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  • RPA

定型業務はRPAにお任せ!

「デジタルレイバー」と共存する社会へ

人間が行ってきた業務をソフトウェアロボットで代行するRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)が注目されている。国内RPA業界の発展と活性化により、世界のRPA市場における日本の存在感を高めることをミッションとしているのが、日本RPA協会である。近い将来、RPAの普及によって人間と機械の働き方はどう変わるのか。日本RPA協会で理事を務める池邉竜一氏に話を伺った。

一般社団法人日本RPA協会
理事
池邉 竜一

RPAは定型業務を担う“労働力”

 日本RPA協会で理事を務める池邉竜一氏は、「RPAとは?」という問いに対して次のように切り出した。「RPAについてまだよく知らない、検討もしていないという経営者の方々に考えていただきたいのは、RPA導入後に人間がどのように仕事をしていくのかということです」

 昨今は、デジタル技術を活用して企業の経営やビジネスプロセスを変革していくデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きく叫ばれている。DXは第4次産業革命とも呼ばれ、企業や団体はDXを避けて通ることはできない。そうした状況で考えるべきことは、RPAなどのデジタルツールをどのように導入するかではなく、デジタルツールを導入した後に人間の仕事がどのような方向に進むかだという。

 「日本RPA協会では、RPAに代表されるデジタルツールを“仮想知的労働者(デジタルレイバー)”と呼んでいます。RPAを導入することでデジタルの労働力が生まれますから、そこで “人間”の働き方を再考する必要があるのです。デジタルレイバーと人間の共存する新しい労働の形を考えることで、DXの本質が見えてくると考えています」(池邉氏)

 そもそもRPAには何ができるのだろうか。池邉氏は、「パソコンの前で行っている定型業務がRPAの対象範囲」だという。定型業務には、書類を整理してファイリングするようなアナログ業務もあるが、ここで対象とするのはデジタル化したデータの取り扱いのこと。池邉氏は定型業務を3つに分類する。

 「1つはアプリケーションやクラウドサービスを立ち上げて入力する作業。2つ目はそこから出力する作業。3つ目は、異なるアプリケーションやサービスをつないで連携する作業です。これらの入出力作業を業務としてパソコンの前で行っているなら、機械に置き換えることができます。そこで使われるのがRPAです」と池邉氏が説明する。

 パソコンを使っている業務をよくチェックしてみれば、多くが定型業務であることが分かる。文章を考えたり企画書を作ったり、稟議書を起案したりするような業務は、現時点では人間にしかできない可能性は高い。しかし、アプリケーションやクラウドサービスなどが提供する情報システムに対して、情報を入出力したり処理の指示を出したりする業務には、必ずルールがある。だからこそ、ルールに従ってパソコンを自動的に操作できるRPAが、定型業務を肩代わりしてくれるのだ。

 こうした定型業務の特徴は、「単純な反復作業」だと池邉氏は指摘する。「単純な反復作業を、多くの時間を費やして人間が行っていていいのですか? と問いたいのです。RPAはそうした定型業務を行ってくれる“労働力”になるのですから」と池邉氏は強調する。

新入社員と同じく育てて使うRPA

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新入社員と同じく育てて使うRPA

 日本RPA協会がRPAをデジタルレイバーと位置づけるのは、人間に割り当てられていた定型業務をRPAが新しい労働力として引き受けてくれるという視点に立つためである。RPAを労働力として見ると、実は「できること」以外にも人間との共通点が見えてくる。

 「企業が導入するパッケージソフトは、会計でも顧客情報管理でも、導入したその日から使えます。一方でRPAは買ってきただけでは何もできません。企業の側に導入の目的があって、それを教えていかないと役に立たないのです」と池邉氏は指摘する。これは、新入社員を雇ったときと同じ状況だといえる。人は採用して教育しながら育てることで、業務を覚えていく。RPAも業務を教えることで、人手の代わりに業務をこなすようになる。「RPAはすぐに使えるソフトウェアを購入するのではなく、デジタルレイバーという新しい労働力を導入すると考えるとよいと思います」(池邉氏)

 デジタルレイバーは、昨今のビジネスの環境変化への対応に不可欠なものだと池邉氏は説明する。労働基準法に支配されない労働力として、デジタルレイバーを活用するという考え方だ。グローバル化やインターネットコマースの普及でビジネスの需要は24時間引きも切らず、さらに拡大を続けている。一方で人間は1日に8時間しか働けない上に、働き方改革の動きから制約も厳しくなっている。こうした状況に何も対策を施さないと、ビジネスチャンスの拡大に対して自社のビジネスが劣化していくことになる。

 「RPAをパッケージソフトの導入と捉えたら本質を見誤ります。24時間365日働ける新しい労働力と考え、海外24時間、国内24時間の合計48時間のビジネスチャンスに対応していく必要があります」と池邉氏は話す。

「RPAは24時間365日働ける新しい労働力」と語る池邉氏

ペーパーレス化を阻む3つの要因

 RPAを新しい労働力、すなわちデジタルレイバーとしていかに活用しているかは、企業の将来性を測る物差しにもなりつつある。池邉氏は、「就職活動をしている学生さんは、RPAを企業が導入しているかどうかを注意深く見ています」と言う。企業の中の定型業務を、新入社員にやらせる可能性があるか、RPAを導入して人に任せない考えを持っているかどうかを就活生は厳しく見ているという。

 「積極的にRPAを導入することを掲げている会社ならば、人間には創造性のある仕事を任せてもらえると考えるわけです。これまで長い間、生産性や創造性が求められるコア業務と定型業務などのノンコア業務は、企業内の人間同士でシェアしてきました。これからは、人間とデジタルレイバーでシェアする時代になります」と、池邉氏は予見する。人間にコア業務をきちんと提供できているか、これまで人間がやってきたからといってそれを常識とせずにデジタルレイバーという新しい労働力に任せられるか。そうした視点で業務を見直す必要があるという。

 デジタルレイバーに労働力として活躍してもらうには、業務の在り方を変える必要もある。RPAなどのデジタルレイバーは、デジタル化された環境でしか働けないからだ。池邉氏は、デジタル化を進めればデジタルレイバーが働けるフィールドが増えると指摘。紙ベースのアナログの業務をいかにデジタル化できるかが1つのポイントになるという。「現金を扱う仕事、紙の書類が必要な仕事、判子が必要な仕事――これがペーパーレス化を阻む3つの仕事です。ペーパーレス化する方法論を考えることは、デジタルレイバーの活躍の幅を広げて、人間に創造性のある仕事をしてもらうための第一歩になります」(池邉氏)

 一方で、RPAなどのデジタルレイバーを活用する際に、企業規模は関係ないと池邉氏は指摘する。「RPAツールには、チームの業務効率化に向くパソコン版、組織全体の業務やグローバルビジネスに適したサーバー版など、多くの種類があります。企業規模ではなく、RPAの対象範囲によってツールを使い分けることで、どのような規模の企業でもデジタルレイバーの力を借りることができます」と池邉氏は説明する。

 「デジタルレイバー」という新しい労働者を雇う視点でRPA導入を検討していくと、企業がこれからもビジネスを継続していくために必要な条件がいくつも浮かび上がってくる。流行りのデジタルツールとしてRPAの導入を考えるのではなく、人間とともに働くデジタルレイバーの雇用としてRPA導入を考えることで、DX時代に企業が生き残るチャンスを見つけられるだろう。

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