仕事の効率を上げる

  • テレワーク

変わる日本の働き方

理想の働き方をテレワークで実現するアプローチ

20年前からテレワークを実践し、12年前にテレワークのコンサルティングを専門とするテレワークマネジメントを設立した同社代表取締役の田澤由利氏。「NTT東日本 Solution Forum 2021 ONLINE」において田澤氏は「コロナ禍で変わる日本の働き方~目指すべきテレワークとは~」というタイトルで講演した。日本企業がこれから目指すべきオフィスワークにおけるテレワークの姿と、そのためのアプローチについて具体的な事例を交えた解説が行われた。講演ではさらに、オフィスワーク以外の興味深い導入事例も紹介された。

この記事のポイント

  • テレワークとはICTで時間と場所を有効活用する働き方だと理解する
  • オフィスの機能をすべてクラウド上に再現することを目指す
  • できる仕事を限定しないで、どうしたらテレワークで実現できるか考える
株式会社テレワークマネジメント 代表取締役
田澤 由利(たざわ ゆり)氏
1998年に株式会社ワイズスタッフ、2008年には株式会社テレワークマネジメント設立。テレワーク導入支援、普及事業等を広く実施。「総務省平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰個人賞」受賞。著書に『在宅勤務(テレワーク)が会社を救う~社員が元気に働く企業の新戦略』(東洋経済新報社)がある。

認知度は上がったが本質が誤解されることも

 「テレワークとは好きな場所で自由に好きなように働けることだと思っていた」。田澤氏が講義をしたある大学の学生たちは、こんな風に答えたという。

 「テレワークの定義とは、“ICTを活用し、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方”です。好き勝手に働きたいときに働くことではありません。時間の有効活用も求められているのです」と田澤氏は説明する。

 緊急事態宣言が発出され緊張感があった2020年4月から6月の頃は全体の3割に当たる人が在宅でテレワークを経験したというデータもあり、そこから考えると少なくとも1000万人が経験したことになる。

 「1000万人もの人が経験したことは大変重要なことです。緊急事態宣言が解除され、多くの企業では出社する形態にいったん戻りましたが、3カ月後にはまた少しテレワークが増えてきました。テレワークを経験したことでその必要性が理解され、意識が変わったからです」と田澤氏は指摘する。

 確かにテレワークなら通勤電車に乗らなくて済み、子育てしながら働くことができ、副業も可能だ。しかし、田澤氏は「一番の気付きがあったのは経営者です。これまでできないと思っていたテレワークができることを知ったという気付きです」と話す。

 出張費や交通費を大きく減らすことができ、オフィススペースも削減でき、離れたところに住む人も採用できる。経営者にとってはテレワークによって選択肢が増え、チャンスが広がったことになる。実際に日本を代表する企業でも変革に向けた動きがある。「この動きは止めることはできません」(田澤氏)

経営者の意識の変化

テレワークが現実的な選択肢ということが証明され、経営者の意識に大きな変化が起こった

課題を解決するための方法を模索すべき

 しかし、テレワークを体験したことで見えてきた課題があるのも事実だ。「声をかけにくい」「チームの業務が進まない」「ひとり仕事がつらい」「仕事が覚えられない」といったコミュニケーションや仕事の進め方の課題や「評価されているか不安」「評価ができない」「オン・オフの区別がしにくい」などマネジメントの課題も表面化してきた。

テレワークのマイナス面を
取り除く方法
東京、北海道、奈良の3拠点が同じフロアに?

