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LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?概要をわかりやすく解説

LGWAN上でのアプリケーション提供のご相談などNTT東日本のクラウドエンジニアにて無料で対応いたします。ぜひお気軽にお問合わせください。

LGWANとは、自治体間を相互につなげる行政専用のネットワークのことです。閉域ネットワークを活用しているため、情報セキュリティ対策を強化したい場合に有効です。一方、LGWANの概要やメリットが理解できず、自治体へのクラウドサービス提供をLGWAN対応にするか悩まれている方もいるでしょう。

そこで本記事では、LGWANの概要やメリットを解説します。LGWAN-ASPの概要やサービスについても紹介していますので、自治体へクラウドサービス提供を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1.LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?

LGWANとは「Local Government Wide Area Network」の頭文字をとった略称で「エルジーワン」と呼ばれています。LGWANは総合行政ネットワークと呼ばれる場合もあり、それらは同一のネットワークです。自治体間を相互につなげる行政専用のネットワークで、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)が運営しています。

LGWANの特徴は、閉域ネットワークを利用していてインターネットを経由しない点です。独自のネットワーク回線のため、よりセキュリティも高い状態でやり取りが可能です。LGWANを活用することで、より安全なネットワークで掲示板やメールでの情報共有ができるため、円滑なコミュニケーションがとれます。

2.LGWANの仕組みと接続について

本章では、LGWANの仕組みと接続について解説します。自治体が活用するネットワークについて、理解を深めていきましょう。

2-1.LGWANの構成要素

LGWANは、以下4つの構成要素から成り立っています。

構成要素 特徴
LGWAN接続ルーター
  • 自治体の庁内LANとLGWANを接続するルーター
  • データ転送速度が速く、安定した接続が可能
都道府県ノード
  • 都道府県ごとに設置されている市町村の回線を収容・中継する機器
  • 一部の都道府県では利用されていない
  • 通信可能帯域は100Mbps~1Gbps
東日本・西日本ポイントオブインターフェース(POI)
  • 基本プロトコルの提供
  • 不正アクセスの検知と監視を行う
  • 災害対策のため、西日本と東日本に配置されている
全国ネットワークオペレーションセンター(NOC)
  • LGWANの全体を運営・管理する設備
  • J-LISが設置・管理をしている

現在、構成・使用されているLGWANは「第4次LGWAN」と呼ばれており、平成31年4月から運用開始されています。LGWANは幅広く活用されていることから、より情報セキュリティ対策の強化が必要です。そのため、令和7年には新しい第5次LGWANが検討されています。

第4次LGWANの構成は、都道府県ノードを中継してLGWANに接続する方法と直接接続する方法・両方を利用する方法の3通りから選択可能です。接続方法は、各自治体で最適な方法を選択します。

POIでは不正なアクセスなどがないか確認しているため、安全な通信が実現可能です。LGWANの詳しい情報セキュリティ対策に関しては、後の章で解説するので参考にしてください。

2-2.地方公共団体は「三層分離モデル」に基づく環境で接続する必要あり

地方公共団体は「三層分離モデル」に基づく環境で、LGWANに接続する必要があります。三層分離モデルとは、データ保管やシステム構築されている領域とインターネットなどを活用したサービスなどの領域を分離するモデルのことです。

三層分離モデルに基づく環境にするためには、以下3つに分けてネットワークを構築します。

モデル 内容
個人番号関係事務
  • 税・住基関連・社会保障などの個人情報に関わるデータや事務を扱う
  • ほかのネットワークとは全て遮断
  • 情報漏えいを防止する
自治体を維持するための事務関連
  • 文書管理や庶務・人事給与など自治体に関連する事務
  • LGWAN接続を行い、インターネット通信と分離させる
  • 二要素認証でアクセス制御を行う必要あり
自治体ホームページなど
  • インターネット接続を行い管理
  • リスク軽減を図るため、自治体情報セキュリティクラウドを活用する必要あり

上表のとおり、活用するデータや用途に合わせてネットワークを分離し活用していかなければなりません。LGWANへの接続も、三層分離モデルを意識し構成・接続していく必要があります。

