自治体のデジタル化とは?DX化との違い、メリット、事例、課題について
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自治体のデジタル化とは、行政サービスや業務をデジタル技術を活用して改善することです。デジタル化によって、役所や住民の利便性や効率性を高めるとともに、地域の活性化や環境への貢献など、さまざまなメリットが期待できます。
しかし、自治体のデジタル化には、DX化という概念との違いや、現状の課題などもあります。
本コラムでは、自治体のデジタル化について、DX化との違い、メリット、事例、課題について解説します。
1.自治体のデジタル化とは?
自治体のデジタル化とは、行政サービスや業務をデジタル技術を活用して改善することです。具体的には、以下のような取り組みがあります。
- 行政手続きや申請書類などをオンラインで行えるようにする
- 政府や自治体が保有する情報データをオープンデータとして公開する
- クラウドサービスやAIなどを導入して業務効率化やコスト削減を図る
これらの取り組みは、国や地方公共団体が推進しています。たとえば、行政では「行政手続オンライン化法」などの法律や方針を制定し、2025年度末までに全ての行政手続きをオンラインで可能にする目標を掲げています。
1-1.デジタル化とDX化は違うのか?
「自治体のデジタル化」という言葉と似た言葉に、「自治体DX」という言葉があります。DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、ビジネスモデルや組織文化などを根本的に変革することを意味します。
デジタル化は、「既存の業務やサービスをデジタル技術で効率化や改善すること」に対し、DX化は、「デジタル技術を活用して新たな価値やイノベーションを創出すること」とされています。
しかし実際は、デジタル化とDX化は分けて考えるものではなく、連動して進められるべきものです。たとえば、行政手続きをオンライン化することは、デジタル化の一環ですが、それによって住民の満足度や参画度を高めたり、新たなサービスやビジネスを生み出したりすることは、DX化の一環です。
デジタル化とDX化をうまく連動させて利用することで、新たな価値を創出するきっかけにつながります。
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2.自治体のデジタル化のメリット
自治体のデジタル化には、多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
2-1.役所の業務効率化
役所の業務効率化は、デジタル化の最も直接的なメリットです。デジタル技術を導入することで、以下のような効果が期待できます。
- 紙文書や郵送などの手間やコストの削減
- データ入力や管理などの作業時間の短縮
- クラウドサービスやAIなどを利用した業務プロセスの自動化
これらの効果によって、役所の業務品質や生産性を向上させることができます。また、人手不足や人材育成などの課題にも対応することが可能です。
2-2.地域住民の利便性向上
地域住民の利便性向上は、デジタル化のもう一つの大きなメリットです。デジタル技術を活用することで、以下のような効果が期待できます。
- 行政手続きや申請書類などをオンラインで行えるようにする
- スマートフォンやIoTなどを使って地域の情報やサービスを提供する
- オンラインでの相談や参加などを通して住民の声を反映する
これらの効果によって、地域住民は、時間や場所に関係なく、役所とのコミュニケーションやサービス利用ができるようになります。
2-3.政府や自治体が保有する情報データのオープンデータ化
政府や自治体が保有する情報データのオープンデータ化は、デジタル化の重要な取り組みです。オープンデータ化によって、以下のような効果が期待できます。
- データを活用した新たなサービスやビジネスを創出する
- データを分析した知見や提言を発信する
- データを共有した協働や連携を促進する
これらの効果によって、政府や自治体は、自らが保有する情報資産を社会的価値に変えることができます。
2-4.環境への貢献
環境への貢献は、デジタル化の副次的なメリットです。デジタル化は、環境に対する負荷を軽減し、持続可能性を向上させます。
たとえば、以下のような例が挙げられます。
- 行政手続きや申請書類などをオンライン化することで、紙資源の節約や廃棄物の減少につながる
- クラウドサービスやAIなどを導入することで、サーバーの稼働率や消費電力を最適化できる
- リモートワークやテレワークなどを実施することで、通勤や出張に伴う交通費やCO2排出量を削減できる
これらの効果によって、デジタル化は、環境問題に対する取り組みの一つとなります。
