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新時代の飲食店経営者に聞く

2年で5店舗の成功術は「独立前の経験」と「人脈」の両輪

東京・日本橋に最初の店舗をオープンした「和食日和 おさけと」は、その後の約2年で5店舗を展開。経営者の山口直樹氏は、店舗を素早く軌道に乗せ、短期間での多店舗化を実現できた理由は「人」を重視する姿勢と語る。「不安はなかった」という山口直樹氏に、飲食店経営を成功させるポイントと、ウィズコロナ時代の新常態(ニューノーマル)においての戦略を聞いた。

『和食日和 おさけと』代表
山口 直樹(やまぐち・なおき)氏
1981年東京生まれ。バーテンダーから始め、一流フランス料理店やスペインバルなどで経験を積んだ後、日本酒にはまり「きき酒師」の資格を取得、さらに「酒匠」の資格も取得。2018年1月に「和食日和 おさけと 日本橋」を開店。その後、神田御茶ノ水、神保町、日本橋室町、神楽坂と次々と店舗を拡大してきた。

この記事のポイント

  • 最初から自分の店を持たない。業界で経験を積み人脈をつくる
  • 飲食店経営のカギは「人」。しっかり休めて、やる気の出る仕組みづくりを
  • 飲食店でも経営情報を見える化して従業員にも同じ意識を持ってもらう

独立前に様々な店の立ち上げに関わり、人脈をつくる

――「和食日和 おさけと(以下、おさけと)」は、2018年1月に東京・日本橋で開業以来、短期間のうちに5店舗に増やしました。個人経営のお店で、これほどのスピードでの多店舗化は驚きです。

 店舗を増やす際には、基本的に金融機関から資金を調達しています。融資の相談に行くと、いつも「まだ早すぎる」と言われます(笑)。しかし、売り上げや利益などの数字を見せると、だいたい納得してもらえます。例えば、1店舗目の日本橋店は1月23日のオープンですが、翌2月には単月黒字になり、3月には数百万円の営業利益を計上しました。

――日本橋店は独立して初めての店舗ですが、不安はありませんでしたか。

 不安はまったくなく、成功を確信していました。理由は場所の良さもありますが、料理やお酒、サービスなどに自信があったからです。背景にあるのは、これまで飲食業界で培った経験です。独立前は飲食店の従業員やマネージャーとして、様々な業態のお店の立ち上げ、立て直しなどに関わりました。こうした中で、どうすれば利益を出せるお店になるのか、成功のポイントと人脈をつかむことができました。

――いきなり自分のお店を作るのではなく、業界での経験が欠かせないのですね。そのほかの成功ポイントはありますか。

2年間で5店舗を立ち上げた山口氏が語る
飲食業を成功させるための最優先事項とは

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 飲食業において、最優先は「人」というのが私の信念です。日本橋店を開業するとき、私を含めて4人が立ち上げメンバーでした。3人はすべて、前職などで一緒に働いた仲間です。

 飲食業にはどんぶり勘定で、売っても売っても赤字のお店があります。料理人の中には、いいものを出したいという思いが強過ぎる人もいます。そんな人をたくさん見てきた私が、この人なら信頼できると選んだ人に声をかけ、「お前がやるなら」と参加してくれました。

 今は5店舗になったので、社員が26人、アルバイトを含めて40人の体制ですが、社員はすべて実際の働きぶりや人柄を知っている人たちです。アルバイトについても、必ず私が面接するようにしています。決め手は第一印象です。お客様も第一印象で従業員を判断しますよね。ですから私も第一印象を大事にして採否を決めます。その人のちょっとした視線だったり、表情だったりするのですが。

準備ができていたらチャンスをつかめる

――1号店のときは成功を確信していたとのことですが、苦労はなかったですか。

 最初は資金調達のハードルがありました。自己資金+融資で開業したのですが、できるだけ少ない投資でスタートしたいと考えました。居抜きの安い物件を探しましたが、ちょっと苦労しました。条件のいいところは、大手のチェーン店が押さえてしまいますし。

