自治体で無料Wi-Fiを導入するメリットとは?

インバウンドへの対策・行政が災害時などに活用するためなど、さまざまなニーズがあることから、自治体においてもWi-Fi導入を検討しているところが増えていると言われています。

そんな近年の動向を踏まえて、本記事では、自治体が無料Wi-Fi導入を検討する際の手順や重要なポイント、さらに具体的な導入事例についても紹介していきます。

そもそもWi-Fiとは?

Wi-Fiとは、基地局とスマートフォンなどの通信機器を無線でつなぎ、データ通信を行う仕組み(通信方式)のこと。インターネット回線とケーブルでつながる無線LANの端末より、半径数10メートルから100メートル程度のエリア内にあるスマートフォンやタブレット、ゲーム端末、ノートパソコンなどを無線でつなぎます。

そして、よく街で見かける「Wi-Fi使えます」という表示は、その周辺に基地局となる端末があることを示すもので、無線LANの機能を持つ多様な機器をインターネットに接続することができます。
スマートフォンなどで高速通信サービスを使う場合、多くの携帯電話キャリアでは基本通信料が5,000円程度、容量7ギガ制限の形が一般的です。しかし、この表示されている場所でご使用のWi-Fiに接続すれば、通信料はかかりません。大手の飲食チェーンやホテル、商業施設などに導入されているケースが多く、どの通信会社のスマートフォンであっても利用できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

自治体におけるWi-Fi活用の実情と、導入するメリットとは?

店舗などの集客目的と比較すると、自治体がWi-Fiを導入する背景・メリットは、どのようなものなのでしょうか? そこで本項では、導入の目的別に、その効果を見ていきましょう。

自治体へのWi-Fi導入の実情

総務省のまとめによると、2015年1月から2月の時点で、全国の自治体の約39.7%がWi-Fiを設置しています。また、特別区や政令区といった都市部に限れば、その設置率は約61.5%にもなり、自治体の規模が大きくなればなるほどWi-Fi整備が進んでいる傾向にあります。

「観光」を目的にWi-Fiを設置している自治体は64.4%ですが、その中で無料のWi-Fiを導入しているのは、大阪市・神戸市・広島市・福岡市・日光市・金沢市・甲府市・静岡市・岡山市・松山市など。各自治体で導入されているWi-Fiは、既に別の自治体で運営されているモデルから新たなモデルまでさまざまですが、多言語に対応しているものがほとんどです。設置数についても、自治体によって差があります。

参考:自治体業務におけるWi-Fi利活用ガイドブック概要版│全国地域情報化推進協会

Wi-Fi導入の効果について

次に、自治体がWi-Fiを導入する目的を、「観光」「防災・減災」「住民サービス向上」の3つに分けて、それぞれの効果について説明していきます。

1観光への効果

自治体が無料Wi-Fiを導入することで、観光客の増加を見込めます。訪日外国人にとって日本観光における大きな障害の一つが、「無料Wi-Fiの整備が進んでいないこと」であるというデータも存在するほどです。

参考:世界基準には程遠い? なぜ日本のフリーWi-Fi環境は遅れているのか

無料Wi-Fiの提供は、外国人観光客が快適な時間を過ごすための一助となることでしょう。併せて、ポータルサイトや提供するアプリを効果的に活用することができれば、地域の観光情報などを提供する、また、観光客が人気のスポットなどを正確に把握する手助けにもなり得ます。

2防災・減災への効果

「防災・減災」への対応策における無料Wi-Fi導入の大きなメリットは、災害発生時であっても、効率的な通信を行うことができるということです。
Wi-Fiを通じて広範囲をモニタリングすることができるので、災害の詳細・状況を把握できると同時に、各地域に応じた柔軟な対応も可能になります。

また、災害発生時においては、電話がつながらなくなるリスクも想定あります。こうした時こそ、インターネットを介して情報を住民に提供するということは、とても意義のあることです。

3住民サービス向上の効果

住民へのサービス向上という面からも、無料Wi-Fiは多様な活用をされています。例えば、庁舎や図書館といった公共施設に無料Wi-Fiを整備する、各種申請・窓口業務への活用、さらには高齢者の見守りサービスへの活用といったケースがあるわけですが、それにより結果として、公共施設の利用率が上がった、行政サービスへの住民の満足度がアップしたなど、さまざまな効果が報告されています。

自治体がWi-Fiを導入する手順について

続いては、いざ自治体にWi-Fiを導入するとなった際の手順について、お話ししていきます。

まずは、Wi-Fiへのニーズを目的別に把握する

Wi-Fiの導入を検討するにあたっての基本は、まず「主な導入目的が何か」「利用者や用途を、どう想定するか」ということです。

例えば「観光」を目的にするのであれば、観光客の認知度や基地局の設置場所、インバウンド対策(外国人観光客向けの対策)などを重視しなければなりませんし、「防災・減災」が主な目的の場合、災害時に必要な機能の選定、ネットワーク回線のキープに重点が置かれます。また、「住民サービスの向上」を目指す場合には、行政サービスとの連携が大切になるわけです。
それぞれの目的によって、優先させるべきポイントがあることを意識することが大切です。

Wi-Fiの仕様(モデル)を検討する

導入時の目的・ニーズを明確にしたら、今度は導入するWi-Fiの仕様(モデル)を検討します。 Wi-Fiで使用可能な周波数帯域には3種類ありますが、それぞれ「障害物に強い」「通信速度が速い」「大容量のデータ送信ができる」といったメリット、逆に「同時に使うと電波干渉しやすい」「同じ周波数帯の機器が少ない」などのデメリットがあります。このメリット・デメリットを理解しつつ、目的に即したWi-Fiモデルを検討していきましょう。

