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安否確認とは?重要性と確認項目、実施方法(企業・自治体・個人)

災害時に被災者が安全な場所にいて、無事なのかを確認するためには、安否確認が必要です。一方、安否確認をする必要があるのは理解しているものの、確認する項目や実施方法がよく分からず悩んでいる方もいるでしょう。

そこで本記事では、安否確認の目的や重要性、安否確認で使用できるツールなどを解説します。安否確認で確認すべき内容についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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1.安否確認とは?目的と重要性について

安否確認とは、対象者が安全な場所にいて無事なのかを確認することです。安否確認をすれば災害などが発生したときに、従業員や家族・高齢者・子どもが安全な場所に避難できているか、ケガなどをせず無事なのかが確認できます。

また二次災害が起きても、避難先は安全かなども確認するとより安心でしょう。

安否確認と一言でいっても、立場によって安否確認の意味が異なります。企業であれば「従業員が安全な場所にいて無事なのか」を確認する意味もありますが、近隣の交通網はどのようになっているか、出社できる状態なのかなども確認しなければなりません。

安否確認をする目的として事業が継続できる従業員の確保が可能かを確認したり、従業員の不安を和らげたりする効果もあり、早ければ早いほど効果が得られます。

災害やテロなどのパンデミックが起きた場合、早急に安否確認をすることで安全性の確保と今後の復旧方法などが判断できるでしょう。

1-1.企業にとっての安否確認

企業にとっての安否確認の目的は以下の通りです。

  • 従業員とそのご家族の安全確保
  • 事業継続の確保(BPC)

順番に解説します。

1-1-1.従業員とそのご家族の安全確保

災害が起きたとき事業の継続よりも先に、従業員やご家族も含め命を守ることが最優先です。従業員が今どこにいて、周りのご家族も安全なのかを把握しておくことで、この後の指示がしやすくなります。

企業は従業員の雇用主であり、安全配慮義務があります。仕事中はもちろん、出勤中・帰宅中・テレワーク中など全てのタイミングで安全なのかを把握することで、企業としても安全の配慮をしたといえるでしょう。

また会社から連絡が来て安否確認を行い今後の指示をすることで、従業員やご家族の安心感につながるのはもちろん、今後どのような行動をするべきか把握できるため二次災害も食い止められます。

1-1-2.事業継続の確保(BCP)

災害がおき被災した場合、事業にも影響がでるのは明らかです。事業継続を早急にするためには、従業員の確保が必要でしょう。

そのためにも安否確認を行い、事業継続できる従業員の確保ができるのか人員の把握が必要です。

災害発生後これから先の判断が早ければ早いほど、事業の継続や復旧の可能性が高まります。従業員の状況を確認し、人員の把握と復旧にかかる時間を早めに判断しておくよう努めましょう。

BPC対策について詳しい内容を知りたい方は、別記事「BCP対策とは?基礎知識や策定手順・ポイントまで完全解説」をご確認ください。

1-2.自治体にとっての安否確認

自治体にとっての安否確認は、以下の目的があります。

  • 住民の安全確保
  • 住民の避難状況の確認と通知

ひとつずつ解説します。

1-2-1.住民の安全確保

災害が起きたとき、自治体にとっても「住民の安全確保」が第一です。そのためにも安否確認は必要です。

一方安否確認をする際、住民全員が利用できるわけではありません。特に高齢者の一人暮らしの場合や介助が必要な方が自宅にいる場合は、注意が必要です。

そのため、自治体では自治体全体の安否確認ができるよう、一般的な安否確認システムだけに頼らず、ほかの対策もしなければなりません。

ほかの対策として、企業と連携し災害があったときに知らせられる「見守りシステム」や「緊急通報用のブザー」などの提供をしている自治体もあります。

災害専用ではないものの、災害時の安否確認としても利用ができます。

そのほか自治体は個々の自治会と連携し災害時に自助努力をしてもらうためにも、近所の方の安否確認を全員で行えるよう住民同士が訓練しておくことも大切でしょう。

1-2-2.住民の避難状況の確認・通知

自治体は住民が避難できているのか、状況の確認をします。さらに住民のご家族に安心してもらうためにも、避難状況を住民のご家族に通知する必要もあるでしょう。

ご家族に通知をしたり、自治体で状況の確認をしたりするためにも、安否確認は大切です。

前章「住民の安全確保」で紹介した緊急通報ブザーなどは、登録しているご家族に連絡されるシステムとなっており、万が一の際にも安心できます。

そのほかSNSやチャットボットなどを活用し、学校などにまとめて無事かを確認し集計することで自治体全体として被害状況などの把握も可能です。被害状況を把握すれば、避難所の整備や備蓄の管理、近隣の地域や行政への救援要請なども早急に対応できます。

