日経BP総研 中堅・中小企業ラボpresents 経営力向上ラボ INTERVIEW 08 日経BP総研 中堅・中小企業ラボpresents 経営力向上ラボ INTERVIEW 08

デジタル×リアルが、
唯一無二の価値を生む

元Jリーガーが生んだ
リユースチェーン店の
先進性

嵜本晋輔さんが経営するSOUは、ブランド品の個人からの買い取り、企業への売却などを手がける企業だ。2011年創業の同社は、2018年には東証マザーズへ上場を果たした。嵜本さんは、元Jリーガー。なぜ経営の道を選び、連結売上高226億円、同従業員425人という企業へと育て上げることができたのか。元メジャーリーガーの斎藤隆さんが迫った。

  • 斎藤
  • 斎藤(以下斎)私自身はもともとプロ野球選手で、周囲にも元プロ野球選手がたくさんいます。しかし、セカンドキャリアに起業、そして経営を選び、そこで大成功している人はほとんどいません。なので、元Jリーガーの嵜本さんが、どういった過程を経て、上場企業の経営者になったのか、とても興味があります。

  • 嵜本
  • 嵜本(以下嵜)僕は小学校3年生のときにサッカーを始めたのですが、4、5年生の頃には上の学年の試合にも出してもらえるようになっていました。ちょうど、Jリーグが発足したのがこの頃です。将来はサッカー選手になりたいと思いましたし、卒業文集にもそういったことを書いていました。ただ、どうしたらサッカー選手になれるかまでは考えていなくて、がむしゃらにやっていたら成果が出て人に恵まれ、高校卒業後に、地元のガンバ大阪に入団できました。

  • 長年、憧れていたプロの世界はいかがでしたか?

  • 自分はここまで通用しないのか、と打ちのめされました。線が細かったこともあり、体を当てられるとすぐにヨロヨロしてしまうほどです。正直に言うと、プロの試合を外から見ていたときは「やれるのでは」と思っていたのですが、ボールの運び方、間の取り方、すべての面で一流選手と僕とには違いがありました。

     そして、3年目の21歳のときに、戦力外通告を受けました。当時の監督は、先日、W杯で指揮を執った西野朗さんです。

  • 戦力外通告――。小学生の頃からずっとサッカーに熱中してきたのですから、気持ちの切り替えは難しかったでしょう。

  • トライアウト(入団を希望する選手を集めて実施される入団テスト)を受けました。そして、当時はJリーグの2つ下のJFLというリーグに所属していた佐川急便のチームに入団しました。

  • 社会人チームですね。そのときは、もう一度プロにと考えていたのですか?

  • そうです。はい上がろうと思っていました。午前中は佐川の制服を着て現場で勤務し、午後はサッカーという生活を1年間続けたのですが、3カ月目くらいから、将来をどうするか、自問自答を繰り返すようになりました。というのも、JFLでもなかなか思うようなプレーができずにいたからです。

     もちろん、ガンバ大阪での3年間も改めて振り返りました。そして、これから自分をプロで活躍できるレベルに持っていくのは相当難しい。Jリーグ復帰の可能性は0ではないけれど、あっても1%だろうと判断しました。

  • 羽鳥兼市のプロフィール画像
  • 嵜本晋輔
    さきもと・しんすけ

    株式会社SOU代表取締役社長。1982年生まれ、大阪府出身。関西大学第一高校を卒業後、ガンバ大阪で3年間プレー。引退後は父親が経営するリサイクルショップでビジネスを学び、2011年にSOUを創業した。SOU創業前には、チーズタルトで有名な洋菓子ブランドのPABLO(パブロ)を、2人の兄と立ち上げた経験もある。

1%の可能性を
諦めた勇気

  • 私の知る限り、戦力外通告を受けたプロ野球選手は、1%でも可能性があるならそこにかけたいと頑張る人が大半です。私自身も、36歳で日本からメジャーに挑戦するときには同じ気持ちでした。ごくわずかな可能性にかけて最高のところを目指してみて、それでダメなら、野球選手であり続けることに区切りを付けて、次に進めると思ったのです。

  • 一度手にしたプロ選手の立場を再び手に入れたい、手放したくないという思いは僕にもありました。ただ、それは感情です。そして、感情は正しい判断を邪魔します。当時、私は22歳でした。1%に満たないプロへの道にこれからの時間を投資するのなら、その時間はセカンドキャリアのために使うべきだという答えが自然に出ました。

  • そういった考え方は昔から身に付いていたものですか。

  • 特別に養ったという自覚はないですね。

  • では、天性のもの?

