LGWAN(総合行政ネットワーク)経由で自治体向けにAWSやAzure上のアプリケーションを提供する方法とは?
目次:
- 1. LGWAN経由でのアプリケーション利用の課題
- 2. AWSやAzureをLGWANに接続する方法
- 2-1. LGWAN外部閉域利用サービス制度を利用する
- 2-2. LGWAN-ASPホスティングサービスを活用する
- 3. LGWAN経由でAWSやAzureへ接続する方法のメリットとデメリット
- 3-1. LGWAN外部閉域利用サービスを利用するメリットとデメリット
- 3-2. LGWAN-ASPホスティングサービスを活用するメリットとデメリット
- 4. LGWAN経由で自治体にサービスを提供する際の流れ、スケジュール
- 5. NTT東日本のLGWAN-パブリッククラウド接続支援ソリューションとは
- 6. まとめ
1. LGWAN経由でのアプリケーション利用の課題
昨今、SaaSを活用したさまざまな便利で実用的なアプリケーションが開発され、それらを導入して上手に活用することが、煩雑な業務のさらなる効率化やDXの重要な鍵となります。
一方で、いわゆるLGWANのような、安全で強固なセキュリティ要件が必要となるネットワークを活用している自治体業務では、その強固なセキュリティ要件から、既存のアプリケーションの活用が難しかったり、対応するためにそのアプリケーションや構成に手を加える必要があったりと、スムーズに導入を進められないケースも少なくありません。
2. AWSやAzureをLGWANに接続する方法
ここで、パブリッククラウド(AWSやAzureなどのプラットフォーム)をLGWANに接続する方法についてパターンをご紹介します。
2-1. LGWAN外部閉域利用サービス制度を利用する
LGWAN外部閉域利用サービスとして、パブリッククラウド上にインターネットなどとの接続点を有さない構成でアプリケーションを構築し、閉域回線でLGWAN-ASPホスティングサービスと接続することで、LGWAN経由でパブリッククラウド上のアプリケーションを自治体に提供することが可能となる方式です。
2-2. LGWAN-ASPホスティングサービスを活用する
LGWAN-ASPホスティングサービスとは、アプリケーション事業者がアプリケーションやサービスを構築するための環境やリソースを提供する、ホスティング事業者が提供するサービスです。
3. LGWAN経由でAWSやAzureへ接続する方法のメリットとデメリット
3-1. LGWAN外部閉域利用サービスを利用するメリットとデメリット
メリット
パブリッククラウド上にインターネットなどとの接続点を有さない構成でアプリケーションを構築することができれば、無害化処理をすることなくファイルをLGWAN側に持ち込むことができるため、電子署名付きのファイルやマクロ付きのファイルなどをパブリッククラウド上で扱うことができます。
デメリット
インターネットなどとの接続点を有さない構成でアプリケーションを構築することが求められるため、閉域ではない接続(保守経路等も含む)やインターネット上の各種データやリソース(アップデートファイルを含む)を利用することができません。このような要件が必須のケースでは本制度の活用が難しい場合もあります。
3-2. LGWAN-ASPホスティングサービスを活用するメリットとデメリット
メリット
自治体のお客さまに提供したいサービスが外部ネットワーク(インターネット等)との連携が必要な場合は、こちらの方法で提供が可能となります。
デメリット
パブリッククラウドと接続するためには、LGWANと通常のネットワークは分離しなければならない等の高いレベルのセキュリティ要件を遵守する必要があります。そのために、要件を満たすためにアプリケーションの構成を見直したり、運用方法を検討し直す必要が出てくるケースがございます。
また、パブリッククラウドはインターネット等外部ネットワークと同等に扱われるため、パブリッククラウド上のテキストや画像以外のファイルをLGWAN側にダウンロードする場合は、LGWAN-ASPホスティングサービス内で無害化処理が必要となるため、電子署名やマクロ付きのファイルは扱うことができません。
※2024年3月より一部要件が緩和され、セキュリティ要件を満たすための機能の一部をパブリッククラウド側に構築し、閉域接続することでも活用できるようになりました。
4. LGWAN経由で自治体にサービスを提供する際の流れ、スケジュール
LGWAN経由で自治体にサービスを提供する際には、LGWANを運営している団体(地方公共団体情報システム機構:略称J-LIS)へのLGWAN-ASP参加資格申請や、接続申請等の各種手続きが必要となります。申請時期や審査期間などを考慮し、3-6ヶ月程度かかりますのでご注意ください。
5. NTT東日本のLGWAN-パブリッククラウド接続支援ソリューションとは
NTT東日本では、LGWAN-ASPホスティング事業者としてお客さまへサービスを提供してきた経験やノウハウを活用し、アプリケーションを提供する事業者の方々がより簡易にアプリケーションを自治体のお客様向けに提供できるよう、セキュリティ要件を満たすための機能を構築できる仕組みを考案し、パブリッククラウドとLGWANの接続を支援しております。
詳しくは、NTT東日本のLGWAN-パブリッククラウド接続支援のソリューションページをご覧ください。
6. まとめ
LGWAN経由でお客さまにアプリケーションを提供するためにはさまざまなルールや制約がある一方で、その先にはSaaSを活用した業務効率化やコスト削減を必要としているお客さまもいるでしょう。自治体向けのお客さまへクラウド上のアプリケーションを提供したい場合は、ぜひNTT東日本にお問い合わせください。
NTT東日本のクラウドエンジニアがアプリケーション事業者さまのご相談におこたえします。