店舗の万引き防止対策4選!
実態調査に基づいた「万引きが起こりやすい店舗の特徴」を解説
成人や高齢者による万引き被害は増加傾向にあり、社会問題となっています。万引きは窃盗罪にあたり、繰り返し行うことで重大な犯罪に発展する可能性があります。
「店舗での万引きが多く困っている」「万引き対策を行っても効果が感じられない」という方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、最新の万引き調査の結果から「万引きされやすい店舗の特徴」を解説し、万引き防止のための対策方法を紹介します。
万引き実態調査の結果
警視庁の統計データによると、万引きの認知件数と検挙・補導人員は減少傾向にあります。一方で、万引きの検挙件数は増加しています。
この章では、万引きの実態を「被害店舗」「年齢層」「時間帯」に焦点を当てて解説します。
参照元:万引きに関する調査研究報告書(小学生の万引きに着目した意識調査及び万引き被疑者等に関する実態調査)-警視庁,令和元年
主な被害店舗
万引きの被害店舗は、スーパーマーケットが約50%と最も多いです。また、コンビニは約20%とスーパーマーケットの次に多いです。一方で、ドラッグストアや書店、衣料品店では万引きが少ない傾向にあります。
万引き被疑者が選ぶ店舗は、スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアでは自宅付近(自宅半径1km以内)が多く、その他では生活圏外が多いです。この結果から、住宅街にあるスーパーマーケットでは、他の商業施設に比べて、万引きの危険性が高いことが分かります。
年齢層
万引き被疑者の割合は少年20%、成人50%、高齢者30%です。近年、少年の万引き件数は減少していますが、成人や高齢者の万引きは増加しています。
万引き犯の主な犯行店舗は年代により異なります。たとえば、若い人はコンビニで万引きを行う割合が高く、12歳以下の50%以上がコンビニでの犯行です。また、高齢者の万引きの約7割はスーパーマーケットで行われています。
時間帯
万引きが起こりやすい時間帯は12時と16時です。また、深夜や早朝は少ない傾向にあります。高齢者は11:00をピークに、午前中の万引きが多い傾向にあります。若者は15:00〜16:00に多く、下校時間の万引きが多いと考えられます。
万引きが起きやすい店舗に共通する6つの特徴
万引きを減らすためには、万引きの誘発要因を減らすことが重要です。この章では万引きが起こりやすい店舗の共通点を解説します。
店員・警備員が少ない
万引き犯の30%は店員が少ないことを、10%が警備員がいないことを理由に犯行店舗を選択しています。これは、万引き犯は店員が多いほど「見つかりやすい」と考えるためです。
そのため、「ピーク時には見回りの店員を増やす」「警備員の巡回を行う」などの対応が有効です。
店内が混雑している
店内混雑時には店員の注意が行き届かないため、万引き件数が増える傾向にあります。混雑時間帯には店員を増やすなどの対策を行うことで防止することが可能です。
また、セルフレジ等の導入を行うことでレジ人員を低減できます。レジ業務に必要だった人員を店内の見回りにあてられるため、万引き対策としても効果的です。
死角が多い
万引きは店員の目が届かない死角で発生します。死角が多い場合は、商品配列やレイアウトを見直す必要があるでしょう。
陳列棚やショーケースは、高さが店員の視線より低いものを利用することで、死角を減らせます。また、防犯ミラーを設置することで、死角になりやすい棚や柱の裏での万引きを予防できます。
陳列が雑然としている
乱雑な陳列状態では「万引きしやすい」という錯覚が生じるため、万引きが増加します。常に整頓された陳列を心がけましょう。
また、整然とした陳列を維持することで、数量の確認がしやすい状態になります。万引きが起こった場合にもすぐに気付けるよう、丁寧な陳列を心がけましょう。
防犯カメラやゲートなどの万引き対策がない
防犯カメラや防犯ゲートなど、万引き発見のための対策が行われていない店舗では、万引きが多くなる傾向があります。万引き犯の多くは「万引きをしても見つからないだろう」という意識から犯行を行います。そのため、万引き発見の対策がない店舗での万引きが多いです。
また、防犯カメラの映像は犯行の証拠としても利用できます。万引きを行っている映像データが残るため、設置することで抑止力になります。
店舗の万引き防止対策4選
万引きは適切な対策を行うことで防止可能です。この章では、以下の4つの万引き対策を紹介します。
- 防犯カメラの設置
- 防犯ゲートの設置
- 定員による声かけ
- 万引きポスター・POPの設置
1つずつ解説していきます。
防犯カメラの設置
防犯カメラを設置することで、万引きを防止できます。防犯カメラが設置されていることで「誰かが見ているかもしれない」と連想されるためです。特に、店員の少ない店舗や屋外陳列では効果が大きいでしょう。
