
後を絶たない万引きの被害、閉店後の深夜の店舗荒らしや落書き。従業員による不正――多くの頭の痛いトラブルが、店舗の経営者やオーナーの頭を悩ませている。そうした悩みの解決を手助けするのが、簡単で便利に使える「ネットワークカメラ」だ。実は防犯だけでなく、経営者の仕事の仕方を変え、従業員の教育にも役に立つ製品なのだ。
防犯対策としての監視カメラの利用がさまざまなシーンで進み、身近な存在となっている。
自治体や商店街などは、街頭に防犯カメラを設置し、防犯対策としている。犯罪を伝えるニュースで、「監視カメラの映像から、容疑者の特徴を割り出した」といった内容を耳にしたこともあるだろう。
一般に広く普及するようになったドライブレコーダーも、監視カメラの一種と考えていい。万が一の事故の際に状況を証明する証拠になる可能性があるだけでなく、近年増えている“あおり運転”などの危険運転に巻き込まれにくくする効果への期待もある。自動車においても、カメラはトラブルの事後対応だけでなく、抑止効果も含めて導入されているのだ。
実際、警察庁は、2019年1~6月に刑法犯の認知件数が約36万4000件となり、前年同期から約3万4000件下回ったと発表している。前年同期からの減少率は8.7%と大きい。監視カメラの設置数の増加が、犯罪抑止や検挙率の向上に寄与している可能性はあるだろう。
店舗を経営していると直面することになる万引きや窃盗。これらの被害は大きな問題だが、実際問題としてオーナーや経営者がずっと目を凝らして店舗を監視しているわけにはいかない。複数の店舗を経営していたり、自宅と店舗が離れていたりしたら、物理的に人間が監視するのは現実的な解ではない。
こうした中、店舗におけるカメラを活用した監視をこれまでよりも手軽に導入できるソリューションが登場している。「ネットワークカメラ」と呼ばれるものだ。
店頭やレジ周りなど、カメラで状況をチェックしたい場所にインターネットに接続できる小型のカメラを設置し、そのカメラから得たリアルタイムの店舗の状況をインターネット経由でパソコンやスマートフォンからチェックできるというものだ。HD画質(1280×720ピクセル)でカラー対応・音声録音可能というものもあり、大型ハイビジョンテレビに映しても満足できるくらいに、鮮明かつスムーズな動きで記録される。
記録した映像を、クラウド上で一定期間保存するサービスを行っている事業者もある。必要があればクラウドに保存された情報から、指定した日時の映像をさかのぼって確認することも可能だ。
従来型の監視カメラであれば、店舗内には監視カメラだけでなく、カメラを制御するコントローラー、映像を確認するモニター、1週間や1カ月といった映像を記録するハードディスクなどのストレージが必要だった。そのモニターも、例えば警備室や店舗のバックヤードなど、設置された決められた場所でしか見られなかった。
ところが、ネットワークカメラならば設置する必要があるのはカメラだけ。映像の記録はクラウドに任せられるし、映像の表示やカメラの操作は、手元のスマートフォンやパソコンからできてしまう。
クラウドサービスだけに、場所や時間を問わずに店舗内の様子をチェックできるのもありがたい。その場にいながら複数店舗の様子を見ることができるし、出張時など、外出先から確認することも可能だ。ネットワークカメラとクラウドサービスの利用料金を合わせても、月額数千円というリーズナブルなコストで使えるサービスもある。従来型の監視カメラシステムに比べて初期導入費用が劇的に安くなった上、メンテナンスの手間もかからないのは大きなメリットだ。これであれば、「防犯カメラあります」という表示を大きな負担をかけることなく貼り出せそうだ。
もちろん、店舗だけでなく、オフィスや駐車場に取り付けて不審な出入りを監視したり、工場や農場で状況確認のために利用したりすることもできる。巡回を減らし、業務効率化につなげる応用も可能だ。
ネットワークカメラを設置することで期待できる効果は、「防犯」「改善」「教育」だ。
まず「防犯」だが、万引きや窃盗などの犯罪抑止効果はもちろん、いざというときには記録した映像を振り返ることで、容疑者の特定や状況の確認などにつなげることもできる。また、考えたくないことではあるが、内部犯行のレジの金銭トラブルも決して他人事ではないだけに、ネットワークカメラによるチェック機能があることを知らしめるだけでも効果は上がるだろう。
そのほか、駐車場に停めた車へのいたずらや窃盗、壁やシャッターへの落書きや客同士のケンカなど、店舗内外で起こるさまざまな事象を映像として記録しておけることは、大いに役立つはずだ。
しかし、ネットワークカメラの利用は、そうした「マイナスを減らす」取り組みだけに効果をもたらすものではない。
「改善」の面では、店舗経営者やオーナーが仕事の仕方を変えられる「働き方改革」が一番大きいだろう。複数店舗を巡回しなくても、自宅やオフィス、外出先からいつでも店舗の様子を確認でき、管理に割いていた時間をビジネスに有効活用できるようになる。また、工場や農場で状況確認のために利用して巡回を減らし、業務効率化につなげることも期待できる。
さらに、映像により店舗内の状況を可視化することで、業務体制や店内レイアウト、シフトなどの見直し、業務効率の向上を図ることも可能だ。
「教育」に関しては、例えば閲覧用IDを作成して、記録した映像を複数のメンバーで共有することも可能だ。これにより、模範となるような従業員の接客態度を教育に使ったり、厨房の動きをもっと効率化できないか検討する材料としたりすることもできる。海外支店のスタッフが正しい手順で調理しているか、マニュアル通りに接客しているかをネットワークカメラで日本からチェックして社員を指導している例もあるという。
インターネットと組み合わせて使うネットワークカメラは、使い方によって防犯の側面だけでない多くの効果を期待できる。明日のより良い店舗やオフィスを作るためにも、検討する価値があるだろう。
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