あらためて学ぶ「ChatGPT」導入方法や便利な使い方を知ろう!
生成AIブ―ムの火付け役ともいえる「ChatGPT」。簡単な質問を投げかけるだけで精度の高い回答が得られることから、これまでのAIの概念を覆すサービスとして注目を集めました。現在では、ビジネスの一部の業務に取り入れるなどして業務効率化を図る企業もあるほど身近な存在となっています。
そこで本記事では、ChatGPTの概要や活用事例、導入方法について解説します。
1.ChatGPTとは?
ChatGPTは、アメリカ ・サンフランシスコに拠点を置く人工知能の開発機関「OpenAI」社が開発したAIチャットサービスです。
ChatGPTには、サービス名の通り、「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」と呼ばれるLLM(大規模言語モデル)が使われています。GPTはOpenAI社が独自に開発した言語モデルで、インターネット上の膨大なデータを学習し、プロンプト(命令文)に応じた質の高いテキスト生成を行います。このGPTにチャット形式で質問できるUIを設け、誰でも使いやすくした生成AIサービスがChatGPTです。
2022年11月に「GPT-3.5」を利用した無料プランがリリースされ、人間味のある自然な対話能力や、長い文章を数十秒で作れる生成速度などが話題となり、わずか2ヶ月で1億人のユーザーを獲得しました。
2023年3月には、より優れた性能を持つ上位モデル「GPT-4」が公開され、有料プラン「ChatGPT Plus」を契約したユーザーが利用できるようになりました。そして同年9月にはマルチモーダルにも対応し、テキストを認識して画像を生成する「DALL・E3」の搭載や、画像を認識して内容を説明できる機能などが追加。同年11月には、入力可能な文字数の拡張や生成速度の向上といったさまざまな点を改良した「ChatGPT-4 Turbo」(APIでの利用に限る)が登場するなど、日々進化し続けています。
ちなみに、実際のChatGPTに「ChatGPTとはどのようなサービスですか」と質問したところ、以下のような回答が得られました。
「ChatGPTは、テキストベースの会話を行うAI駆動のサービスです。このサービスは、ユーザーの質問やコメントに対して適切なテキスト応答を生成することを目的としています。利用者は、日常的な質問、専門的な知識の問い合わせ、文章作成の支援、エンターテインメントなど、様々な用途でChatGPTを使用できます。また、学習や教育、研究目的など、多岐にわたる分野で役立てることができるため、非常に幅広いユーザーに利用されています」
2.ChatGPTの特長
ChatGPTが得意とする分野は、文章の要約や生成、校正、外国語の翻訳など、テキストコンテンツに関すること全般です。「3,000文字の記事を300文字に要約して」「企画案を練って」などのプロンプトを入力すると、それに応じた回答を生成します。
GPTにはいくつかのバージョンがあり、現在主流なのは「GPT-3.5」と「GPT-4」です。GPT-3.5はChatGPTの無料プランで利用できるLLMです。アカウント登録なしで気軽に利用できることから、簡単な文章やメール文面の作成などに使われています。しかし、現時点では2021年までの情報しか学習しておらず、言語理解の精度も高くないため、ビジネスシーンで本格的に利用するにはやや不安が残ります。
一方GPT-4は、GPT-3.5に比べて言語理解の精度や生成できる文章の質が向上し、「トークン」と呼ばれる、扱えるテキストの量も増加しています。そのため、抽象的な質問でも意図を汲んだ回答を生成したり、コラムや記事といった長い文章の生成も可能です。またBingでのWebブラウジング機能(ChatGPTがWebで検索を行い、検索結果を回答に組み込む機能)を搭載しているため、最新の情報を取得して回答を生成することもできます。
GPT-4を利用するには、月額20$の有料プランに加入することが必要ですが、GPT-3.5よりもはるかに高い性能を誇るため、ビジネスへの導入を考えている場合は加入しても良いかもしれません。
GPTを活用したサービスは、ChatGPTのほかにMicrosoft社の「Azure OpenAI Service」があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3.ChatGPTの活用事例
ChatGPTを使いこなせるようになれば、業務効率化だけでなくビジネスの成長にもつながります。ここでは具体的な活用事例を5つご紹介します。
3-1.資料作成
ChatGPTは文章生成や要約を最も得意としているので、プレスリリースや会議資料などを作成する際に活躍します。プロンプト次第では、資料の骨子案から構成内容、各ページの内容にいたるまで、ChatGPTが生成した回答のみで資料を作成することも可能です。また、「行政サービスについて400字以内でまとめて」「まちづくり推進のためのキャッチコピーを10個提案して」などの指示を出し、アイデアを集めるといった部分的な使い方もできます。
3-2.カスタマーサービス
