めましょう。

3システム障害や回線速度の影響を受ける

もしシステム障害が発生したりネット回線が乱れたりした場合、データの閲覧が難しくなる可能性があります。テレビ会議で資料を共有している場合は、ネット回線の状態が悪いと画面共有できないだけではなく、音声や映像にも影響が出てしまうでしょう。

万が一何か問題があったときでもデータを確認できるよう、ネットに接続しなくても閲覧できる環境を整えておくことも大切です。

5.ペーパーレス化推進に必要な4つの取り組み

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

ペーパーレス化を上手く進めるためには、いくつかポイントがあります。ペーパーレス化推進に必要な取り組みについて解説するので、これから導入を検討している方は、ぜひ参考にしながら進めてみてください。

1経営者層や従業員にメリットを理解してもらう

ペーパーレス化を進めるときには、導入すると何が改善されるのか経営者層や従業員に理解してもらうことが大切です。特に経営層の賛同が得られないと導入することも難しくなってしまうので、具体的なメリットを伝えてサポートしてもらえるようにしましょう。

メリットとして、経営者層には長期的に見てコスト削減や生産性の向上につながることを、従業員へは業務が効率化される点を伝えてみてください。また、メリットと併せてペーパーレス化を導入する目的や必要性も説明して、不安や不満を取り除くよう努めましょう。

2電子化する書類を決め、段階的に導入する

ペーパーレス化をするときは、社内全体で一度に導入すると上手くいかない可能性があります。まずは、データ化する書類を決めてから、段階的に導入していきましょう。

データ化する書類を定めたら、最初はパソコンやタブレット端末などの扱いに慣れている社員を対象として、ペーパーレス化を導入してみてください。慣れてきたら、社内全体への導入を進めてみましょう。

3業務フローや教育環境を整備する

ペーパーレス化導入の際には、業務フローやマニュアルを整備して、システムに関して知識のない従業員でもスムーズに業務が行えるようにしましょう。業務フローやマニュアルを整備したうえで、セミナーや講習会を実施して従業員に周知することも大切です。

特に年齢の高い従業員は、パソコンやタブレット端末の操作に慣れていない方も多いので、イラストや図などを使った分かりやすいマニュアルを作成することをおすすめします。

4自社に合ったツールやシステムを導入する

ペーパーレス化を進めるときには、ツールやシステムの導入が必要です。ペーパーレス化の機能が搭載されたツールやシステムはたくさんリリースされ、さまざまな種類のものがあります。そのなかから、自社に合った機能を備えたツールやシステムを選びましょう。

無料でトライアルができるツールやシステムもあるので、実際に使ってみてぜひ使用感をチェックしてみてください。

6.社内の書類をペーパーレス化して業務を効率化

ペーパーレス化の成功事例5選を紹介!推進する際のポイントやメリット・デメリットを解説

ペーパーレス化の導入によって、業務の効率化やコスト削減、企業のイメージアップなどの効果が期待できます。今回事例をいくつか紹介しましたが、実際にペーパーレス化を導入して、業務の改善やコスト削減につながった企業が増えています。

ペーパーレス化を進めるときは、一気に導入しようとしても上手くいかない可能性があります。まずは、業務フローの整備や社内教育を行ったうえで、システムやツールに慣れている従業員から導入してみましょう。

また、ペーパーレス化にはシステムやツールの導入が欠かせません。社内のペーパーレス化には、「おまかせ はたラクサポート」「コワークストレージ」がおすすめです。さらに手書き書類をCSVに変換できる「AIよみと〜る」とセットで導入すると、より業務の効率化が期待できます。NTT東日本では、これらのシステムやツールの使い方やサポートをセットで提供しています。また、無料で体験可能な「DX無料体験プログラム」やペーパーレス推進ガイドを用意しているので、関心のある方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori