ネットショップを始めたい方へ、EC事業の紹介コラム。新型コロナウイルス感染症と闘う旅館の苦悩、そしてECサイトにかける想い。

あんこうの宿まるみつ旅館(株式会社 魚の宿まるみつ)

新型コロナウイルス感染症と闘う旅館の苦悩、そしてECサイトにかける想い。
はたしてあんこう鍋のネット販売は成功するのか!?

新型コロナウイルス感染症は、現代の社会に深刻なダメージを与えており、数多くの事業者がこの未曽有の事態を乗り越えるため日々悪戦苦闘しています。
その中でも旅館やホテルは新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている業態のひとつです。4月に発令された緊急事態宣言の期間中はもちろん、その後においても不要不急の外出自粛が叫ばれており、旅館業を営む事業者は先の見えない新型コロナウイルス感染症との闘いを続けています。

今回、茨城県で「あんこうの宿まるみつ旅館」を営まれている武子さん代表と小野さんに、この大変な局面を乗り越えるために取り組んでいるECサイトの営みについてお伺いいたしました。(取材日:2020年9月8日)


―ECサイトを始めたのはいつからですか?

昨年の冬からです。

―どのようなきっかけでECサイトを作られたのですか?

もともと宿泊されるお客さまに人気のあったあんこう鍋が、京都で開催された「鍋-1グランプリ」でグランプリをいただきました。関西の方々にも味が受け入れられることを知り、人気のあんこう鍋を全国へ販売してみようと考えたのがきっかけです。

―旅館とは別にECを事業の柱にしようとされたのですか?

旅館の収益が落ち込んだ時に備えて、何か別の事業を育てていきたいということは話していました。宿泊部門が傾いても収益が立てられるよう準備をしようと。
でもまさかそれがこのように現実になるとは予想していませんでした。

―新型コロナウイルス感染症による従業員皆さんへの影響は?

お客さまからの予約がなくなり、従業員の仕事もなくなりました。
旅館に来ても仕事がないんです・・・。ですので従業員は自宅待機をしています。
このような状況下では、お客さまへ泊まりに来てくださいとも言えず・・・。

―そうなんですね・・・。
ちなみにECサイトはどなたが運営されているのですか?

基本的には私(小野)がひとりで運営しています。注文の管理から発送まで行っています。

―ひとりで運営するのは大変じゃないですか?

まとめて注文が入ると大変ですが、忙しくなることが今は本当にうれしいです。

―これまでで一番忙しかったことは?

あんこう鍋だけではなくあん肝ラーメンも販売しているのですが、このあん肝ラーメンを一度新聞に取り上げていただいたことがありました。その時は1日で50件ほどの注文が入り、すごく忙しかったのですが、その忙しさがうれしかったです。

―ECサイトの立ち上げに苦労されたことは?

画像の配置などサイトの設計や構築に苦労しました。ホームページを作ったことのある知り合いに見てもらい、アドバイスをもらいながら作っていきましたが、ECサイトが立ち上がるまで半年くらいかかりました。

―WEB広告は出されましたか?

お金をかけずに運営しようとしていたので、WEB広告は出しませんでした。その代わりツイッターとフェイスブック、それからLINEを使って告知をしました。
既存のお客さまがリツイートなどで商品を広めてくれて、それがきっかけで新しく購入していただくお客さまが増えました。今後も口コミでお客さまを増やしていきたいと思っています。


ここまでのインタビューを終え、コロナ禍で旅館を営む方の苦労が私にはひしひしと伝わってきました。従業員の働く場所が失われてしまった・・・。その行き場のない憂いが小野さんの言葉からあふれていました。

とは言え、幸いにもこのような状況に陥る前にECサイトを立ち上げ、苦しむ旅館業を支えるべく収益の灯火を育てていたことは、先見の明があったと思われます。しかしながらECサイトを立ち上げるだけでは、収益の灯火を大きくすることは難しいでしょう。特に限られた予算でECサイトを運営する場合、WEB広告に頼らずに集客をしていく必要があるからです。

今回あんこうの宿まるみつ旅館を取材し感じたことは、あんこう鍋やあん肝ラーメンという商品力の強さでした。「鍋-1グランプリ」での優勝に始まり、SNSにおける口コミの広がり方、そして1日50食売れたあん肝ラーメンは実店舗も運営しており、週末には2時間待ちの行列ができることがあるといいます。

当然ではありますが、このように「魅力的な商品」をもつ事業者は、ECという全く新しい業態へ参入しても、比較的早く収益化へ漕ぎつけることができると思われます。これからEC事業を立ち上げようと検討している事業者の皆さまは、今一度自社の商品が持つ商品力を分析してみる必要があるかもしれません。

また「商品をどれだけ多くの人に認知してもらうか」というのは売り上げを伸ばすために必要不可欠な要素ですが、ここを最大化する作業が最も難しく大変な工程となります。一般的にはSEOを駆使して検索エンジンの上位表示を狙う、あるいはWEB広告を用いて強制的に露出を増やすといった手法がとられます。
ただしSEOは効果がすぐに出るものではありませんし、付け焼刃で高い効果を期待できるものでもありません。そしてWEB広告には当然広告費用が発生しますので、もし本業の収益が落ち込み資金繰りに苦しむ中でECサイトを立ち上げる場合、広告への投資は悩ましいところです。

あんこうの宿まるみつ旅館は「鍋-1グランプリ」の優勝をきっかけに、テレビや新聞などのメディアで何度も取り上げられるようになりました。これによる広告効果はとても大きく、広告費用をかけずともたくさんの人が商品を認知することとなります。
商品力を高める、そしてその商品力が評価されるきっかけを作る、そしてメディアへの露出や口コミを活用し広告費用をかけずに認知度を高める。これは理想的なプロモーション方法のひとつと言えるでしょう。

あんこうの宿まるみつ旅館は苦しむ旅館業の中で、知恵を絞り商品力を磨きながらさまざまな取り組みを行ってきました。
これらの努力が報われ、そしてこのEC事業という灯火が大きく燃え上がることを願うばかりです。インタビューの最後に、あんこうの宿まるみつ旅館がめざす未来についてお聞きしました。

―旅館業として、そしてEC事業としての今後の展望を教えてください。

茨城県では一般的なあんこう鍋ですが、他の地域ではあまり知られていません。
あんこうのおいしさを日本中の人に知ってもらいたいですし、ネットですぐに買える環境を作っていきたいです。私たちの商品だけではなく、おいしいあんこう鍋を提供する旅館が茨城県にはいっぱいあります。だからこそあんこう鍋のおいしさをもっと知ってもらえるよう、いつかたくさんの人が茨城県へ来てくれるよう、ECサイトを通じて発信していきたいと思います。

株式会社 魚の宿まるみつ代表
武子能久氏


EC事業を通じてコロナ禍に苦しむ地域の同業者たちも救っていきたい。そして共にこの禍を乗り越えたい、そんな意思が最後の武子さんの言葉から伝わってきました。あんこう鍋、あん肝ラーメン、美味しそうですね。気になる方はぜひ注文してみましょう!私も買ってみます。

  • 事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。

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