さらに安否確認で得た情報をもとに、各住民に対して正確な被害状況や今後の対策なども発信できるため、災害などのパンデミックでは安否確認が非常に重要であるといえます。

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2.安否確認を行うときに確認すべき項目

安否確認を行うときに確認すべき項目は、以下3点です。

  • 従業員や住民の本人状況
  • 従業員や住民のご家族の状況
  • 企業の場合は、出社の可否

順番に解説します。

2-1.従業員や住民の本人状況

従業員や住民の本人状況を確認するためにも、かならず連絡が取れるようにしておくことが大切です。状況の確認をする際は、以下の内容を手短に確認するようにしましょう。

  • ケガはしていないか
  • 避難はできているか
  • 被害の程度
  • インフラ(水・電気・移動手段)などで困っていないか

災害時は皆が普段と異なる状況のため、焦ることのないよう事前に安否確認の予行練習をしておくことが大切です。

2-2.従業員や住民のご家族の状況

続いて、従業員や住民のご家族の状況も確認する必要があります。企業にとって本人としか関わりがなくとも、従業員のご家族の安否が不明のまま仕事をさせることがあってはなりません。従業員のご家族の安否が問題ないかも、しっかり把握しておくことが大切です。

また自治体としても、住民のご家族の状況を知る必要があります。ご家族構成によっては、安否確認に回答できないご家族もいるからです。サポートを単一でなく、家族まとめてしていく必要があることを覚えておきましょう。

2-3.出社の可否(企業の場合のみ)

企業の場合は、出社ができるかどうかの確認も必要です。事業継続のためには、より早急な復旧対応が必要だからです。また復旧には、緊急対応ができる従業員と災害時に指示を出せる専門担当を配置しなければなりません。

そのためにも人員確保が可能か、出社の可否の確認を従業員へ行いましょう。災害時は、交通インフラが途絶える可能性も高く、出社が難しかったり出社したことで帰宅できなくなったりすることもあります。

従業員の安全を確保のうえ、出社できる従業員の把握をして指示を出していけるよう検討しましょう。

3.災害時の安否確認の方法

災害時の安否確認は、行政で提供しているものも含め数多くの方法があります。どのような安否確認方法があるか、しっかり把握しておきましょう。

また所属の自治体や企業にとって、どの安否確認方法が最適なのか検討材料にしてください。

3-1.電話

一般的な安否確認方法のひとつとして、電話があります。

電話のメリットは相手の状況や心境が分かり、お互いが安心できることでしょう。

一方、電話は大人数の状況を把握する場合には適していません。大人数の場合、確認に時間がかかり、担当者の時間が割かれるからです。もし電話で安否確認を行うのであれば、少数の場合にのみ活用しましょう。

また災害時は電話回線が混雑する可能性が高く、つながらない場合もあるため、ほかの手段も検討しておく必要があります。

3-2.SNS

SNSも、すぐに連絡がとれる手段のひとつです。SNSのグループチャットなどを活用すれば個別に連絡する必要もなく、すぐに確認ができます。また写真などの添付も可能なため、状況把握もしやすいでしょう。

一方、通常SNSは私用で使うものであるため、企業の安否確認に活用するようであれば、より慎重に検討しなければなりません。

3-3.メール

メールで安否確認を行えば、電話に比べると手間が減りすぐに送信が可能です。

一方災害時などの異常事態の場合、メールが届いていたとしても気付かず連絡が遅れる可能性もあります。特に業務外の時間帯に災害が起き、業務用の携帯電話へメールを送信すると気付かれない可能性が高いので注意しましょう。

3-4.ビジネスチャット

企業で安否確認を行う場合、ビジネスチャットを活用するのもよいでしょう。よく使われる代表的なビジネスチャットとしてSlackやChatwork、LINEWORKSなどがあります。

LINEWORKSなど特定のビジネスチャットでは既読されたか確認できるので、安否確認もしやすいといったメリットがあります。

一方、安否確認の連絡以降にほかのチャットが来ると、気付かれない可能性もあるので注意が必要です。安否確認用の専用のグループなどを用意しておくなどの対策をしておきましょう。

3-5.安否確認システム

セキュリティを強化し、より管理者の負担を減らすには、安否確認専用のシステムを利用する方法もあります。安否確認システムは一般的に、個人ではなく企業や自治体で活用されている独自システムです。