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 こうした現状に対して「課題があるからといって元に戻るのではなく、考え方を変えてもらいたい。テレワークをやめてしまうのはもったいないことです」と田澤氏は発想の転換を提唱する。具体的にはクラウド上にオフィスを置いて、今までのような働き方を再現し、これまで以上に効率を上げる働き方を追求するのである。

 「どこでも働ける社会は、働き手が減少している日本にとって必要です。そのためにはテレワークでできる仕事(オフィスワーク)が限られると考えてはいけません。いつもの仕事がテレワークでできるようにやり方を変えていくのです」と田澤氏は話す。

 これまでは、会社で仕事をすることを前提に仕事を切り分けてきた。そのままテレワークに置き換えようとすればできない仕事が出てくるのは当然だ。田澤氏はまず、オフィスにある仕事道具や仲間とのつながりをクラウド上に移すことを、アフターコロナで目指すテレワークの姿として提示する。

 さらに田澤氏は「仕事環境の整備は基本ですが、コミュニケーション、マネジメント、セキュリティ、意識が全部そろうことで初めて目指す姿になります」と語る。

 具体的な姿として、様々なツールで理想のテレワークを実現している自社のクラウド上のオフィスを紹介する。

 テレワークマネジメントの本社は北海道の北見市にあるが、東京の千代田区、奈良の生駒市にも拠点がある。クラウドのオフィスの画面には、それぞれの拠点の“机の島”があり、社員はそこに出勤して仕事をしている状態になっている。リアルには離れて仕事をしていても、クラウド上では同じフロアにいることになる。

テレワークマネジメントのバーチャルオフィスの画面。机の島は拠点ごとに分けられている。バーチャルなのにリアルな感覚があるのがポイント

 「一人で集中して何かに取り組むとき以外は、全員がクラウド上の同じ部屋で仕事をします。声を出すと皆に聞こえるように全員スピーカーをオンにしているのも、同じ部屋にいるのと同じ感覚にするためです」と話した田澤氏は、会議室にクリック1つで移動するとマイクとカメラをオンにして会議をしている社員たちに話しかける。社員たちもマイクとカメラをオンにして田澤氏に応える。

 Web会議室を仮設のオフィスと位置づけ、朝はそこに全員が集まり、その後はスピーカーだけをオンにして、必要なときはマイクで話しかければよいのだ。それで同じ場所で仕事をしている感覚になれる。

 同社では労働時間管理のためにクラウド上でタイムカード機能を実現するツールを活用している。「着席する」と「退席中」を切り替えて利用する。仕事をしているときは「着席する」にしてタイマーをスタートさせ、一時的でも仕事から離れるときは「退席中」にしてタイマーを止める。

大事なのはツールではなく全員の意識

 「大事なのは所定労働時間を確保することです。子どもを迎えに行って時間が足りないときは、子どもを寝かせてから仕事を再開してもよいでしょう。テレワークは自由なだけではなく、柔軟さを備えながらも、きちんと働くものなのです」と田澤氏は話す。

 同社が活用しているツールでは、仕事中の社員の画面をランダムにキャプチャして後で管理者が確認できる機能も提供されている。田澤氏は「仕事をしているかを監視するためではなく、どこまで進んでいるのか、困っていないかを知ることが目的なのです。適切な評価を受けられることで社員のストレスも解消できます」と話す。

 田澤氏は「大事なのはツールではなく意識です。経営者は会社をこう変えたいという意志を、管理者は適切な評価を行うことを、社員は自分の未来のために取り組みたいことを、それぞれ持つべきです」と語り、テレワークを実現するためにオフィスワーク以外で挑戦している事例も紹介する。

 例えば製造業では、社員の自宅に部材を郵送してリレーで完成品を作っている木材のおもちゃ工場。家で溶接作業をし、仕上がり具合をWeb会議でチェックする町工場もあるそうだ。また接客業ではロボットやアバターで遠隔から対面サービスを提供する事例、訪問介護でも直行直帰で感染リスクを抑えている事業所があるという。共通しているのは、何とかしてテレワークで仕事を回そうという強い意志があることだ。

 「コロナ禍でのテレワークはまさにこれから。新しい理想の働き方を追求するチャンスです。今、テレワークの道を進むのか、元に戻るのかの岐路に立っています。どちらを選ぶかで大きく結果は変わります」と、田澤氏はテレワークに取り組む企業にエールを送った。

分かれ道。どちらに進みますか?

今は「テレワークの道を進むのか、否か」の岐路に立っていると田澤氏は指摘する。テレワークはこれからの時代には必須だ

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