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【ハウツー事業承継】誰にどう継がせるべき?

かしこい会社の引き継ぎ方――ICTで倒産を防ぐ!

いま日本の中小企業は大廃業時代を迎えています。中小企業庁によると、今後10年の間に70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、このまま放置すると中小企業の廃業が急増すると言われています。廃業に至る最大の要因は経営者の年齢と「後継者がいない」こと。もし後継者がいたとしても、経営者自身のノウハウの承継も頭を悩ます問題です。やることが多すぎて事業承継を諦めるのではなく、視点を変えて、事業承継は会社を変えるチャンスだと考えてはいかがでしょうか。

この記事のポイント

  • 大廃業時代到来! 中小企業の経営者が高齢化、後継ぎも決まらず事業承継は困難
  • ICT活用で事業承継と経営革新に挑んだ「聖徳ゼロテック」
  • 事業承継士・岩崎彰吾氏が解説。「事業承継時こそ会社が変わるチャンス」

60歳を超えたある町工場社長の悩み

 「俺もあと2年で65歳か。そろそろ誰に継いでもらうか考えないといけないな」

 自身が40年近く前に立ち上げた町工場。60歳になるまでは後継ぎのことなど考えたこともなかったこの社長は、最近ちょっとした病気で寝込んだことから弱気になり、「自分がまだ動けるうちに継がせておきたい」と事業承継を考えるようになりました。

 「とはいえ、誰に継がせたらいいのだろうか。悩ましい……」

 社長には息子が1人います。一度、「継ぐ気はあるか?」と話を振ってみたことがありますが、反応は今ひとつ。そのくせ「いままでのやり方じゃダメだよ。経営や業務のデータ共有もされていないし、そんな状態で今後もやっていけるの? ICTをもっと活用すればいいのに」と、不満や不安ばかりを次々とぶつけてくる始末。結局、継ぎたいのか継ぎたくないのか判断できず、話はうやむやになっていました。

 そんな折、社長はある雑誌で様々な形での事業承継があることを知ります。社員に継がせたり、新たに社長を外部から迎え入れたり、中小企業同士の合併などが目につきました。「息子に継がせるしかないと思っていたが、色んな形があるんだな。プロ社長というのもいるなんて初耳だ」

 社長は選択肢が増えてさらに悩みます。「もし息子が継いでくれないとしたら……、社員に任せるか。ただ、譲るといってもノウハウをどう伝えればいいのかわからないし、他所から引っ張ってくるのも不安。退職金を出せる今の時点でたたむという手もあるか……。一体どうすればいいんだろうか……」

 事業承継をめぐってこのような悩みを持っている中小企業経営者も多いのではないでしょうか。しかし事業承継は、単に経営を誰かに譲るというだけでなく、会社が変われるチャンスでもあるのです。

2代目の“強み”をICTで作り出す

 ここで、事業承継に成功した例を紹介しましょう。先代社長である古賀鉄夫氏から長男の古賀忠輔氏(現社長)へ無事に事業承継した聖徳ゼロテックの事例です。

事業承継で悩んでいる方は必見!
ICTが事業承継に果たした役割とは? 成功事例を紹介

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先代社長の古賀鉄夫氏
「ただ単に経営を引き渡すだけではだめ。強みを持たせた上で継がせるのがポイントです」

 佐賀市にある聖徳ゼロテックは1975年の創業で、金型の製造・販売を主事業とする会社です。社員は現在31人。現社長の古賀忠輔氏は、他企業から2006年家業に戻り、2018年1月に創業者で当時社長を務めていた父・鉄夫氏から2代目社長を引き継ぎました。

 「家に戻る時点から、将来は社長を継ぐつもりでいました。父も事業承継を前提として私を育成してくれました」と忠輔氏。ただ家業に戻ったのはいいものの、それまで金型業界の経験がないわけですから、先輩社員からは反発が想定されました。その点については鉄夫氏も考えていたそうで、「事業承継のためにも、息子にはまず現場を学ばせるとともに、何か強みを持たせたいと考えていました」と振り返ります。

 鉄夫氏が忠輔氏の“強み”にしようと考えたのが、ICTです。実は同社は古くからICTを活用しており、忠輔氏が戻ってきた当時も生産管理にパッケージソフトを導入していました。