  • ただ、ビジネスの世界では、成功確率が1%しかないような事業に多額の投資をすることはないですよね。フィフティー・フィフティーでも僕ならしないと思います。それは、リターンが得られるかどうかを冷静に見ているからです。僕が22歳のときにしたのはそれと同じ判断です。男のプライドのような感情を自分の外に追い出して、確率的に正しいものを選んだのだと思っています。

  • つまり、自分自身を経営する視点で見ていたということですか?

  • アスリートは誰でも、自分自身を客観的に評価する力を持っていると僕は思っています。自分のボールコントロール力やスピードは周りと比べてどの程度なのか、スタメンとして監督に選ばれて結果を出していけるか、試合で通用しなかったのはたまたまなのか実力なのか、すべて手に取るように分かるはずです。

  • その判断を邪魔するのが、プライドであり、感情であると。

  • そうです。それに僕の場合は、リサイクルショップを経営していた父が根っからの商売人でしたから、その息子である商売人がたまたま、3年間だけプロサッカー選手をやっていたと考えるようにしました。そう理解した方が幸せになれると思いました。

  • 実は、嵜本さんと私には共通点があります。自営業者の息子で、3人兄弟の末っ子という点です。私の場合は、男3人の一番下は好きにやれといった調子で育てられましたから、10代の頃に野球をやっていた兄の分も、プロで頑張ろうという気持ちも持っていました。また、プロになって周りを見ると、野球をやらせ続けるためにお金を惜しまない家庭の子が多かった。嵜本さんも、ご家族の期待をかなり背負っていたはずです。

  • そうですね。ただ、小・中学生の頃からずっと僕のプレーを見てきた父は、僕が選手としてうまくいっていないこと、これは早晩、やめることになると分かっていたはずです。

  • 引退前に相談はしましたか?

  • いいえ。ただ、「決めたのなら、それでええんちゃう」と。決めたからには、早く一緒に仕事をしようという雰囲気でした。

  • 斎藤隆のプロフィール画像
  • 斎藤隆
    さいとう・たかし

    1970年仙台市生まれ。
    東北福祉大から92年に横浜大洋ホエールズ(当時)に入団。その後、2006年に米国に渡りドジャースとのマイナー契約から再スタートを切り、ついには一軍で抑えの切り札として活躍。その後、レッドソックスなどを渡り歩き、12年に帰国して楽天イーグルスに入った。日米通算で112勝139セーブを達成。15年に引退し、現在は経営を学びたいと、パドレスのアドバイザーなどを努めている。

3年間のプロ生活から
父が経営するリサイクル店へ
そこで嵜本社長が見いだした
自分の“価値”とは?

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  • イメージ画像
  • お父様のもとでの、最初の仕事は何でしたか?

  • 先輩社員が買ってきた白物家電を洗って、炎天下に並べて天日干しして、店頭に並べるというものです。

  • その仕事は楽しかったですか?

  • 楽しかったです。買ってきたときにはかなり汚れているものでも、きれいにすると売れる。しかも、例えば数千円で仕入れたものが数倍の金額で売れる様子を見て「こんなにもうかるんか~」と単純にうれしく思いましたし、不要になったものを、次に必要とする人につなぐということにも面白みを感じました。

     そこでまた、Jリーグ時代のことを考えました。なぜ、僕は監督に使ってもらえなかったのか。それは、監督に使いたいと思わせる価値のある選手ではなかったからです。仮にスタメンでなくても、ここでは嵜本だという必要性を感じさせることができていなかったのです。

  • なるほど、そこで商品と自分を重ね合わせるわけですね。

「自分が不要になる」
という
危機感を
持ち続けて

  • なので、父の会社では起用され続けるよう、ほかの人にはない、唯一無二の自分だけが持つ価値を得て、それを高めようと考えるようになりました。ファミリービジネスではありましたが、結果を出さなければまたここでも自分は不要になるという意識は強く持っていました。

  • その“唯一無二の価値”とは、どんなものですか?

  • 当時、買い取りを依頼される方は、タウンページやチラシを見て連絡をしてくるのが一般的で、販売は店頭でというのが基本でした。ただ、世の中ではオンラインで売買を行う企業も増えていました。この流れは止まらないし、オンライン売買はどんな分野でも当たり前になる。そう思って手を挙げて、そのための部署をつくりました。具体的には、当時ユーザーが急増していたヤフオク!で売買するための部署です。

  • そのときの周囲の反応はいかがでしたか?