また、防犯カメラの映像記録は、万引きが起きたことの重要な証拠になります。防犯カメラを設置することで、犯人逮捕をスムーズに行えます。「犯行の瞬間が映像として記録に残ることで証拠になるかもしれない」と連想されるため、万引きが起こった後への影響だけでなく、万引き対策として有効です。
また、近年では防犯カメラを利用した映像AIサービスも注目されています。詳しくは以下のサイトを参考にしてみてください。
防犯ゲートの設置
防犯ゲートを設置することで、高精度での万引き発見が可能になります。防犯ゲートとは、レジを通していない商品を持った人がゲートを通り過ぎたときにブザ―が鳴る検知器です。店舗の出入り口に設置することで、店外に商品を持ち出すと警報が鳴るため、高精度で万引きを発見できます。
防犯ゲートの利用には、商品に防犯ラベルや防犯タグを付ける必要があります。また、防犯ゲートの設置費用がかかる点も注意が必要です。
店員による声掛け
店員や警備員による見回り、声かけは万引きに効果的です。警視庁の「万引きに関する調査研究報告書」によると、万引きの抑制要因の3割以上が店員の声かけです。また、警備員の巡回も合わせると6割を超えています。これは他の抑制要因と比較しても高い割合を占めていることから「店員・警備員による声かけ」は最も効果がある万引き対策と言えます。不審行動に対しては積極的な声かけを行いましょう。
万引き防止ポスター・POPの設置
万引き防止ポスターやPOPを設置することで、万引きを抑制できます。ポスターやPOPの設置は声かけよりも難易度が低く、店舗にとって取り組みやすい対策です。また、警察の立ち寄りや防犯カメラの設置状況をポスター等で知らせる対策を行いましょう。
警視庁の調査によると、万引き犯のうち「万引き事件は全件届け出される」ことを知っていたのは全体の3割程度です。万引きに関する正しい知識を掲示することで、万引きを思いとどまらせる効果があります。
不審な行動を検知して店員に知らせる「映像AIサービス」
万引き対策に効果的な「声かけ」には「映像AIサービス」の利用がおすすめです。
▼NTT東日本「映像解析活用術:万引き対策や接客機会の創出」
NTT東日本の提供する「映像AIサービス」では、防犯カメラの映像から顧客不審な行動をAIが検知し、スマートフォン(専用アプリ)に通知します。通知を受け取った従業員が声かけを行うことで、万引き対策をサポートします。
「映像AIサービス」は、万引き対策だけでなく、来店者の情報の分析や混雑情報の検出に利用できます。万引き減少によって売上ロス額の抑制だけでなく、顧客・従業員情報の可視化による業務効率向上、売り上げ向上が期待できます。
AIを活用した万引き対策の成功事例3選
AIカメラによる万引き対策は、さまざまな企業で導入されています。この章では「映像AIサービス」の「接客支援AI」と同等の万引き抑止機能を有する「AIガードマン」の活用事例を3つ紹介します。
ウエルシア薬局株式会社
ウエルシア薬局株式会社では、AIガードマンの導入によりロス額の30%減少を達成しました。また、商品を探している顧客の情報が通知される機能を活用し、積極的な声かけ・商品案内を行うことで、CS向上を実現しました。
店舗ごとにAIガードマンの運用責任者を決め、声かけ担当者を設けることで、より自発的な声かけが実現されています。AIガードマンにより挨拶や声かけのきっかけが生まれたことの効果が大きいと担当者は語っています。
株式会社ライフコーポレーション
株式会社ライフコーポレーションでは、AIガードマンの導入により効果的な人員配置を実現しました。
以前は、店員の多くが、業務の多い「食品売り場」に偏っていました。AIガードマンの導入により、化粧品や医薬品、書籍コーナーなど、食品エリア以外の巡回率が上昇しました。その結果、医薬品では60%、化粧品では90%のロス率減少を達成しました。
株式会社綿半ホームエイド
株式会社綿半ホームエイドでは、AIガードマンを活用することで広い店舗でのロス率減少・CS向上を達成しました。
AIガードマンでは、店舗全体の不審行動に対して通知が届きます。広い店舗でも、不審行動を見落とすことなく声かけが可能になり、商品のロス率が20%減少しました。
また、不審行動だけでなく商品を探している顧客の情報も届くため、接客面での機会損失を低減する効果もあり、顧客満足度の向上につながりました。
※事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。
※NTT東日本の「AIガードマン」は万引き対策を目的としたAIカメラ用のプラットフォームサービスです。
※「AIガードマン」は、アースアイズ株式会社が保有する登録商標です。
まとめ
店舗で万引きが起る原因として、以下の項目が挙げられます。
- 店員・警備員が少ない
- 店内が混雑している
- 死角が多い
- 陳列が雑然としている
- 防犯カメラやゲートなどの万引き対策がない
防犯カメラやゲートの設置などの防犯システムを活用した対策は効果的ですが、設置費用や運用コストがかかるなどの注意点も存在します。積極的な声かけや万引き防止ポスターの掲示などの簡単な対策でも効果があるので、取り組みやすい対策から始めることを検討してみてはいかがでしょうか。