ChatGPTを活用したカスタマーサービスの例として、チャットボットが挙げられます。チャットボットとは「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた造語で、「よくある質問(FAQ)」などをあらかじめ登録しておくことで、ユーザーからの質問に自動で回答するという仕組みです。チャットボット単体では登録した回答の提示しかできませんが、ChatGPTと組み合わせることで担当者と直接話しているかのような自然な対話が可能になります。例えば、「○○市の観光名所を巡るルートを教えて」といったFAQにはない質問への回答や、外国語での質問を翻訳して回答するなど、チャットボットだけでは対応できない部分をカバーできるようになるため、多くの企業・自治体で取り入れられています。
3-3.マーケティング
市場分析やニーズの調査など、データの収集・分析もChatGPTで行えます。SNSやWebサイトなど、媒体が多様化する現在においては、すべての情報源を人の目でくまなく確認することは不可能に近いです。ChatGPTを活用すれば、学習済みの膨大なデータの中から必要な部分だけを抽出できるため、効率的なマーケティング活動が可能になります。ただし、古い情報や誤った情報が紛れている場合もあるので、プロンプトを工夫して、精度の高い回答を得られるようにしましょう。
3-4.プログラミング
ChatGPTでは、プログラミングのコード生成も可能です。プログラムの要件や使用するプログラミング言語などを指定することで、それに基づいたコードを生成します。また、デバックやコードの解説もできるため、例えばソースコード内にエラーがある場合の原因究明や修正方法の提示といった、サポートツールとしての使い方もできます。
3-5.研究開発
データの分析や文献の調査、研究提案、実験の理論的なシミュレーションなど、研究開発に関するさまざまなシーンでChatGPTが役立ちます。また、LLMに信頼性の高い外部情報の検索を組み合わせる「RAG」と呼ばれる環境を構築することで、指定した文献や調査データだけを取得できるようになるため、研究開発の精度向上に期待できます。
RAGとは?仕組みと導入メリット、使用の注意点をわかりやすく解説4.ChatGPTの4つのプランと登録方法
ChatGPTには、用途や人数、機能別に4つのプランが用意されています。それぞれの違いは次の通りです。
プラン | ChatGPT (無料プラン) |
ChatGPT Plus |
ChatGPT Team |
ChatGPT Enterprise |
---|---|---|---|---|
対象 | 個人向け | 個人向け | 企業向け | 企業向け |
モデル | ChatGPT-3.5 | ChatGPT3.5 ChatGPT-4 |
ChatGPT3.5 ChatGPT-4 |
ChatGPT3.5 ChatGPT-4 |
月額料金 | 無料 | 20$/月額 | 25$/月額(年間契約) 30$/月額(月ごとの契約) |
企業ごとに異なる |
主な機能 |
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無料プランは、2024年4月1日より登録不要で利用できるようになりました。OpenAIの公式HPにアクセスし、画面中央の「Ask ChatGPT anything」もしくはページ下部の「Try ChatGPT」からすぐに利用できます。
ただし、アカウント登録していないと「チャットの履歴が保存されない」「追加機能を利用できない」などの制限があるので、継続してChatGPTを活用する場合は、アカウント登録することを推奨します。
5.ChatGPTの注意点
ChatGPTを利用する際には、注意すべきポイントがいくつかあります。安全に利用するためにも、次の点をしっかりと認識しておきましょう。
5-1.ハルシネーションが起こる可能性がある
「ハルシネーション」とは、事実に基づかない誤った回答を生成する現象のことです。GPTをはじめとするLLMは、質問の意図を理解して正しい回答を生成しているわけではなく、学習済みのデータの中から、ある言葉の次に続く可能性の高い言葉を予測し、文章を生成しています。そのため、誤った情報が紛れ込んでいても、正誤の判断ができません。得られた回答に対してのファクトチェックを綿密に行うようにしましょう。
5-2.機密情報が流出する可能性がある
ChatGPTは、入力された情報をすべて取り込んで回答の生成に利用するため、機密情報の要約などを指示すると、そこで行った作業のデータを学習してしまいます。利用する際には、原則として機密情報を書き込まないようにするか、入力した情報を学習データとして利用できないようにする「オプトアウト」の設定を行いましょう。
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7.まとめ
ChatGPTは、さまざまなビジネスシーンで活用でき、業務効率を向上させる便利なサービスです。しかし、注意点も多々あります。すべてをChatGPT頼りにするのではなく、人とAIの作業を明確に分け、共創する意識を持つことが大切です。
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