LGWANの接続方法|接続可能な団体や各種変更手続きの手順を解説
LGWANとは地方公共団体間で利用される、高度な情報セキュリティ性能を担保したネットワークです。本記事では、行政事務の効率化や重複投資の抑制、住民サービスの向上など多くのメリットを持つLGWANの基本方針や、接続するための要件について紹介します。またLGWANへの接続方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次:
- 1.LGWANとは
- 1-1.LGWAN基本方針
- 1-2.LGWANのメリット
- 1-3.LGWANのデメリット
- 1-4.LGWANを接続するための構成要素
- 2.LGWANへの接続方法
- 2-1.LGWANに接続が可能な団体
- 2-2.LGWAN運用担当者等の登録・変更手続き
- 2-3.LG.JPドメイン名の登録・変更・廃止手続き
- 2-4.LGPKI 登録分局要員の変更手続き
- 2-5.組織情報の登録・変更手続き
- 2-6.利用アカウントの登録・変更手続き
- 2-7.地方公共団体基本情報の登録・変更手続き
- 3.一部の事務組合・広域連合はLGWANに接続するための申請が必要
- 4.LGWANへの接続やクラウドソリューションについてNTT東日本にご相談ください
- LGWANの接続方法についてまとめ
1.LGWANとは
LGWAN(エルジーワン:Local Government Wide Area Network)とは、地方公共団体間で利用される、高度な情報セキュリティ性能を担保したネットワークです。総合行政ネットワークとも呼ばれ、「パブリックネットワーク」と呼ばれるインターネットとは異なる「閉域ネットワーク」として構築されています。
LGWANを利用した通信の主な内容は、以下のとおりです。
- 地方公共団体間または、地方公共団体と政府機関間でのメール送受信
- マイナンバーを使用した税情報、社会保障の給付状態などの情報連携
- 地方税の電子申告受付、国税庁から地方公共団体への申告情報の提供
- マイナンバーカードを利用した各種証明書のコンビニ給付
- 防災や人命にかかわるJ-アラート
LGWANは地方公共団体間での情報共有による情報の高度利用化と、コミュニケーションの円滑化を目的に構築されました。2003年に本格的な運用が始まり、2014年からは地方公共団体システム機構(J-LIS:Japan Agency for Local Authority Information Systems)が運営しています。
LGWANの詳細は、以下の記事で解説しています。LGWANの仕組みと接続について、また利用するメリットなども記載していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?概要をわかりやすく解説
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1-1.LGWAN基本方針
LGWANを構成する基本方針は、以下の8つです。
- 1. すべての地方公共団体を収容できる、行政内に閉じたネットワークであること
- 2. 高度な情報セキュリティ性能を確保していること
- 3. 情報通信分野における標準的な技術を採用していること
- 4. 政府共通のネットワークと相互に接続していること
- 5. すべての地方公共団体が、現実的に負担可能な費用の範囲内で運用できること
- 6. 各市区町村や都道府県におけるネットワーク規模、多様な情報化の進度や手法の違いを吸収していること
- 7. 地方公共団体が持つ既存設備を有効利用すること
- 8. 電子メールや掲示板、メーリングリスト等の横断的サービスを提供していること
LGWANは、導入すれば地方自治体間に存在するIT格差の是正ができると期待されています。LGWANのメリットについて、見ていきましょう。
1-2.LGWANのメリット
LGWANのメリットは、以下の3つです。
- 行政事務の効率化
- 重複投資の抑制
- 住民サービスの向上
LGWANのメリットとして、まず行政事務の効率化が挙げられます。LGWANを利用して、地方公共団体間や、政府機関と地方公共団体間での情報共有や交換がスムーズになる点は、大きなメリットといえるでしょう。
