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2019.01.07 (Mon)

今、中小企業が取り組むべき課題

【COMPASS presents】人口減少とICTの進展 これからの企業経営へのヒント

1日単位では変化がないようでも、1年、2年のスパンで見ると確実に変わっていく。電車に乗れば多くの人がスマホに夢中で、道行く人は高齢者が増えてきた――日本は、急速なデジタルコミュニケーション(ICT)の普及、そして高齢化&生産年齢人口減を迎えています。

企業も、じわじわと変化の波を受け、ある時、「働き手が足りない」「お客さんが減った」という事態に直面します。

これからの企業経営では、環境変化を意識した対応策が求められます。
そのなかから、今回は4つの観点をピックアップします。

観点1:シェアサービスの進展が新しい消費を生む

所有からシェア
サービス化していく産業

モノを買って所有するか、必要に応じてサービスを活用するか。
ICTを基盤にしたシェアサービスの動きが加速しています。

「特に車を持ちたいとは思わない」――最近の若い世代は車離れが進んでいると言われます。
一方で、成長しているのが「カーシェア」サービスです。必要なときに必要な時間だけ車を借りるもので、時間貸し駐車場(ステーション)に停めてある車をネット予約で利用できる「タイムズカープラス」は2017年時点で会員数80万人に迫る伸びを見せています。
車に乗る回数・時間がさほど多くない人にとって、維持費もかからないカーシェアは費用面でのメリットが多くあります。

「自由に移動したい」ニーズを満たす新しい選択肢

また、「Uber(ウーバー)」に代表される、車を持つ個人と移動したい人をマッチングし、指定の場所まで送るライドシェアも海外では急速に普及しています。

公共交通機関が少なく一家に2台、車を必要とする地域では、「カーシェアなど我々には関係ない」という反応も受けます。もちろん所有がなくなることはありません。
しかし、国内では新しい自動車ユーザーとなる若年層の人数が減少し、この世代は所有にこだわらなくなってきています。地域によって事情は異なるとはいえ「所有からシェアへ」の動きは、一定の浸透をみるでしょう。
2018年に自動車メーカーである日産自動車がカーシェアサービス「e-シェアモビ」を開始したことは、変化の方向を決定づけたといえるでしょう。

カーシェアが普及すれば、プレイヤーにも変化が訪れます。カーシェアにふさわしい車の製造・販売やメンテナンスが求められ、シェアサービスのプラットフォームづくりやサービス提供に関連する仕事が増えていきます。

御社が属している業界では、シェアサービスの開発で新たな流れが生まれる余地はありそうでしょうか。
ファッション業界では、月額料金制での洋服レンタルサービスが人気だそうです。

そして、Uberのように個人が所有する車、家、さらには個人のスキルなどをインターネット上のプラットフォームを利用して個人間で利用していく「シェアリングエコノミー」(共有経済)の進展が期待されています。
日本で「Uber」が普及した時、タクシー会社はどのような手を打つでしょうか。自社のライバルが、思わぬところから生まれてくるかもしれません。

観点2:ICTができることは適宜チェック。RPAなど新しいツールの検討も

自動化が進み変わるオフィス
人の代わりにRPAがサポート?

生産年齢人口が減る社会では、人だからこそできる仕事と、ICTシステムで代替・解決する仕事の切り分けが求められます。ICTで実現できることは続々増えていますので、適宜ウォッチしていきましょう。

例えば製造業では、生産の自動化やロボット導入、工場間のデータをつないで生産を最適化する第四次産業革命が謳われており、より少ない人数で工場を動かせると見込まれています。

その他の業務、例えば事務作業などはどうなるでしょうか。

業務に対応したICTシステムを導入すれば、一度入力した顧客情報などは再度入力せず活用でき省力化を図れます。しかし、業務ソフトや文書ファイル、インターネット上にある情報などをそれぞれ取り出して別のファイルにまとめる、などのシステムをまたいだ業務では、やはり人の手が必要です。

定型化・マニュアル化できる作業なら、パソコンに向かう業務においても、RPAというロボットに任せることができます。RPAとはRobotic Process Automation。
ロボットといっても人間の形を模した物体ではなく、コンピュータの中にあるソフトウェアです。手順を登録することで、既定の処理を人に変わって実行してくれます(パソコンが自動的に動作して表が出来上がるようなイメージです)。