 「ただ、パッケージソフトでは現場での運用に柔軟に対応しきれません。そこで、現場のニーズを反映したシステムをイチから立ち上げるため、私は入社後すぐにシステムの勉強を始めることになりました」。忠輔氏はシステムの研修を受け、自ら生産管理システムを構築しました。

現社長の古賀忠輔氏
「ICT導入を積極的に行うことで経営革新につながりました」

 「現場のニーズを知るために、様々なセクションの社員に話を聞き、要望をシステムに組み込んでいきました。その過程で会社の運営や作業フローが見えてきただけでなく、先代時代からの社員ともコミュニケーションを深めることができました」

 鉄夫氏は60歳を過ぎた頃から事業承継を考え始め、65歳で引き継ぐつもりでしたが、実際には忠輔氏の強み作りにじっくりと時間をかけた結果、70歳を迎えるタイミングでの承継になりました。社員の要望を組み入れてシステムを立ち上げた主役が忠輔氏であったことから、社長が交代するという理由で会社を去った社員もいなかったといいます。

 システムは現在生産管理だけでなく、受発注管理や勤怠管理、さらには人事評価でも活用しています。「システムによってデータが見える化されることで支出の最適化を実現できたほか、育児で勤務時間を短縮している社員の穴を埋める多能工社員の評価にもシステムが活躍しています」と忠輔氏は語ります。もともとICTを積極的に導入してきた聖徳ゼロテックですが、事業承継を機にICT化を一層推進することで2代目の承継を円滑にし、かつ経営革新にもつながりました。

聖徳ゼロテックのICT活用におけるポイント

現場のニーズを反映した生産管理システムを構築。支出の最適化を実現できただけでなく、受発注管理や勤怠管理さらには人事評価でも活用し、経営革新につながっている

事業承継は単に後継ぎを決めて経営を引き渡すだけじゃない

 業務システムの導入が事業承継に良い影響をもたらした事例を紹介しましたが、ほかにも、BtoB向けのビジネスを行っていた企業がBtoC向けネットショップを開設してWebマーケティングによる販路開拓に成功したり、前社長の人脈をCRM(顧客関係管理)システムの導入によって見える化・共有して顧客をがっちり確保したり、事業承継と経営革新を両立させた例が数多くあります。

 事業承継は単に後継ぎを決めて経営を引き渡す話ではなく、会社の経営自体を革新する絶好の機会でもあります。ICTを活用して様々な部分を見える化・効率化し、あるいはIoTやRPAなどの技術を導入して生産性向上や働き方改革なども進めながら、会社のより良き未来につながる事業承継を目指してはいかがでしょうか。

中小企業診断士・事業承継士・ITコーディネータ
岩崎彰吾氏からのアドバイス

事業承継は会社が変われるチャンス

 中小企業において、事業承継はきわめて大きな課題です。何よりも悩ましいのが、引き継ぎ手がいない、あるいは決まらないこと。親族が継ぐ、社員が継ぐ、外部から招くなど様々なパターンがありますが、とくに親族の場合、事業の将来性や借り入れの問題から「継がない」という選択肢を取るケースも当然あります。結局引き継ぎ手が見つからずに会社を売却したり、廃業に至ったりする会社も増えています。そのほか、事業承継には「見えないノウハウや属人化した業務」「先代のスタイルや人脈」などの引き継ぎにまつわる難しさや、先代についてきた社員の反発といった課題もあります。

 事業承継を契機として経営革新や業務改善を行うという視点が重要だと考えます。そこで注目したいのがICTです。事業承継にICTを活用することで、情報の見える化と共有、業務の標準化が可能になり、ノウハウやスタイルの属人化問題を解消できます。また業務効率や生産性の向上、働き方改革、さらには新規事業創出、経営リスクの回避にもつながります。こうして「業績が上がる」「働く環境が改善される」といった目に見える成果が現れれば、会社の経営が上向くのはもちろん、先代からの社員も納得して働き続けてくれるでしょう。

 以下の図を見てもらえると、事業承継時の問題点の多くはICTで解決できることがわかります。ぜひ参考にしてください。

中堅・中小企業の課題は、NTT東日本にご相談ください

事業承継を機にICTを活用したい!
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