  • 半信半疑でしたね。ネットで、中古の、しかも大きなものが売れるのかという声はありました。ただ実際には、きれいに洗った洗濯機の写真を様々な角度から撮って、それをアップロードして値付けをすると売れましたし、店頭価格より高くなるものもありました。結果が出たことで社内でも注目されるようになり、社内での自分の発言力が大きくなっていきました。

  • そうした結果を出すためにはかなり努力をされたのではないですか?

  • 努力というよりは、何に対しても興味を持って、向き合ってきただけです。

  • 嵜本さんのお話を聞いていると、持っているはずの悔しさやつらい思いのようなものが一切感じられなくて、ものすごく“クリーンなエネルギー”で稼働している人なんだなあという印象を受けます。もう、サッカーに未練はないのですか?

  • サッカーはもちろん今でも好きで、大きな試合は必ず見ています。ただ、自分には向いていなかった。ガンバ大阪をクビになったことは、僕にとって人生で最大の財産なんです。小学校からサッカーを続けてきて一番よかったのは、戦力外通告を受けたことだと、本気で思っています。

  • ええ、そうなんですか?

  • 社会に出てから戦力外通告を受けられる、「君は使えない」と言ってもらえるのは、ごく一部の人だけではないですか。

  • ああ、確かにそうです。

  • そうした客観的な指摘をどう捉えるか。もちろん、「何やこいつ」と受け止めることもできます。もしそう思っていたら、僕はテレビで西野さんを見るたびに、チャンネルを変え続けるでしょう。でも、先日のW杯では心底、応援していました。それに、戦力外通告を受けなかったら、今のようなモチベーションを持って仕事に取り組めなかったでしょうし、こうして会社を上場させることもなかったでしょう。ですから、僕の人生を変えてくれた恩人として受け止めることができます。実際に感謝しています。

お客様の
ストーリーを
評価する店に

  • やはりすがすがしいですね。お父様のところでリサイクルのノウハウを学ばれて、ブランド品の買い取り専門店「なんぼや」をオープンさせて順調に売り上げを伸ばしました。そして、2011年に今の会社、個人からブランド品を買い取って企業に販売するSOUを創業して独立されています。ただ、ブランド品の買い取りというビジネスは以前からありましたよね?

  • ありました。なので、いかに僕たちをお客様に選んでもらえるかを考えてきました。以前は個人からブランド品を買い取る業態としては、質屋が一般的だったと思います。ただ、質屋とお客様の関係性は、“質屋がお客様の持ちものを買ってやっている”というものでした。

  • 確かに、人目を避けて行く場というイメージがあります。

  • どのような場が求められるかをお客様の立場で考えて、僕たちの価値観に共感してくれるお客様に来ていただけるような店舗にしました。目を引く新しいものを取り入れるのではなく、自分たちの利益よりもお客様に満足していただくことを優先することを考えたのです。

  • 満足してもらうとは、イコール、他店よりも高く買い取るということですか?

  • もちろん、過去に同じものがどこでいくらで売れたか、それをいくら程度で買い取るべきかというデータベースは日々更新しているのですが、それだけを参照して価格付けをするのでは、質屋とあまり変わりがありません。僕たちは物そのものだけではなく、お客様のストーリーに対しても金額を提示しているつもりです。

  • ストーリーに金額を提示するとはどういうことですか?

  • お客様の価値観はそれぞれですが、特に思い入れのあるものについては「この価格なら売ってもいい」「その価格なら売りたくない」という基準があります。なので、ストーリーを伺って、気持ちをくんだ値付けをしています。

  • 思い入れのあるものばかり持ち込まれたら、高く買ってばかりで損をするのでは?

  • 商談がそれ一度きりなら、確かに損です。でも、中長期的な視点に立ち、そこで信頼関係ができれば、再来店もしていただけます。それに、思い入れのあるものは高くという思いと裏腹に、思い入れのないものについては……。

  • ああ、好きでもない男性からプレゼントされたアクセサリーとかですね(苦笑)。一方でブランド品となると、偽物も付きものですよね。

  • そうした情報は全店ですぐに共有するようにしています。敵もさる者で、情報のネットワークが張り巡らされているのか、どこかの店舗で偽物を買い取ったりすると、すぐに系列のほかの店舗にも同じようなものが持ち込まれるのです。なので、こちらも迅速な情報共有が欠かせません。また、店頭で鑑定をするコンシェルジュ(鑑定士)が迷うことがあれば、本社にいる経験者が商談の様子を見て、アドバイスすることもあります。