また重複投資の抑制もメリットの1つです。LGWANは汎用性があり、地方公共団体の設備やシステムをまとめられるため、個別回線の契約や端末購入などは必要な分に絞って投資できます。
政府機関と地方公共団体との連携が進めば、生活に必要な行政情報の提供や申請、届出手続きなどの電子化も進み、住民に提供されるサービスの質向上も期待できます。LGWANは高い情報セキュリティ性能を誇るため情報漏えいの危険性も少なく、災害時も想定されているため、トラブルが起きても業務を継続できるでしょう。
1-3.LGWANのデメリット
前述のとおり、LGWANには行政事務の効率化や重複投資の抑制、住民サービスの向上など多くのメリットがあります。一方でデメリットを述べるとすれば、インターネットとは別の環境で通信をしているため、インターネット上でファイルを授受する際に手間がかかってしまう点です。
LGWANは行政専用に高度な情報セキュリティ対策が施されたネットワークであるため、LGWAN上でやりとりされていたファイルをインターネット上で送受信したいときや、その逆の場合に手間が生じてしまいます。住民にとって情報漏えいの可能性が低いに越したことはありませんが、業務上の利便性が損なわれる点はデメリットといえるでしょう。
1-4.LGWANを接続するための構成要素
LGWANを接続するための構成要素は、以下の4つです。
- 1. LGWAN接続ルーター
- 2. 都道府県ノード
- 3. 東日本・西日本ポイントオブインターフェース(POI)
- 4. 全国ネットワークオペレーションセンター(NOC)
LGWAN接続ルーターとは、地方公共団体の庁内LANとLGWANを接続するルーターです。データ転送速度が速く、安定した接続ができる特徴を持っています。
都道府県ノードとは、都道府県ごとに設置されている機器です。市町村の回線とLGWAN-ASPのアクセス回線を収容し、中継する役割を持っています。
東日本・西日本ポイントオブインターフェースは、LGWAN上で基本プロトコルでのサービス提供や、不正アクセス検知・監視をします。全国ネットワークオペレーションセンターは、LGWAN全体を運用・管理する設備です。
現在のLGWAN構成要素は「第4次LGWAN」と呼ばれており、都道府県ノードを中継してLGWANに接続する方法と、仲介せず直接接続する方法、両方を利用する方法の3つがあります。地方公共団体は接続団体のネットワーク構成に合わせ、3つの中から最適な方法が選べます。
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2.LGWANへの接続方法
LGWANについて基本方針やメリットデメリット、接続するための構成要素について見てきましたが、ここからはLGWANの接続方法について解説します。LGWANへ接続できる団体は、「地方公共団体情報システム機構総合行政ネットワーク基本規程」により定められています。
総合行政ネットワーク基本規程とは、LGWANの目的および運用原則を定めるとともに、LGWANの関係組織の役割や、相互関係を明らかにすることを目的とした資料です。接続団体は担当者や利用ドメインが変更になった場合、都度LGWANの手続きが必要となります。
2-1.LGWANに接続が可能な団体
LGWANに接続できる団体は以下の通りです。
- LGWANへの接続を希望しない組合および財産区を除いたすべての地方公共団体
- LGWAN運営協議会が承認した組織
- LGWAN-ASP接続審査を受けたLGWAN-ASPホスティングサービス提供者
地方公共団体については、すべての都道府県および市町村のほか、一部の広域連合や、一部事務組合が接続しています。
接続団体はLGWAN基本アプリケーション・サービス画面より、LGWANへの接続が可能です。なおLGWAN基本アプリケーション・サービス画面をはじめ、lgwan.jpドメイン名のサイトを閲覧するためには、LGWAN接続環境が必要となるため注意してください。
出典:地方公共団体情報システム機構「LGWAN接続団体等が行う手続について」
2-2.LGWAN運用担当者等の登録・変更手続き
LGWANの運営主体は、LGWANを24時間365日安定的かつ安全に運用していくために、通信回線網や各LGWAN接続団体の庁内LANとのLGWAN接続ルーターを、常時遠隔で監視しています。万が一接続団体のLGWAN接続ルーターに障害が発生した場合、LGWAN運用担当者に連絡が届く仕様となっているため、LGWAN運用担当者等の登録が必要です。