2-3.LGWANにおける情報セキュリティ対策

LGWANで行っている、情報セキュリティ対策は以下5つです。

情報セキュリティ対策 内容
ファイアウォールによる防御
  • LGWANのサーバーに不正アクセスされないよう防御
  • 通信情報から、接続を判断し許可または拒否して外部アクセスを遮断する
通信経路の暗号化による盗聴防止
  • 盗聴の防止対策として、通信経路を暗号化
侵入検知機能(IDS)
  • 全ての通信を侵入検知機能で監視
  • 不正アクセスの予兆があると担当者へ通知をする
SOCの設置
  • Security Operation Centerの略
  • セキュリティ状況を専門家が24時間365日監視
公開鍵暗号方式(PKI )による組織認証の実施
  • 公開鍵と秘密鍵を対とした公開鍵暗号方式を使用し、組織認証をする
  • LGWANではLGPKI(地方公共団体組織認証基盤)という、LGWAN専用に整備された暗号方式を活用している
  • なりすましや盗聴、改ざんから守るための暗号方式

LGWANでは、不正アクセスや盗聴・なりすましなどから、情報やシステムを守るセキュリティがされているため、情報漏えいの対策が徹底されています。また、サイバー攻撃からもファイアウォールやIDS、SOCで監視を続けているので安心して活用できるでしょう。

LGWAN上でのアプリケーション提供のご相談などNTT東日本のクラウドエンジニアにて無料で対応いたします。ぜひお気軽にお問合わせください。

3.LGWANを利用するメリット・デメリット

本章では、LGWANを利用するメリット・デメリットを解説します。

3-1.メリット① 行政事務の効率化

LGWANを活用することで自治体同士や行政機関が相互に接続できるため、情報共有がしやすい環境が整い、行政業務の効率化が図れます。

LGWANで利用できる掲示板やメールを活用すれば、煩雑な行政の事務作業もより効率化しスマートになるでしょう。

3-2.メリット② 重複投資の抑制

LGWANを利用すれば、自治体や行政機関と個別で接続する必要がなくなるため重複投資の抑制が可能です。

LGWANを使用せずに閉域ネットワークを構築するためには、個別で回線を用意する必要があります。そのため個別の回線を新設するたびに予算が膨大に膨れ上がり、保守も自治体ごとに行わなければならないため、時間的コストもかかるでしょう。

一方LGWANを活用すれば個別での接続が不要となり、費用を抑えられるばかりではありません。構築や保守をする時間的コストが減り、本来の業務に集中できるようになります。

3-3.メリット③ 住民サービスの向上

LGWANを活用することで、住民サービスの向上が期待できます。行政手続きを電子申請でき、これまでよりも容易に行政のサービスを活用しやすくなるからです。

たとえば税の電子申告や、マイナンバーを活用し年金や健康保険の情報などを確認できるのもLGWANの恩恵です。そのほかミサイル発射や災害など、緊急時におけるJアラートもLGWANを活用しています。

LGWANは住民の生活でも密接に関わっており、活用することで住民サービスはさらに向上するでしょう。

3-4.デメリット LGWANと通常のネットワーク分離による手間増加

一方デメリットとして、LGWANと通常のネットワークは分離しなければならないため、業務によっては手間が増加します。

たとえばインターネット上にあるデータを、LGWANのメールでそのまま送れません。逆にLGWANで活用しているデータやファイルなどを、インターネットで共有する場合も手間がかかります。このように分離されているからこそ、異なるネットワークを活用して同じデータをやりとりしたい場合に、業務がひとつ増えるのはデメリットといえるでしょう。

さらにはテレワークの活性化が進んでいるなか、LGWANはインターネットとは分離された閉域ネットワークであるため、テレワークでの活用が難しいといった点も気をつけなければなりません。

4.LGWAN-ASPとは?