さらに、認証方法やセキュリティ対策に関しても、導入前に具体的に決めておくことで、より目的・ニーズに合ったWi-Fiを検討することができるでしょう。

Wi-Fiの運用・整備の体制を考える

検討の際の懸念点のひとつとして、導入や運用にかかる費用があります。さらに、運用・整備の体制をいかに整えるかも大切です。

また、長年にわたって活用する予定であるのなら、サービスを提供する業者の選定はもちろんのこと、運用のコストなども明確にする必要があります。例えば、複数の用途でWi-Fiを活用することで費用を抑えるなど、どういった工夫をするかについても考慮しましょう。

Wi-Fiの利用を推進することも大事

せっかく無料Wi-Fiを導入したのに、利用者へのPR不足でサービスが認知されていない、Wi-Fiの利用を推進する施策がとられていないといった問題が起こらないように、準備しておくことも大切です。

利用してほしいユーザーにしっかりと使ってもらうためには、アピール方法についてもしっかりと考えなければいけません。キャンペーンや広報活動を上手に行うと共に、関連コンテンツやアプリなどとも連携し、より活用されるための仕組みづくりを行っていきたいところです。

自治体のWi-Fi導入事例を紹介

ここまでは具体的なWi-Fi導入方法について紹介しましたが、せっかく導入したのなら、どれほど成果が出ているのかも気になるところですよね。 そこでここでは、実際にWi-Fiを導入した自治体の事例を、その目的別に3つあげています。

また、自治体以外のオフィス・店舗のWi-Fi導入事例については、以下の記事でも解説しています。もっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

1観光事業活性化を目的とした自治体のWi-Fi導入事例

福岡市では、訪日外国人の呼び込みを目的に、2014年11月に無料Wi-Fiを整備しました。訪日外国人が滞在中に困ったことや、日本でのWi-Fi利用に対する意向などを事前に調査した上で、Wi-Fiを導入しました。ちなみに、福岡市を訪れる訪日外国人の国籍なども想定し、韓国語・中国語・英語などに対応しています。

さらに、多くの観光客を有する台湾最大の都市・新北市では、公衆無線LANとのWi-Fiローミングを実施。これによって、台湾からの観光客は、新たなID・パスワードなどを設定する必要がなくなりました。また、無料Wi-Fiのサービス拠点でスタンプラリーを実施するなど、利用者へのサービス提供だけでなくサービスエリア内での回遊率も向上させています。

2防災・減災を目的とした自治体のWi-Fi導入事例

宮城県石巻市では、2011年3月11日の東日本大震災を大きな教訓として、防災・減災を目的としたWi-Fiの整備を行いました。石巻市は震災時に、固定通信・移動通信の大多数が使用しづらい状況に陥ったためです。
そこで、同じような災害が起きた場合に備えて、重要拠点にWi-Fiを設置すると共に、イントラネットを結ぶバックボーン回線網を整備しました。これによって、ネットワークの強靭性が確保されたわけです。さらに、Wi-Fiを活用して、さまざまな災害関連情報を一元的に集約する機能を持たせて、被災者や避難者の安否登録・検索もできるようになりました。

なお、平常時においては、契約通信事業者にWi-Fiを貸し出し、それを維持費用に充てています。

3住民サービスの向上を目的とした自治体のWi-Fi導入事例

福島県会津若松市では、2014年4月から「簡単ゆびナビ窓口システム」と呼ばれるWi-Fi経由の窓口運用を実現しました。体が不自由な高齢者や障害者、小さな子ども連れの方にとって、市役所で複数の窓口を回りながら各種申請書の提出、証明書の発行することは、非常に大変なことです。

会津若松市では、実際に市役所職員がタブレットを持って歩きながら、ロビーで利用者から情報を聞き取り、各申請書の受付・証明書発行などをサポートしています。そのため、窓口の待ち時間短縮にもつながり、市民の満足度も向上しています。

自治体Wi-Fiによる訪日外国人への対応

上記であげた福岡市の事例でも明らかなように、その地域のインバウンド状況をWi-Fi整備前に把握することはとても大切です。福岡市の場合は、訪日外国人の大半が韓国や台湾、中国の人であったため、Wi-Fiサービスも近隣アジア圏の言語を対象としました。

訪日外国人が、旅行先であっても同じようにインターネットを使用できることは、大きなメリットとなります。また、事業者間の提携によってサービスエリア外でも同様のサービスを受けることができるローミング、ひとつのアカウントで他のサイトにログインできるオープンID、SNSのアカウントを利用したソーシャルログインなど、利用者の利便性を向上させる機能は数多くあります。目的にあった機能を取り入れて、より良い環境整備をしてあげることも大切です。

導入後の効果検証も大事

Wi-Fiを導入するメリットは、利用者の満足度を上げることだけではありません。Wi-Fi導入後の効果を検証することで、利用者の動向など多種多様な情報を得ることができるので、観光地の集客など、マーケティング活動にも活かすことができます。

Wi-Fiに何回接続されたのか、結果として観光客がどれくらい増加しているのかなど、定量情報を振り返って効果を検証することも有効です。また、定期的にアンケートを実施するなど、利用者の具体的なニーズや訪日意図などを明らかにしてデータと突き合わせることで、さらなる需要を生み出すことも可能です。

まとめ

その地域に適した無料Wi-Fiを整備することは、自治体にとっても大きなメリットになります。
観光客の取り込み、緊急災害に対する備え、より良い住民サービスの提供など、Wi-Fi整備は自治体の活性化にもつながるわけです。Wi-Fiを導入する際は、本記事で説明したことを踏まえて、効果的なサービスになるように検討しましょう。

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