また人事異動や組織改編などにより、LGWAN運用担当者に変更が生じたときは、LGWAN基本アプリケーション・サービス画面より変更手続きをしなければなりません。LGWAN運用担当者の変更は、LGWAN基本アプリケーション・サービス画面の「LGWAN責任者」の欄に記載されている「総合行政ネットワーク変更届出」より可能です。
総合行政ネットワーク変更届出の主な変更箇所には、以下の項目があります。
- LGWAN責任者
- LGWAN運用担当者(正)
- LGWAN運用担当者(副)
- LGWAN責任者および運用担当者(正)(副)不在時の緊急連絡先
運営主体がLGWAN接続ルーターの障害を発見した場合、届出に入力された情報に基づいて連絡をします。障害発生などにおける緊急時には、運営主体の委託事業者等に登録情報の一部を提供することもあるため、変更が生じたら早めに届出をしましょう。
2-3.LG.JPドメイン名の登録・変更・廃止手続き
LG.JPドメインとは、日本を意味するJPドメインの一種で、インターネット空間において地方公共団体および地方公務員を収容するドメインです。LG.JPドメインを登録や変更、廃止する場合、LGWAN基本アプリケーション・サービス画面の「一般利用者」欄に記載されている、「LG.JPドメイン名登録・変更・廃止申請」より手続きをします。
LG.JPドメインを登録・変更する際は、申請にIDおよびパスワードの発行が必要です。IDとパスワードの発行は、事前にJPRS(株式会社日本レジストリサービス)が指定したLG.JP取扱事業者である、地方公共団体情報システム機構担当窓口に依頼しましょう。
LG.JPで変更できる主な箇所は、以下の通りです。
- 代表者
- 登録担当者
- 技術連絡担当者(登録担当者が兼務可)
これまでにオンライン申請をしたことがあるなら、上記の「LG.JPドメイン名登録・変更・廃止申請」から登録内容の確認ができます。
2-4.LGPKI 登録分局要員の変更手続き
LGPKI(地方公共団体組織認証基盤:Local Government Public Key Infrastructure)とは、地方公共団体が住民や企業間で実施する申請・届出等の手続きや、地方公共団体間の文書のやり取りにおいて、盗聴や改ざん、なりすましなどの脅威を防止し、送受信された電子文書の真正性を担保するための仕組みです。
登録分局は、証明書利用者による証明書の発行等の申請窓口を指します。各LGWAN参加団体に登録分局が設置されれば、証明書の利用者は手軽に証明書の発行ができます。
LGPKIの登録分局要員の変更申請は、LGWAN基本アプリケーション画面の「一般利用者」欄「証明書発行申請管理システム(CIRS)」で可能で、主な変更箇所は以下のとおりです。
- 登録分局責任者
- 登録分局受付担当者
- 郵便物(完了通知書、電磁的記録媒体等)の返信先情報
LGPKI登録分局の整備は接続団体の責務として規定されているため、LGPKI登録分局未整備の接続団体には、早急な整備が求められます。また証明書やログイン用データの更新は、有効期限満了の6ヶ月前より可能であるため、計画的に更新しましょう。
2-5.組織情報の登録・変更手続き
組織情報の登録や変更手続きは、組織を構成する部署の電話番号やメールアドレスを登録するためのシステムで、登録すれば他団体組織とスムーズに連携できます。組織情報の変更はLGWAN基本アプリケーション・サービスの「LGWAN責任者」欄の「組織管理システム」から手続きでき、主な変更箇所は「組織(部署)名」です。
登録された組織情報は「地方公共団体アドレス帳サービス」にて、接続団体に対して公開されます。組織情報の登録は接続団体の責務として規定されているため、未登録の接続団体は早急に登録してください。
2-6.利用アカウントの登録・変更手続き
利用アカウントの登録・変更は、LGWAN基本アプリケーション・サービスの「一般利用者」欄にある「アカウント等管理システム」より手続きでき、主な変更箇所は以下のとおりです。
- 組織(部署)名
- 役職名
アカウント等管理システムは、LGWANで提供される各種アプリケーションへのアクセスに必要な利用者認証情報を、一元管理するためのシステムです。登録されたアカウント情報は「地方公共団体アドレス帳サービス」にて、接続団体に対し公開されます。