LGWAN-ASPとは、LGWANのネットワークを利用して使えるアプリケーションなどのサービスやサービスを提供する企業を指します。ASP事業者はおもに、民間企業や公益法人・各府省です。

LGWAN-ASPを活用することで、高度なサービスを都市・地方など地域に関係なく利用ができるようになり、IT格差の軽減が期待できます。また自治体が個々にアプリケーションを開発する必要がなくなり、構築や運用の手間も省けるため本来の業務にも集中できるでしょう。

2023年10月現在、LGWAN-ASPポータルサイトによると地域によっても利用できるサービス量は異なるものの、全体で574件のサービスが提供されています。自治体は豊富なLGWAN-ASPの中から最適なサービスを複数利用することで、業務の効率化はもちろんコスト削減、住民サービスの向上が可能です。

4-1.LGWAN-ASPのサービスを利用してできること

LGWAN-ASPのサービスを利用して、できるものの一例は以下のとおりです。

  • コンビニ収納の情報を収集・還元
  • データファイルを無害化して送信
  • サーバーやネットワーク機器の監視など情報セキュリティ対策の強化
  • 行政手続きの電子申告の受付・情報連携
  • 地方税ポータルシステム(eLTAX)と連携し、共通納税の各種サービスの提供
  • 電子データの一元管理
  • チャットコミュニケーションができるサービス

そのほかにも自治体独自のサービスに特化したLGWAN-ASPなどもあるため、最適なサービスを選択することで、よりITの活用を強化できます。

LGWAN-ASPの詳しい内容を知りたい方は、別記事「LGWAN-ASPとは?サービス構成やメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

4-2.LGWAN-ASPと自治体クラウド

政府では、自治体クラウドの推進を各自治体に薦めています。自治体クラウドとは、複数の自治体が共同で開発・利用するクラウドのことです。自治体クラウドを活用することでセキュリティ強化や災害対策、コスト削減・自治体同士の連携強化が期待できます。

自治体クラウドは、必ずしもLGWANを使用しなければならないわけではありませんが、自治体クラウドを構築するにあたり、LGWAN-ASPは最適です。LGWAN-ASPを活用することで、共通のアプリケーションを利用し連携しやすくなるのはもちろんのこと、情報セキュリティ対策も強化されたサービスを展開することが可能だからです。

そのため自治体クラウドを検討するにあたり、LGWAN-ASPとLGWANも検討するべきでしょう。

LGWAN上でのアプリケーション提供のご相談などNTT東日本のクラウドエンジニアにて無料で対応いたします。ぜひお気軽にお問合わせください。

5.LGWANに対応したクラウドサービスの活用ならNTT東日本にご相談ください

自治体向けにクラウドサービスを検討している企業さまは、LGWANに対応したクラウドサービスの提供を検討しましょう。LGWANに対応したクラウドサービスの活用がおすすめな理由は以下の通りです。

  • 閉域ネットワークでの通信が可能なため、情報セキュリティ対策が強化されるから
  • LGWAN-ASPを活用すれば、自治体の業務効率化が図れるから
  • 自治体はLGWANに対応したクラウドサービスの方が使い勝手が良いから

LGWANに対応したLGWAN-ASPなどのクラウドサービスを活用すれば、セキュリティも強化され業務の効率化も図れます。

一方、クラウドサービスを自治体に提供したいもののLGWANの知見がなく、提供の進め方が分からない方もいるでしょう。

そのような方は、ぜひNTT東日本にご相談ください。

NTT東日本:自治体向けアプリケーション(LGWAN-ASP)

LGWANについてまとめ

LGWANは、自治体間を相互につなげる行政専用のネットワークです。閉域ネットワークのため、情報漏えいなどの情報セキュリティ対策としても有効活用できます。また自治体間や行政機関との連携がスムーズにでき、業務の効率化・コストの削減も図れます。さらにLGWAN-ASPを活用すれば、IT化の促進や住民へのサービス向上も期待できるでしょう。

自治体向けのクラウドサービスを提供したい場合は、ぜひLGWANを活用したサービスの提供がおすすめです。LGWANを使用したクラウドサービスでお困りの場合は、ぜひNTT東日本にお問い合わせください。

NTT東日本:自治体向けアプリケーション(LGWAN-ASP)

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