パソコンを使った提携作業をサポートするRPA

マスコミでよく取り上げられるAI(人工知能)は、膨大なデータをもとに学習し判断まで任せることができますが、個々の企業が使いこなすには、まだ少し遠い存在かもしれません。
しかし、特定の業務に特化したサービス、例えばタクシーの需要予測、トレイに置かれたパンをカメラで読み取り種類と金額を判別するレジなどを耳にしたことはあるのではないでしょうか。
AIが組み込まれた業務サービスは身近になりつつあります。

観点3:強みを活かして海外市場へ。日本独自のものは海外で新たな魅力を放つことも

海外市場に目を向ける
日本らしさに新しい価値も

国内の消費人口が減るならば、目指すは海外です。

和室の欄間を作っていた企業が、海外でその技術力・デザイン力を認められた事例を紹介します。富山県の組子製造・タニハタです。

組子は釘を使わず、職人が木片を組み合わせ、手作業で制作します。職人の技が生きる世界です。
和室を持つ住宅が次々と建てられた時代は、黙っていても仕事がありました。しかし、国内の住宅は洋室中心に変わり、タニハタは窮地に陥ります。

紆余曲折を経て、ネットによる受注に注力します。洋室向けの組子製品の開発、大手ショッピングモールへの出展の傍ら、自社Webサイトで、組子の歴史や納品した組子製品、顧客の声などきめ細かい情報発信を続けていきます。すると、組子が持つ魅力、同社の技術力やデザイン力が見いだされ、飲食店やホテル、ラウンジなど和のテイストを活かした内装デザインとして製作のオーダーが増えてきました。

海外からは、繊細さと美しさ、木のぬくもりに驚きの視線が注がれ、米国の名だたるIT企業のオフィスにもタニハタの組子が納品されています。東京にある外資系ホテルでは、最上級スイートルームのベットルームに採用されています。
日本では「古いもの」となった和室の欄間ですが、技術を活かし、デザインの付加価値をさらに磨くことで、海外の人々から価値を見いだされ、国内でも新たな顧客を生んだのです。

タニハタのホームページは、英語に加え、フランス語でも公開されています。そして、海外顧客とのやり取りを間違いなく行うため、専用のチャットシステムを活用しています。
ICTとは対極にある職人の手作業の企業がICTの活用で販路を海外に広げています。
職場では、若手がベテランに学び、いきいきと仕事をしています。

日本の企業が持つ潜在力を活かして海外需要を獲得することは国も応援しています。
2017年からスタートした「BrandLand JAPAN」プロジェクトでは、「地域に眠る魅力的な資源を海外へ発信し、地域活性化を図る」べく、12社の海外販路開拓をサポートしました。タニハタはその1社に選定され、パリを中心としたヨーロッパへの販売促進に取り組んでいます。

同プロジェクトは、今年も14事業者が採択されました。「国産こんにゃくを北米へ」「日本の原風景を旅するサイクルツーリズム」など、どれも特色ある事業です。

日本らしい良いものに、気づかなかった新たな魅力を発見してもらえるのは、海外市場開拓の可能性でもあります。

観点4:世の中が大きく変わる今後は、変化を担う人材の育成が勝負

ICTの活用を担う新たな人材育成を

現在の事業は、ICTを駆使すれば、少ない人手で回せるでしょうか。
それとも人の手が必須の事業でしょうか。
いずれにしても、今後の経営はICTと密接な関係を持ち、人とICTの役割分担は大きな経営テーマです。
経営者の思いを理解して、使えるICTを取り入れ、どう職場を改革し、新しい事業に取り組んでいくか。実行にはICTの活用を担える人材が必要になります。

システムの開発などは専門会社に任せるとしても、業務を良く知る人物が現場とICTをうまく融合させてこそ、ICTが持つ力が効果を発揮します。

ICTの活用を推進できる人材を育成、または採用し、経営者とコミュニケーションしながら経営戦略に即したICT活用を行っていきましょう。
福井県のパン製造業・オーカワパンでは、システム部長が製造部長を兼任し、IoT/AIを活用したシステムを構築中です。これは「現場に入ってこそ必要なデータがわかり、真に役立つIT活用を推進できる」との考えからだそうです。

また、ある業務がICTシステムで代替されると、その業務を行っていた人材は新たな価値を生む別の仕事に携わることになります。つまり、スキルチェンジへの挑戦支援も急務です。

少なくなる働き手をICTでカバーし、新たなビジネスに挑戦する際、成功のカギを握るのは人材育成といえるでしょう。

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