前述したLGPKIの利用者証明書発行の際に設定する名義は、あらかじめアカウント等管理システムを利用して利用者認証情報を登録しておくことが必要です。発行済みの利用者証明書の名義情報を変更するには、証明書を失効処理した後、アカウント情報の削除および組織情報の削除が必要となります。
2-7.地方公共団体基本情報の登録・変更手続き
地方公共団体基本情報の登録や変更手続きは、LGWAN基本アプリケーション・サービスの「LGWAN利用者」欄の「地方公共団体基本情報管理システム」より可能で、主な変更箇所は以下のとおりです。
- 団体概要
- 首長情報
- 議会情報
地方公共団体基本情報管理システムは、団体情報の共有化を目的として、団体の概要や首長情報、および議会情報等を登録するシステムです。団体基本情報の登録も接続団体の責務として規定されているため、未登録の団体は早急に登録する必要があります。
また変更が生じた場合も速やかな更新が必要となるため、注意しましょう。
LGWANへの接続やクラウド利用に関するご相談などNTT東日本のクラウドエンジニアにて無料で対応いたします。ぜひお気軽にお問合わせください。
3.一部の事務組合・広域連合はLGWANに接続するための申請が必要
LGWANに接続できるのは、すべての地方公共団体や、LGWANの運営主体の理事長が承認した組織、およびLGWAN-ASPの接続審査を受けて受理されたLGWAN-ASPホスティングサービス提供者と前述しました。しかしマイナンバー制度の導入にともない、一部の事務組合や広域連合でも、LGWANの導入が増加しています。
事務組合や広域連合がLGWANに接続するためには、以下の手続きが必要です。
- 1. 取りまとめ窓口である都道府県から、必要な各種規程類を入手する
- 2. 各種規程類の内容を確認して同意した後、LGWAN接続ルーターを設置するための環境を整備し、書類を都道府県に提出する
- 3. 都道府県がLGWAN運営主体に書類を送付してくれるため、通知を待つ
LGWANに接続するためにはまず、都道府県から総合行政ネットワーク基本規程や総合行政ネットワーク接続約款、連合行政ネットワーク接続申込書などの必要書類を入手しなければなりません。入手した必要書類を確認し、ファシリティ条件および庁内LANとLGWAN接続ルーターを接続するための情報セキュリティ対策の条件を満たすよう、環境を整備しましょう。
環境を整備し、所定の様式に必要事項を記入した書類を都道府県に提出した後は、通知を待ちます。事務組合や広域連合から書類を受け取った都道府県はLGWAN運営主体に書類を送付し、LGWAN運営主体は各種規程類に抵触していないか内容を確認し、接続申し込みを受理して通知を出します。
出典:地方公共団体情報システム機構「総合行政ネットワーク(LGWAN)に係るFAQ(よくある質問とその回答)」
4.LGWANへの接続やクラウドソリューションについてNTT東日本にご相談ください
本記事ではLGWANの接続方法について、接続可能な団体や、各種変更手続きの手順を解説しましたが、現在はマイナンバー制度導入によりLGWANに接続する団体が増加しています。
LGWANに接続した後、さまざまなアプリケーションを利用して業務を進めようとしている団体も多いかと思いますが、LGWANに対応したサービスの知見や知識を持つ人が少ないと、うまくできるのか不安になってしまうこともあるでしょう。
NTT東日本はLGWANへの接続だけでなく、自治体さま向けのクラウドサービスも提供おります。
業界トップクラスのクラウド技術者が在籍し、多くの自治体でのクラウド構築、運用実績を持つNTT東日本であれば、お客さまの疑問や要望に的確に応えられますので、ぜひお問い合わせください。
LGWANの接続方法についてまとめ
LGWANとは、地方公共団体間で利用される高度な情報セキュリティ性能を担保した閉域ネットワークです。
LGWANに接続できるのはすべての地方公共団体と、LGWAN運営協議会が承認した組織、およびLGWAN-ASP接続審査を受けたLGWAN-ASPホスティングサービス提供者です。ただマイナンバー制度の導入により、一部の事務組合や広域連合でもLGWAN接続の動きが見られます。
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