災害が起きたとき登録者に自動で一斉に安否確認を行ってくれます。さらに安否確認で届いた返信を自動で集計してくれるため、担当者の負担が減ります。

安否確認システムの方法には、さまざまなものがあり、LINEなどのSNSを活用するものもあれば専用アプリを使用するものもあります。掲示板による情報共有が可能な機能もあるため、システムを活用する場合は利用したい機能が備わっているか確認が必要です。

自治体で安否確認システムを利用する場合の課題として、スマートフォンやアプリに慣れていない高齢者であっても使いこなせるシステムかという点です。そこで高齢者も使いやすい安否確認システムをお探しの方は、NTT東日本の「シン・オートコール」を試してみましょう。

シン・オートコールは、自動で電話をかけたりSMSを発信したりできる安否確認システムです。また、プッシュダイヤルが苦手な方でも自由発話に対応しています。

シン・オートコールの詳細を知りたい方は別記事「使いなれた「電話」と最新の「クラウド」の組み合わせによる防災・防犯・みまもり 〜 シン・オートコール 〜 セミナーレポート」を参考にしてください。

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3-6.災害用伝言ダイヤル(171)

手軽に使える安否確認システムとしてNTT東日本とNTT西日本が提供する、災害用伝言ダイヤル(171)があります。災害用伝言ダイヤル(171)は災害発生時、通信回線や電話回線がつながりにくくなる状況であっても、問題なく使用できます。

災害用伝言ダイヤル(171)は被災地にある登録電話番号に対してメッセージを録音したり、反対に安否を伝えたい被災者が伝言を残したりすることが可能です。一方「30秒以内の録音」「20伝言まで」といった制約があるため、注意してください。また、複数の従業員がいる企業では、集計などに時間がかかるためほかの方法で安否確認をした方が良いでしょう。

録音方法は、以下の通りです。

1. 171をダイヤルしてから、1を押す

2. 被災地にいる方が伝言を残すのであれば自分の番号を入力。被災地にいる方に伝言を残したい場合は被災地にいる相手の番号を市外局番から入力する

3. 1を押して、30秒以内に伝言を残す

続いて、伝言の再生方法は以下の通りです。

1. 171をダイヤルしてから、2を押す

2. 被災地にいる方が伝言を聞く場合は自分の番号を入力。被災地にいる方の伝言を聞きたい場合は被災地にいる相手の番号を市外局番から入力する

3. 1を押して、伝言を聞く

詳しい使い方や概要は、NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)ご利用方法」を参照ください。

3-7.災害用伝言板(web171)

災害用伝言板(web171)は、災害時にインターネットを経由して特定の番号の方の、安否確認ができる伝言板です。「100文字以内」「保存件数20件」までの制約があるため注意しましょう。

伝言の登録方法は、以下の通りです。

1. 災害用伝言板(web171)にアクセス

2. 伝言を登録したい電話番号を入力して、登録を押す

3. 名前やコメントを、100文字以内で記載し登録する

続いて、伝言の確認方法は以下の通りです。

1. 災害用伝言板(web171)にアクセス

2. 伝言を確認したい電話番号を入力し、確認を押す

災害用伝言板(web171)も災害用伝言ダイヤル(171)と同様、集計に時間がかかるため複数の従業員を抱えている企業では不向きです。

詳細は公式サイトのNTT東日本「災害用伝言板(web171)」をご確認ください。

4.安否確認システムならぜひNTT東日本にご相談ください

自治体で安否確認システムを取り入れたいと検討中だけれど、返答率が少なく困っている方は、NTT東日本にご相談ください。

NTT東日本の「シン・オートコール」では、電話を活用して安否確認が行えます。アプリやスマートフォン、インターネットを利用していない方の安否確認もできるため、自治体の災害対策や見守りサービスなどにも活用できます。防災放送を活用していても、なかなか内容が聞き取れなく悩んでいる場合は、シン・オートコールを活用すれば避難場所などの情報発信も可能です。

各自治体の活用事例なども掲載していますので、ご興味のある方は下記ページを参考にしてください。

NTT東日本のシン・オートコール

安否確認についてまとめ

安否確認とは、災害時に対象者が安全な場所にいて無事なのかを確認することです。安否確認の方法をしっかり構築しておくことで、企業は従業員やそのご家族の安全確保の確認と、事業継続に必要な人材の確保を行えます。

また自治体であれば、住民の安全確保と避難状況の確認に役立つでしょう。豊富な安否確認の方法があるものの、確認する人数や属性によっても使いやすいツールは異なります。

安否確認する規模や用途、安否を確認したい場合の年代など全てを考慮し最適な安否確認方法を構築しましょう。

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