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3.自治体のデジタル化の事例
各自治体ではデジタル化に向けどのようなことをしているのでしょうか。ここでは、デジタル庁が紹介している事例から、3つをピックアップして紹介します。
3-1.行政手続のオンライン化
行政手続のオンライン化は、スマートフォン等で手続きが完結することを目指し、自治体の行政手続をオンライン化する取り組みのことです。
たとえば、災害で被災した際に自治体へ被害の程度を証明する「罹災証明書」の発行です。「罹災証明書」のオンライン化を進めたことで住民と自治体双方にメリットがありました。
住民目線
- 市役所を訪問する必要がなくなった
- 待たずに自宅から申請できるようになったため、身体的にも楽になった
自治体目線
- 市役所窓口での申請受付に対する職員が不要となった
- 緊急対応に職員を集中できるようになった
罹災証明書以外にも、自動車税や確定申告の申請やマイナンバーカード発行手続きなども行政手続きのオンライン化により、さらに手続きしやすくなり、便利になりました。
3-2.ガバメントクラウド
ガバメントクラウドとは、国が自治体が利用するために用意したクラウドサービス環境のことです。
ガバメントクラウドを利用することで、以下のようなメリットがあります。
- 各自治体でバラバラだった行政システム(国民健康保険、戸籍など)を管理していたものを、標準することが可能
- 単一の自治体では講じることが難しいサイバーセキュリティ強化や柔軟な拡張・迅速な構築が可能
- サーバーやネットワーク機器などの準備が不要になることからコスト削減につなげることができる
現在、先行で8自治体が令和4年度末の本番稼働に向け準備を行っています。
関連記事:ガバメントクラウドとは?概要や開始時期、自治体の活用メリットなど
3-3.書かないワンストップ窓口
「書かないワンストップ窓口」とは、住民が役所に来た際に、申請書類を書かずに手続きができる仕組みです。
いち早く導入した北海道北見市では、2015年度に業務の効率化とミス防止を目的に独自システムを構築しました。その結果、「書かないワンストップ窓口」のシステムを使用した業務は年間約8,700件に上り、住⺠の負担軽減と業務効率化に⼤きく寄与しました。
4.自治体のデジタル化の現状と課題
自治体のデジタル化は、国や地方公共団体が積極的に推進していますが、まだまだ進んでいるとは言えません。
現状、以下のような問題があります。
- 行政手続きや申請書類などをオンラインで行える割合が低い
- 小規模自治体でのAI・RPAの導入関心度の低さ
- デジタル専門人材の確保
- 地方自治体のオープンデータによる非公開率の高さ
- 電子行政の利用にかかる住民の意識
政府でも、e-Japan戦略の策定以降様々な施策や制度整備の実施を行っていますが、市民が十分にデジタル化の恩恵を受けているとは言い難い状況になっています。
では、なぜ自治体のデジタル化が進まないのでしょうか。原因として、以下のようなものが考えられます。
- オンライン化に注力してしまったことでの利便性の低さ
- 組織間のデータ連携不足による業務効率化の悪化
- 行政組織におけるプロジェクトマネジメント力の不足
- 法律や規制などの制約
- 予算や人材などの資源不足
これらは互いに関連し合っており、デジタル化の障壁となっています。自治体のデジタル化を進めるためには、さまざまな側面からの取り組みが必要です。
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5.自治体のデジタル化の推進ならぜひNTT東日本にご相談ください
自治体のデジタル化は、多くのメリットがありますが、同時に課題もあります。そこで、専門的な知識や技術を持ったパートナーが必要です。 NTT東日本は、自治体のデジタル化に豊富な経験と実績を持っています。
たとえば、「ガバメントクラウド」の活用が必須となる標準準拠システムへの移行を、指定クラウドとネットワークの両面から支援します。 また、クラウド技術者の教育・育成プログラムや、基幹アプリケーションの一元サポートなど、さまざまなソリューションを提供しております。
詳細については、以下リンクをご参照ください。
自治体のデジタル化についてまとめ
この記事では、自治体のデジタル化について、DX化との違い、メリット、事例、課題について解説しました。
自治体のデジタル化は、今は法律や規制などの制約や、予算や人材などの資源不足など、さまざまな課題もあります。
しかし、自治体のデジタル化は行政サービスや業務をデジタル技術を活用して改善することで、役所や住民の利便性や効率性を高めるとともに、地域の活性化や環境への貢献をすることができます。
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