  • 様子を見るとは、カメラ越しにですか。

  • そうです。今、カメラの精度は非常に高くなっていて、例えば時計なら、わざわざカメラに近づけなくても、文字盤まできれいに見えます。それから、ここでもストーリーが重要な役割を果たします。悪意を持って偽物、それから盗品を持ち込む人には、そのものへの思い入れがないので、語ることもありません。なので、ちぐはぐであると感じたら、警戒を強めるようにしています。そこを見抜くのが、店頭で鑑定を行うコンシェルジュの最大の仕事です。

  • 最新のデジタル技術と、人間力というアナログな要素を掛け合わせることで、リスクを回避しているのですね。同じリサイクル業といってもお父さんの時代とは、技術の進展はスバぬけて速い。また、ある意味では情報産業でもあるわけですね。

     今日は、嵜本さんにどうしても聞いてみたいことがありました。プロスポーツの世界では、毎年のように多くの選手が戦力外通告を受けています。そうした人たちのセカンドキャリアは、野球界はもちろんサッカー界でも問題になっているでしょう。そうした中から1人でも多く、嵜本さんのような起業家が生まれればと思うのですが、これからプロアスリートになり、いつかその場を去る人にぜひアドバイスをお願いします。

  • 偉そうに言える立場ではないですけれど、サッカーをやっていたなら“サッカーバカ”で終わったらダメだと思っています。僕自身がサッカーをやっていたときにそれを意識できていたわけではありませんが、今、選手が戦力外通告を受けるまでの期間はどんどん短くなってきているので、若いうちから次のキャリアを意識して過ごすことが大事だと思います。ただ、意識しているからすぐに行動に移せるかというと、それも難しいとは思うのですが。

  • それはまさに私自身の課題でもあります。いろいろ考えてはいるけれど、なかなか一歩を踏み出せない。だから、嵜本さんのような人の存在を知り、話を聞くと、勇気づけられます。

  • おかげさまで、サッカー選手としては無名だった僕のことを、今では多くのサッカー選手が知ってくれています。入社希望者には、アマチュアサッカー経験者が非常に多いです。また先日は元サッカー選手で、今は腸内フローラ(腸内細菌叢)に関する事業を行っている鈴木啓太さんから連絡をもらい、お会いする機会がありました。鈴木さんは元日本代表です。鈴木さんのようなビッグネームが起業家として注目され、多くの人に知られるようになると、セカンドキャリアに起業を選ぶ人は増えるのではと期待しています。

  • もうひとつ、個人的に興味のあることを聞いてもいいですか? 今のスポーツビジネスをどうご覧になっていますか?

  • 日本はかなり遅れているなと思います。日本で有名になったサッカー選手はほとんどが海外に活躍の場を求めますが、それは、海外で活躍することで得られるリターンが、日本でのそれを大きく上回っているからでしょう。だから選手が流出し、Jリーグはなかなか盛り上がりません。このままでは、Jリーグの結果は今以上にニュースで触れられなくなると思います。

  • どうしたらいいでしょうか?

  • ひとつには、SNS(交流サイト)の活用があると思います。

  • SNSですか? 今、メジャーリーグで将来有望な若手選手を対象にした研修では、いの一番にSNSの使い方を教えています。書いてはいけないこと、書いてはいけない時間帯を周知させているのです。

  • 最低限のリテラシーは確かに必要ですね。斎藤さんは現役時代、ファンサービスを面倒だと思ったことはありませんか?

  • アメリカへ行ってからは考えが変わりましたが、今だから言わせていただくと、どうやって断るかを考えていた時期はあります。

  • 僕らの頃にもそういう選手が多かったです。でも、僕が2人の兄と、SOU創業前にリサイクル業の傍ら洋菓子店をオープンさせたとき、真っ先に来てくれたお客さんは、ガンバ大阪のサポーターの方でした。チームに貢献できなかった僕ごときのために、わざわざ来てくれたんです。選手のセカンドキャリアを一番に応援してくれるのは、選手時代のファンの方なのだと目を開かされる思いでした。ですから、選手はその短いキャリアの間に、SNSなどを駆使して、人生のフォロワーを増やすべきだと思います。

