| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

電子帳簿保存法におのける書類の保存期間は何年?電子データと書類の違いは?

電子帳簿保存法におのける書類の保存期間は何年?電子データと書類の違いは?


社会としてペーパーレス化を促進する流れが加速しています。電子帳簿保存法の改正により、2024年から電子取引のデータは電子保存が義務付けられることになりました。同時に、2022年の改正では事前承認制度の廃止や保存要件の緩和などが行われています。

電子帳簿保存法に対応した書類を電子保存した場合、義務付けられている保存期間は紙の書類との違いはあるのでしょうか。

今回の記事では、電子帳簿保存法で定められている書類の保存期間について説明します。

1.電子帳簿保存法とはそもそも何か

電子帳簿保存法とは、国税関係書類や帳簿類などの電子保存の要件を定めた法律です。

大きく分けて「電子データ保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つ種類があり、それぞれで保存要件が定められています

帳簿などは最初から電子データで作成したものだけが電子保存が認められていますが、請求書や契約書などについては、元は紙の書類で合ったものをスキャナして保存することも認められています。

2024年から電子データとして授受される電子取引については、紙で出力して保存することが認められなくなるため、電子保存ができる運用に企業や個人事業主がシフトする必要があります。

2.電子データの保存期間はどのくらいか

電子帳簿保存法におのける書類の保存期間は何年?電子データと書類の違いは?

電子データの保存期間はどのくらいと義務付けられているのでしょうか。

1そもそもの帳簿類の保存期間について

法人、個人ともに帳簿の保存期間は7年です。その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間となっています。
電子帳簿の場合も同様に7年が必要です

また、欠損金の繰越控除を受ける場合は最長10年間、保存しなければなりません。

個人事業主の場合は、白色と青色申告で異なり、国税庁のサイトでは以下のように示されています。

  • ●白色申告者については、帳簿のうちの任意帳簿及び書類の保存期間は5年。
  • ●青色申告者については、書類のうち、決算関係書類及び現金預金等取引関係書類のいずれにも該当しない書類の保存期間は5年とされている。
  • なお、前々年分所得が 300 万円以下の青色申告者については、上記のほか、現金預金等取引関係書類についても、保存期間は5年とされている。

参考・出典:電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】

参考・出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁

2電子データの保存の場合

電子帳簿保存法の要件を満たして電子データで保存する場合、上記と同様の保存義務の7年間が発生します。

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電子データのうち、元が紙の書類の保存期間について

元々は紙データであった情報をスキャンして電子化して保存するスキャナ保存の場合、これまでは紙の保存期間はおおむね1年以内が目安でした

理由としては、領収書や請求書を電子化した後に、定期検査を年一度実施することが法律上定められていたためです。検査を行った後は破棄が可能です。

2022年の改正で定期検査の要件が廃止されたため、法律上は正しく電子化できた後はすぐに破棄して良いことになりました

もちろん、要件として定められているタイムスタンプの付与または訂正や削除を確認できるクラウドシステム等を利用することが前提です。

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保存義務の期間が過ぎた後の対応

電子データであればデータの削除をし、スキャナ前の紙書類であればシュレッダーなどで破棄して問題ありません。

この保存期間はあくまで税法上の保存期間のため、保存期間を超えても保存しても問題ありません。

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3.まとめ

電子帳簿保存法で定められている書類の保存期間は、紙の書類と同様で基本的に法人、個人問わず7年です
個人事業主の場合は青色申告か白色申告か、また書類の種別によって5年間の場合もあります。

すでに保存している紙の書類がたくさんある場合、保存スペースの削減や情報消失の可能性を考慮するとスキャナ保存要件を満たして電子化するのが安心です。
原本破棄ができるだけでなく、バックアップを取れる点や、電子帳簿保存法以外の書類や紙データなども電子化して活用しやすくなります

紙の書類をスキャンして保存する際には、画像として保存するだけでなくテキストデータ化が容易にできると、システムへの入力工数の削減や情報の再利用が行いやすいです。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori