
LGWAN-ASP参入にかかる費用とは?内訳と見積もりのポイントを解説

LGWAN-ASPの費用を見積もる際、かかる費用の全体像や、詳細な内訳は把握することが難しいです。見積もりの際は、費用を「LGWAN接続」「基盤・ホスティング」「アプリ・ASP利用料」「運用・保守」の4つに分解し、各費用を細かくチェックしましょう。
本コラムは、民間の情報通信事業者・アプリケーション事業者向けに、自社サービスをLGWAN環境で提供する際の費用を解説します。
LGWAN-ASPでは、LGWANへの接続や閉域環境に合わせた基盤設計が必要になります。そのため、申請、接続設定、運用設計などの作業が増えやすい点に注意しましょう。
目次:
- 1. LGWAN-ASPとは?
- 2. LGWAN-ASP参入にかかる導入費用の例(提供事業者側の初期費用・運用費用)
- 3. LGWAN-ASP参入時に発生する費用4種
- 3-1. LGWAN接続関連費用
- 3-2. 基盤・ホスティング費用
- 3-3. アプリ・ASP関連費用
- 3-4. 運用・保守・オプション費用
- 4. LGWAN-ASPに参入するメリット・デメリット
- 4-1. LGWAN-ASPのメリット
- 4-2. LGWAN-ASPのデメリット
- 5. LGWAN-ASP費用を左右する設計・運用のポイント
- 5-1. 初期費用が膨らみやすい要因
- 5-2. 月額費用が増えやすい要因
- 5-3. 費用を抑える考え方
- 6. 【チェックリスト】LGWAN-ASP参入前に整理するポイント
- 7. 柔軟に設計できるNTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」
- 8. LGWAN-ASPの費用に関するFAQ
- 8-1. 外資系クラウドと国産クラウド、中長期的なコストの「予測しやすさ」に違いはありますか?
- 8-2. ネットワーク構築や、障害時の切り分けにかかる「見えない人件費」を抑える方法はありますか?
- 8-3. 自治体独自の情報セキュリティ要件やBCP対策を強化すると、最終的なコストは跳ね上がりますか?
- 9. まとめ
1. LGWAN-ASPとは?
LGWAN-ASPとは、行政専用の閉域ネットワークであるLGWANを介して、地方公共団体向けに各種行政事務サービスを提供する事業者やサービスのことです。LGWANは、地方公共団体の庁内LANを相互に接続するネットワークで、一般のインターネットとは切り離して運用されています。
利用者は地方公共団体(自治体)の職員に限定され、アクセス経路もLGWANを前提に設計されます。外部からの不正アクセスや情報の持ち出しリスクを抑えたい場面で、通信経路や接続元を絞り込みやすい点が特長です。誰でもアクセスできる一般的なクラウドに比べ、業務に必要な範囲で運用ルールを組み立てやすくなります。
また、LGWAN-ASPの利用は自治体側だけで完結しません。LGWAN-ASPサービス提供事業者のうち、所定の審査を経て登録された事業者が、稼働状況の確認やメンテナンスのためにアクセスする場合があります。たとえば、障害対応や更新作業を行う際に、自治体の運用に支障が出ないよう限定的に接続するイメージです。
LGWAN-ASP上で扱われるサービスは、申請手続き・各種台帳の参照・部署間の連携など、内部事務系の業務に関するアプリケーションを安全な経路で使いたい場面で主に採用されます。
LGWAN-ASPについては、下記のコラムで詳しく解説しています。
2. LGWAN-ASP参入にかかる導入費用の例(提供事業者側の初期費用・運用費用)
LGWAN-ASPの導入費用(提供事業者側の初期費用・運用費用)は、LGWANへ接続するための設定作業と、提供する範囲や運用条件によって変わります。具体的な料金を、下記にまとめました。
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| 区分 | 費用項目 | 年額 | 月額 | 概要 |
|---|---|---|---|---|
| 一時費用 | LGWAN設定料 | 110,000円/ 新規・変更の都度 |
- | DNS設定、ASP接続セグメントへの ルーティング設定など |
| 一時費用 | IPアドレス発行料 | 11,000円/ アドレス |
- | グローバルIPアドレス、 ドメイン名の発行 |
| 一時費用 | アプリケーション 証明書発行料 |
22,000円/ 証明書1件 |
- | LGPKI認証局からの証明書発行 |
| 一時費用 | プロトコル追加料 | 55,000円/ 追加の都度 |
- | 基本プロトコル以外の追加設定 |
| 経常費用 | LGWAN接続 ルータ監視料 |
88,000円 | 7,337円 | LGWAN接続ルータの監視 |
| 経常費用 | ASP運営管理料 | 567,600円 | 47,300円 | ASPの運営管理にかかる費用 |
| 経常費用 | LGWAN利用料 | 120,000円~ 2,100,000円 |
- | 帯域によって変化 |
| 経常費用 | LGWAN網使用料 | 2,508,000円~ 5,775,000円 |
209,000円~ 481,250円 |
提供範囲や帯域によって変化 |
一般のクラウドと比べて、LGWAN(閉域網)に合わせた手続きや機器設定が必要になりやすいため、見積もりの前提をそろえることが重要です。
また、一部の費用項目には、免除の特例があります。見積もり時は通常料金だけでなく、免除対象の有無もあわせて確認しましょう。
3. LGWAN-ASP参入時に発生する費用4種
LGWAN-ASPの導入費用は、下記の4項目に分けて考えましょう。
- LGWAN接続関連費用
- 基盤・ホスティング費用
- アプリ・ASP関連費用
- 運用・保守・オプション費用
3-1. LGWAN接続関連費用
LGWAN-ASPを提供するには、自治体が利用する閉域ネットワーク(LGWAN)と、提供事業者側の環境を接続する必要があります。LGWAN接続関連費用は、この接続に伴って発生するものです。通常のインターネットとは切り離された経路に入るため、申請や接続設定、接続料などが必要になります。
接続料金は、提供するサービス内容や対象によって、軽減が可能です。アプリケーションやコンテンツ提供者に従量課金を行う場合や、人口5万人以下の小規模市町村に利用料割引を行う場合などは、LGWAN-ASPの接続料金が抑えられます。
また、発生する費用は「一時費用」「経常費用」の2種類で、それぞれ請求時期が異なります。一時費用の請求タイミングは、接続月の翌月末までです。一方、経常費用は原則年一括払いで、当初接続時は年度末までの期間分を接続月の翌月末までに請求されます。
3-2. 基盤・ホスティング費用
基盤・ホスティング費用は、LGWAN-ASPサービスを稼働させる「土台」に必要なコストです。具体的には、下記の費用が含まれます。
| 費用項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 初期構築費用 |
|
| サーバー利用料(月額) | CPU、メモリ、ストレージなどの利用料 |
| データセンター利用料 |
|
| 回線費用 | LGWAN回線、必要に応じた冗長化や帯域の考え方に関わる費用 |
閉域網での提供は、一般的なインターネット向けサービスよりも、構成や手続きの工程が多くなります。閉域網での運用設定や、周辺設備の準備に伴う作業費用が必要です。
3-3. アプリ・ASP関連費用
アプリ・ASP利用料は、LGWAN-ASP上で業務アプリを継続利用するための料金です。利用人数や利用範囲が広がるほど、費用が増えていきます。
費用の内訳は、下記の通りです。
| 費用項目 | 主な内容 |
|---|---|
| システム開発費用 |
|
| セキュリティ対策費用 |
|
| 各種書類作成費用 |
|
| 申請支援に関わる作業費 |
|
3-4. 運用・保守・オプション費用
LGWAN-ASPの運用では、導入後もサービスを安定稼働させるための運用・保守・オプション費用が発生します。詳細な内訳は、下記の通りです。
| 費用項目 | 主な内容 |
|---|---|
| サーバー保守費用 |
|
| セキュリティ更新費用 |
|
| サポート費用 |
|
| バージョンアップ費用 |
|
運用や保守の委託費用を抑えすぎると、現場の負担が増えやすくなります。トラブル時の連絡がつながらなかったり、復旧に時間がかかったりするため、混乱が避けられません。
また、外部から受け取るファイルを安全な形式に作り替える「ファイル無害化」も、追加費用が発生しやすい領域です。対象ファイルの種類や処理量、連携方式によって必要な構成が変わるため、見積もり時点で仕様を確認しましょう。
4. LGWAN-ASPに参入するメリット・デメリット
LGWAN-ASPのメリット・デメリットは、下記の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
4-1. LGWAN-ASPのメリット
インターネット回線とは異なる閉域回線であるLGWANは、非常に高度な情報セキュリティ対策が施されています。
人々の重要な情報を扱っている行政サービスを提供するために、情報漏えいの危険が少ないLGWANを利用して高度なセキュリティの確保ができることは、サービス提供者にとって大きなメリットといえるでしょう。
また接続環境の共用が可能で、一度環境を構築すれば、容易にサービスの拡充や追加ができる点も、大きなメリットです。
上記の他にもアプリケーション基盤として利用できたり、販売促進にも利用できるなど、多くのメリットがある点は、サービス提供者にとって見逃せないポイントといえます。
4-2. LGWAN-ASPのデメリット
LGWAN-ASPの導入時には、下記のようなデメリットもあります。
- 導入・運用コストが発生する
- 大規模構成では費用が膨らみやすい
- 外部連携に制約が出やすい
LGWAN環境でサービスを提供するうえで、導入・運用の制約は避けられません。閉域網で安全に使うには、接続のための手続きや構成設計が必要になり、一般的なクラウドよりも初期検討の項目が増えます。結果として、見積もりの内訳が増え、関係者の調整工数も積み上がりがちです。
また、閉域運用を行うためには、環境設定が必要になります。サーバー代だけでなく、閉域で運用するためのネットワーク設定や周辺作業が含まれるため、構築・運用まで含めた見積もりが欠かせません。
運用面では、外部からのデータ持ち込みや、連携が制限されるのも難点です。追加要件が乗りやすく、オプション費用が発生する場合もあります。更新や変更作業も、検証や申請が絡むとリードタイムが伸びがちです。隠れた費用の発生を避けるため、要件定義は慎重に行いましょう。
5. LGWAN-ASP費用を左右する設計・運用のポイント
LGWAN-ASPの導入では、費用を最適化することが重要です。検討が不十分なまま導入を進めると、予期せぬ支出が発生しかねません。LGWAN-ASPの導入時に注意すべきポイントを、下記の観点から解説します。
- 初期費用が膨らみやすい要因
- 月額費用が増えやすい要因
- 費用を抑える考え方
5-1. 初期費用が膨らみやすい要因
LGWAN-ASPの初期費用が膨らむ要因は、主に次の2つです。
- 専用基盤でサービスを提供する
- 導入時の作業範囲が定まっていない
LGWAN-ASPの料金には、LGWAN設定料やIPアドレス発行料、アプリケーション証明書発行料、プロトコル追加料などの一時金が含まれます。利用するプロトコルや必要な設定が増えるほど、初期に確認すべき項目も増える仕組みです。
また、事業者側の導入作業として、閉域ネットワーク接続・トンネリング設定・基本工事などが発生するケースもあるので注意が必要です。
見積もり前には、どの方式で接続するか、どこまでを初期作業に含めるかを整理しておくことが重要です。
5-2. 月額費用が増えやすい要因
LGWAN-ASPの月額費用が増えやすい要因は、下記の通りです。
- 運用作業の対象拡大
- サーバーのスペック増強
- セキュリティ設定の追加
- 運用メニュー・オプションの追加
職員数やページ数などが増えると、アカウント管理・更新作業・点検の対象が広がり、運用費が伸びやすくなります。また、サーバーのCPU・メモリ・ストレージを増やすほど、サーバー利用料は増加するでしょう。
セキュリティ設定に関しても、防護設定を増やせば、費用が増えます。加えて、バックアップや障害対応、外部ファイル無害化のようなオプションを採用する場合も同様です。
LGWAN-ASPの月額費用については、関連コラムもご参照ください。
【関連コラム】LGWAN-ASPとは?サービス構成やメリットをわかりやすく解説
5-3. 費用を抑える考え方
LGWAN-ASPの費用を抑えるコツは、比較の際に前提をそろえることです。まず、専用構成にするのか共用構成にするのかで、初期構築の作業量が変わります。扱う情報や運用要件に照らし、専用にする部分を定義すると、過剰な部分を削減可能です。
次に、見積もる範囲を確定させます。データ移行や初期設定、申請・接続設定の代行などは、含まれる範囲で初期費用が動きやすい項目です。作業項目と成果物をセットで合意すると、追加費用の発生を抑えやすくなります。
月額の観点では、必要であればサーバー資源や運用メニューをそろえるのが基本です。外部ファイルを安全に扱うための処理など、オプションが必要な場合も、対象業務と処理量を整理してから選ぶと判断が早くなるでしょう。
6. 【チェックリスト】LGWAN-ASP参入前に整理するポイント
LGWAN-ASPの見積もりを行う際は、下記のポイントが重要です。
- 利用人数・同時接続数
- 利用業務(会議/申請/文書等)
- 可用性・障害対応レベル
- 契約期間・更新条件
- 将来の拡張予定
LGWAN-ASPは、LGWANという行政向けのネットワークを前提にサービスを使うため、一般的なクラウドとは別に「接続関連の費用」や「構成に応じた基盤費」が発生します。後から想定外の費用を発生させないためにも、導入前の条件整理は必須です。
見積もりの精度を上げるためには、自社サービスが複数の利用者で基盤を共有するか、個別に専用環境を用意するかを整理しましょう。共用環境は、基盤を共同利用するため、費用を抑えやすい傾向があります。一方、専用環境は個別の設計や設定が必要になるため、初期費用が大きくなりやすいのが特徴です。
加えて、提示された見積もり以外の費用が発生しないかも確認しましょう。追加費用の有無を確認すると、導入の手戻りを減らしつつ、決裁者の納得が得やすくなります。
7. 柔軟に設計できるNTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」
地域エッジクラウド タイプVは、LGWAN-ASPの基盤として、閉域運用と運用負荷まで含めて設計しやすい国産クラウドです。全メニューが円建ての定額制で、仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどを月額固定費用で利用でき、費用の見通しを立てやすくなります。
VMware by Broadcomベースで既存環境と親和性があり、構築から運用保守までNTT東日本のエンジニアが支援可能です。閉域接続(VPN、専用線など)でインターネット非経由の運用も検討できます。
8. LGWAN-ASPの費用に関するFAQ
LGWAN-ASPの費用に関して、よくある質問と回答を紹介します。
8-1. 外資系クラウドと国産クラウド、中長期的なコストの「予測しやすさ」に違いはありますか?
外資系パブリッククラウドでは、為替レートの変動により毎月の支払い額が大きく増減するリスクがあります。また、近年のVMwareライセンス体系の変更に伴い、将来的なコストの見通しが立てにくくなっている点も、自治体向けサービスを提供する事業者にとって大きな経営上の懸念となっています。
NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」では、全てのメニューが「円建ての定額制」となっており、為替の影響を受けません。仮想マシンやストレージなどのIaaS機能も月額の固定費用で利用が可能です。さらに、最新のVMwareライセンス体系を反映した明快な料金設定となっているため、数年先まで見越した確実な予算管理を実現できます。
8-2. ネットワーク構築や、障害時の切り分けにかかる「見えない人件費」を抑える方法はありますか?
LGWAN-ASPの運用には、LGWAN(閉域ネットワーク)との複雑な接続調整や、厳格な情報セキュリティ基準を維持するための高度な専門知識が不可欠です。これらを自社の人材だけで担う場合、構築時の工数だけでなく、障害が発生した際の原因の切り分けや復旧対応にかかる「目に見えない人件費」が継続的に発生し、収益を圧迫する要因となります。
NTT東日本では、ネットワーク関連の商材を含めたインフラ全体の構築から運用・保守までをトータルで支援しています。故障時の運用保守をNTT東日本のエンジニアが代行するため、自社で専門人員を常駐させるコストを削減しつつ、安定したサービス基盤を効率的に運用することが可能です。
8-3. 自治体独自の情報セキュリティ要件やBCP対策を強化すると、最終的なコストは跳ね上がりますか?
自治体ビジネスでは、堅牢なデータセンターでのバックアップといったデータ保護など極めて高い水準のBCP対策が求められます。これらを自前でゼロから整えようとすると、設備投資や膨大な監査対応コストがかかるほか、米国法など日本国外の法律の影響(データガバナンスのリスク)に対するコンプライアンスコストも無視できません。
NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」は、国際規格のISMS(ISO/IEC27001/27017)を取得済みであり、高い信頼性を備えたデータセンターを標準で活用いただけます。日本国内の法律のみが適用される「純国産クラウド」として、複雑な法規制への対応コストやリスクを抑え、コストパフォーマンスに優れた安全な運用を支えます。
9. まとめ
本コラムでは、費用を「LGWAN接続」「基盤・ホスティング」「アプリ・ASP利用料」「運用・保守・オプション」の4つに分け、見落としやすい内訳とチェック観点を整理しました。
あわせて、初期費用・月額費用が増えやすい設計要因を示し、見積もり条件をそろえて比較するコツも解説しています。導入前は、利用人数や業務範囲・可用性・契約条件・拡張予定まで先に固めると、手戻りを減らせるでしょう。
NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」は、LGWAN-ASPに適した、閉域運用・運用設計の柔軟性が高い基盤です。詳しく知りたい方は、下記から資料をご覧ください。