     例えば数量限定でフォロワーにトークン(いわゆる仮想通貨のようなもの)を発行してもいいでしょう。そのトークンを持っている人は、特別なファンサービスを受けられるようにするのです。サービスを怠らなければ、ファンの間ではトークンの価値は上がります。トークンは引退時にだけキャッシュ化できるようにしておけば、選手の退職金代わりにもなります。

  • 次々にアイデアが湧いてきますね。

  • それに、チームも選手を評価する指標に、プレーだけではなく世の中への影響力を加えればいいと思います。そうしたものを含めた選手個人の時価総額をもとに、移籍金額も決めていくのです。

  • 実に経営者らしい視点ですね。嵜本さんは今、サッカーチームで言えばGM(ゼネラルマネジャー)や監督のような、選手を使う側の立場にいるわけですが、その立場では、どんな選手を、社員を起用したいと考えますか。

  • そこはスポーツ、特にチームスポーツとビジネスはまったく同じだと感じています。

     起用したいのは、ほかの人に負けないほど好きなこと、得意なことがある人です。あれもこれもできるけれど平均点という人には魅力を感じません。得意なことがある人は、そこをもっと伸ばせばいい。好きなことや得意なことについては、前のめりに情報を取りに行こうとするし、突き抜ける可能性があります。

     でも、嫌いなことや不得意なことについては受け身になるので成長しません。伸ばせてもせいぜい平均レベル止まりではないでしょうか。もしもどうしても事業に必要だけれど、社員全員が嫌いなこと、不得意な分野があれば、経営の場合、それはITで解決できます。

  • それはまさにチームスポーツの考え方ですね。全員がまんべんなく同じようなプレーをするそこそこのチームより、一芸に秀でた選手が集まる、癖のあるチームの方が強いし、魅力的です。今日はいろいろなヒント、それから別のジャンルに一歩踏み出す勇気をいただけました。ありがとうございました。

構成:片瀬京子、写真:陶山 勉

中小企業研究所長 イトー所長の眼

感情を
コントロールできれば、
新たなチャンスが見えてくる

 幼い頃からサッカーを続けてきた選手にとってみれば、Jリーガーは憧れの存在です。そこまで上り詰めておきながら、20代前半で自らの能力的な限界を見極め、父親が経営するリサイクル店に入ったという嵜本晋輔社長の冷静さに驚く方は多いでしょう。

 こだわりや執着などは、言い換えれば「粘り強さ」にもつながりますから、特にスポーツなどの分野では重視されることが多い感情でもあります。一方で、これらはマイナスの作用を及ぼすこともあります。故障するほど練習してしまったり、引退の時機を見誤ったりする選手も少なからずいます。自分の状態を冷静に見極め、感情をコントロールすることができればこうした“損失”を減らすこともできるはずです。

 少し分野は違いますが、感情の変化をAI(人工知能)によって見いだす動きは始まっています。Empath(東京・渋谷)というベンチャーが開発したのは、人の声を分析して喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判断するシステム。コールセンターで活用してみると、過去に退職してしまったスタッフのパターンと比較するなどにより、この先離職しそうな人材を見分けることができるようになりました。これまで分かりにくかった離職予備軍を見いだせれば、早めに対応策が取れる。このシステムは現在、世界50カ国1000社以上で活用されています。この先は一般のオフィスなどでの利用を視野に、開発を続けています。

 多様な感情を有することが人間の特徴ですが、その感情を正確につかむことは難しい。結果、冷静な判断が遅れてしまうこともあります。いかに客観的な視点で状況を見極めることができるか。他社のケースを知り、自社が置かれた状況を第三者的な視点で認識することが大切になります。

伊藤暢人のプロフィール画像

伊藤暢人
いとう・ながと

日経BP総研
中堅・中小企業ラボ 所長

広島県出身。1990年に東京外国語大学を卒業し日経BP社に入社。新媒体開発、日経ビジネス、ロンドン支局などを経て、日経トップリーダー編集長に。2017年、中堅・中小企業ラボの設立に携わり所長に就任した。幅広い業界の中小企業経営に詳しく、経済産業省や東京都などが主催する賞の審査員を歴任。

ラボ概要

2017年4月に本格的に稼働した「日経BP総研 中小企業経営研究所」は18年4月に「日経BP総研 中堅・中小企業ラボ」と所名を変更し、中堅・中小企業の成長と経営健全化を支援するために活動を進化させています。これまで培ってきた経営・技術・生活分野での見識を活かし、情報発信や調査、教育、コンサルティングなど様々な形でサポートします。

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