 業界には居抜きの店舗専門の不動産屋さんもあるのですが、そうした中から賃料が安い1号店を紹介してもらいました。賃料が安かったのは借りられる期間が2年余りと決まっていたから。飲食店としては非常に短い期間しか商売ができず、かなりリスクがあります。しかし自信はあり、2年あれば十分に実績をつくれると思っていました。先ほど話したように、実際には予想よりも早く黒字化し、お客様からも評価されるようになりました。普通の人は避ける物件でチャンスをつかめたのは、立ち上げメンバーに恵まれたことが大きかったと思います。

――いつごろから、独立開業の準備をしていましたか。

 前のお店を辞めると決断したのは、開業の1年前です。ただ、そのときに独立しようと思ったわけではありません。「自分の店をやろう」と決めたのは2017年11月、開業のわずか2カ月ほど前です。11月から物件を探して12月に決め、後はトントン拍子に進みました。声をかけたメンバーの参加が決まり、内装や仕入先の手配、ネットの予約サイトへの登録など必要なことを短期間ですませ、18年の1月23日にオープンすることができました。

 このスピードでオープンできたのは、繰り返しになりますが以前からの人脈の蓄積があったからです。人材採用については話しましたが、内装業者や仕入先、予約サイトなどとも前々から付き合いがあったのです。おそらく、2カ月で開業というのは特殊なケースでしょう。通常は、1年以上前から物件探しなどの準備をしている人が多いようです。独立を目指すなら、実際に行動に移す前に内装業者や仕入先業者を含めて関係性をつくっておきたいです。

おさけと開業のスケジュール表

全員が日曜日に休む!

――飲食店経営で大事にしていること、あるいは経営の方針についてうかがいます。

 先に触れたように、飲食店経営で最も大事なのは人材だと思います。優秀な人材を集めて、気持ちよく働いてもらうことに最大限の注意を払っています。そのためには、従業員がきちんと休めることが大事。また、私自身も、家族旅行など先々の予定が立てられるような生活をしたい。そこで、日曜定休を決めました。

 飲食店では、売上増を狙って日曜日を含めて営業するのが一般的です。シフトを組んで回すのですが、アルバイトが病気や試験で休んで、休みのはずだった店長が代わりに働くといったことが頻繁に起こります。実はこれがダメなのです。大事な店長がしっかり休むこと、これがうちの経営方針です。そこで、日曜定休に適した場所としてビジネス街を選びました。ビジネス街は日曜日の営業に向かないので、大手チェーン店との競合も避けられます。強いライバルが少ないので、いい物件に巡り合う可能性も高くなります。

 同様の理由で、商業施設にも出店していません。日曜日にも営業を求められるケースが多いからです。ただ、働き方改革の影響でしょうか、最近は日曜定休を受け入れる商業施設も増えつつあるようです。自分で休みを決められるのであれば、今後は商業施設も選択肢の中に入ってくるでしょう。

――おさけとでは、ITをどのように活用していますか。

 飲食業界の中では、かなりITを活用しているほうだと思います。各店にはPCとタブレットを2台ずつ置き、ハンディ端末としてスマホを活用しています。店舗間の情報共有はGmail、個店ごとのアルバイトを含めたスタッフのシフトなどのやり取りはLINEを使っています。また、予算と実績、店舗単位での営業利益は月次で集計してクラウドに上げ、社員全員がスマホで見られるようにしています。ガラス張りの経営にこだわったのは、飲食店であっても全員に経営者と同じ意識、感覚を持ってもらいたいから。業績が良ければ報いるし、悪ければがまんしてもらう。経営を知ってもらえば同じ感覚で働けます。また、いい意味での競争を促進する面もあります。

 また、クラウドのPOSレジや予約台帳システムなども導入しています。例えば、予約のお客様が席につくとハンディ端末からPOSレジ、さらに予約台帳システムと連携し、その情報は自動的にネット予約サイトに送られます。システム連携により、いろいろな手間が省かれています。

――ウィズコロナ時代の成長戦略についてお聞かせください。

 新型コロナウイルスの影響を受けて、多くの飲食店が苦しんでいます。閉店した飲食店も少なくありません。ただ、見方を変えればいい物件が増え、優秀な人材が集めやすくなったということもできる。この苦境を耐え抜けばさらなる成長を目指せる。ピンチをチャンスに変えることもできるはずです。今は、そのときに備えて、物件探し、人材探しをして、足場を固めたいと考えています。

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