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「シン・テレワークシステム」おもしろ開発秘話

登 大遊 氏

東日本電信電話株式会社 特殊局員
登 大遊 氏

独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室。
ソフトイーサ株式会社 代表取締役。
筑波大学 産学連携准教授。
NTT東日本 特殊局員。

わずか2週間、65万円で開発された
画期的なシステムの裏話

自宅のPCにプリインストールするだけでリモートデスクトップ接続ができ、オフィスなど他の場所にあるPCを遠隔操作できる「シン・テレワークシステム」。無料なのに高セキュリティ性能で、煩雑な利用手続きも必要ないため、在宅勤務のビジネスパーソンから支持されている。このシステムは、2020年の緊急事態宣言下、わずか2週間、65万円で開発されたものだ。画期的なシステムが常識外の短期間、かつ低予算で開発された背景には、NTT東日本の特殊局に在籍する登大遊氏が、学生時代、そして社会人生活を通じて培った創造性があった。

大学時代に開発した
VPNソフトが某国からマークされた

特殊局の発足、そして登氏の入社は2020年4月1日。そのわずか3日後、リモートワーク用のシステム構築を提案。実証実験としてリリースされたのは4月21日だった。高価な大手メーカー製のハードウェアは一切使われておらず、登氏が開発したVPNソフト「SoftEther」のソースコードを利用している。これは登氏が筑波大学在籍中に開発したものだが、性能が強力すぎるとして、他国の政府から「けしからん」と目を付けられ、経産省から配布停止を要請されるほどのものだった。その経験を通して、登氏は「もっと面白いことをやりたい」と思うようになる。

研究と自由な発想で遊ぶのは同じこと

大学時代、研究室で飼っているハムスターの様子をネット中継すると、それが好評で、学内のネットワークがダウンするなどの出来事もあった。やがて好奇心は外へ向き、つくば、銀座、渋谷、大手町、池袋などのNTTビルにネットワーク設備をコロケーションし、実験用の独自IP網を構築。自ら加入ケーブルを選定し、大学の地下道に敷設するルートまで設計するなど、作業員と一緒に遊ぶ(作業する)ことで、NTT東日本に対して強い興味を抱くようになったという。ここで構築した超低遅延のネットワークは、その後改良され、「シン・テレワークシステム」を支えることになる。

イノベーションは
独創性と創造性を育む組織から生まれる

登氏が自由な発想で研究、開発を続けられた背景には、彼の行動を「けしからん」と思いながら、そこに可能性を感じ、黙認してくれた環境がある。日本の大企業には、世界水準の若い人材、そして最先端の研究設備が揃っているが「若く自由な発想、アイデアを生かす環境が欠けている」と登氏は言う。組織の中で“大人”になるのではなく、独創性や創造性を磨くため、自由に実験、プログラミング、ネットワーク構築をさせる寛容さが組織には必要なのではないか。それが大きな花を咲かせることを「シン・テレワークシステム」が証明している。

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